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Nokiaが考える「IoT成功のポイント」とは

 ノキアソリューションズ&ネットワークス(Nokia)は8月25日、IoT事業に関する記者説明会を開催した。日本法人のIoT事業推進担当役員である西原政利氏、テクノロジー統括部長の柳橋達也氏が講演を行っている。今回は、西原氏の講演内容から、Nokiaの国内展開の現況、および同社が考える「IoT成功のポイント」について取り上げたい。

NokiaのIoTプラットフォーム「IMPACT」が生まれた背景

 西原氏はNokiaの現況を説明しつつ、仏Alcatel-Lucentの買収により、Nokiaの業績や企業規模が飛躍的に拡大していることを強調した。国内市場でも、NTTやNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなど通信各社に製品を供給。1000名を超える従業員を抱え、全国に6拠点保有しているという。また、神奈川県川崎市には約300名のR&D拠点を設置し、5GやIoT、クラウドの共同研究や検証に注力しているとのことだ。

 日本の現状と課題にも触れ、「(1)人口動態の変化、流動性の増加」「(2)技術革新と、人と技術の互助」「(3)サブカルチャーの創生」「(4)環境保護、自然災害からの減災」を挙げた。

 特に人口動態の変化、流動性の増加については、訪日客の大幅な増加、就労者のグローバル化、都市部回帰が課題としていた。サブカルチャーの創生では、世界的な人気となった「Pokémon GO」をあげ、ARとの融合、2020年のオリンピックにおけるVRの可能性を示唆した。

 これらの課題をIoTという切り口でみると「(1)デバイスやセンサー」「(2)ネットワーク」「(3)ストレージ+仮想化クラウド」「(4)Analytics→フィードバック」と分析している。また、(1)~(4)にまたがる形として、セキュリティも重要な要素とした。

出典:ノキアソリューションズ&ネットワークス「IoT事業戦略説明会」資料

 そうした中、NokiaはIoT成功のポイントについて、異業種プレーヤーとの協業を目指す上で、IoTプラットフォーム(基盤)を整えることが重要だという。さらにIoTプラットフォームには、拡張や柔軟、堅牢(信頼性)の3つを兼ね備えたものが必須となるという。従来のように、一度インフラを構築すれば、10年は維持できるという考え方は通用せず、IoTプラットフォームの容易な拡張なども求められる。

 Nokiaのフォーカスするキャリアグレード技術が活きるIoT垂直モデルとして、西原氏はコネクテッド・カーや社会インフラ、コネクテッド・セーフティ、コネクテッド・シティ、コネクテッド・ヘルス&ホームをあげた。これらの問題解決にNokiaが提供するのが、IoTプラットフォーム「IMPACT(Intelligent Management Platform for All Connected Things)」である。

 Nokiaは「IMPACT」の展開に向け、役員直轄の営業・技術を合わせた専門チームの立ち上げ、2016年内の東京でのIoTラボ設立など、IoT事業の開拓に投資し国内体制を強化する計画である。国内提供以外にも、「ng Connectプログラム」というフォーラムの活動も強化している。

 「ng Connectプログラム」では250社を超える参加企業との協力により、新たなサービスを創造しているとした。事例も紹介され、先のIoT垂直モデルとして、コネクテッドカーはChorusやThingMagic、Apptricityと協業したコネクテッド・サービス・ビークル、コネクテッド・シティにはChorusやDowner、soltaとの協業、コネクテッド・ヘルス&ホームはCALGARY SCIENTIFICとの協業であるコネクテッド・ヘルス、またAT&Tとの協業によるコネクテッド・ホームなどが挙げられた。次回は同社IoTプラットフォーム「IMPACT」の詳細についてお伝えしたい。

MCA

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」などクオリティの高いサービス提供を行う。