トピック

シャオミ「Redmi Note 9S」レビュー

洗練されたデザインとパワフルなスペックを高次元でバランスさせた最強のミッドレンジスマートフォン

 昨年、フラッグシップモデルの「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」で国内市場に参入したシャオミ。これらに続く、第2弾のラインアップとして、「Redmi Note 9S」と「Mi Note 10 Lite」の2機種が発表された。シャオミとしてはすでに国内の携帯電話会社での採用なども決まっているが、これまで通り、SIMフリースマートフォンでもしっかりと国内市場に挑んでいこうという構えだ。ひと足早く実機を試すことができたので、その仕上がりをチェックしてみよう。

シャオミ「Redmi Note 9S」、165.75mm(高さ)×76.68mm(幅)×8.8mm(厚さ)、209g(重量)、オーロラブルー(写真)、グレイシャーホワイト、インターステラーグレイをラインアップ

2019年に世界第4位の出荷を記録したRedmi Noteシリーズ

 日本のスマートフォン市場は国内外のメーカーが参入し、さまざまなモデルで競争をくり広げているが、そんな国内市場に昨年、新たに参入したのがシャオミ(Xiaomi)だ。同社は2010年4月に設立され、2011年に最初のAndroidスマートフォンを発売した中国の端末メーカーだ。2014年にグローバル市場に進出し、数多くの製品を市場に送り出してきた。近年はIoT家電などにも参入し、「Xiaomi」ブランドを多方面に展開することで、同社のファンを増やし続けている。

 そんな同社が昨年12月、ついに日本市場に参入し、フラッグシップモデルの「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」を日本のオープン市場(SIMフリー市場)にリリースした。オンライン限定の販売ながら、各方面での反響は大きく、多くの日本のユーザーが参入を待ち望んでいたことをうかがわせた。ちなみに、同社は昨年の段階で、90の国と地域の市場に参入し、その半数の市場でトップ5のシェアを獲得している。

 そして、今回、日本市場向けの第2弾のラインアップとして発表されたのが「Redmi Note 9S」と「Mi Note 10 Lite」の2機種だ。

 「Mi Note 10 Lite」はそのネーミングからもわかるように、昨年12月に発売されたフラッグシップモデル「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」の普及価格帯向けモデルという位置付けだが、もうひとつの「Redmi Note」(レドミ ノート)というネーミングのモデルは、日本市場向けには初投入のシリーズになる。

 シャオミのラインアップにおいて、Redmiシリーズはコストパフォーマンスの良さを追求したシリーズとして知られ、グローバル市場ではエントリー向けの「Redmi」や「Redmi A」、ミッドレンジ「Redmi Note」「Redmi Pro」などのラインアップを展開している。なかでもRedmi Noteシリーズはグローバル市場でも非常に人気の高いシリーズで、2019年のスマートフォン出荷台数では第4位を記録し、シリーズの累計販売台数はすでに1億1000万台を超えるなど、実力派のモデルとして世界中で高い評価を得ている。

 今回、国内向けに発表された「Redmi Note 9S」は、そんなRedmiシリーズのミッドレンジに位置付けられるモデルになる。通常価格は2万9800円(税込/以下同)、MVNOモデルは2万4800円とお手頃で、後述するスペックなどを考え合わせると、かなりコストパフォーマンスの高いモデルと言えそうだ。今回はオンライン販売だけでなく、家電量販店でも販売されるため、より多くのユーザーが興味を持つモデルになりそうな印象だ。

美しいシンメトリーなデザイン

背面に中央の上側にカメラをレイアウト。「Xiaomi」のロゴではなく、「Redmi」のロゴがプリントされている

 まず、外観からチェックしてみよう。国内には参入したばかりのシャオミだが、端末のデザインや仕上げはグローバル市場でも高い評価を得ており、今回のモデルもミッドレンジのモデルでありながら、美しく上質なデザインに仕上げられている。

 本体の4つのコーナー部は建築や工業デザインなどで採用されるG3曲率設計に基づいてデザインされており、背面は左右側面へ向けてラウンドした3D曲面ガラスで仕上げ、上部中央にカメラをレイアウトしたシンメトリーな(左右対称な)デザインにまとめている。同時発表の「Mi Note 10 Lite」をはじめ、最近はカメラ部を片側に寄せた背面デザインが多い中、印象的なデザインと言えそうだ。

背面は左右対称の美しいデザイン。ガラスを使い、このクラスとは思えないほどの仕上がり

 本体前面には「Tiny Dot Display(タイニー・ドットディスプレイ)」と名付けられた6.67インチフルHD+対応液晶ディスプレイを搭載する。解像度は2400×1080ドットで、縦横比は20:9、輝度は450nit、コントラストは1500:1というスペックを持つ。「Tiny」と呼ばれるのは上部中央に開けられたインカメラのパンチホールで、水滴型ノッチなどに比べると、小さなホールに抑えられているため、画面占有率は91%にも達し、ディスプレイそのものを持ち歩いているような仕上がりとなっている。

 ガラスは前面、背面ともに、Corning Gorilla Glass 5を採用し、独テュフReinlandによるローブルーライト認証も取得し、目に優しいディスプレイとなっている。防水防塵対応ではないが、表面には水によるダメージを防ぐナノコーティングが施されており、水滴や雨などには耐えられる設計となっているという。

 ボディカラーはAurora Blue(オーロラブルー)とGlacier White(グレイシャーホワイト)Interstellar Grey(インターステラーグレイ)の3色展開で、日本市場向けにはAurora BlueとGlacier Whiteが最初に発売される。今回はAurora Blueを試用したが、20の行程を経て実現したとされるカラーは、非常に美しい仕上がりと言えるだろう。

左側面はSIMカードトレイのみを備える。カメラ部は突起があるため、カバーの装着がおすすめ
右側面はシーソー式の音量キー、指紋センサー内蔵の電源キーを備える
下部はUSB Type-C外部接続端子、3.5mmイヤホンマイク端子を装備

 生体認証は本体右側面の電源ボタンに内蔵された指紋センサーが備えられている。ユーザーの好みにもよるが、背面の指紋センサーに比べ、側面に備えられ、電源ボタンと一体化しているため、端末を右手に持ったとき、自然にロックが解除され、使いやすい印象だ。ちなみに、2Dの顔認証も利用できる。

電源ボタンに指紋センサーを内蔵。電源ボタンを軽く一度、押せば、すぐにロックが解除され、使いはじめることができる
初期セットアップで指紋を登録するとき、画面には指紋センサーの位置がガイドされる
顔認証は2D対応のものだが、通知の表示やロック解除後の動作なども細かく設定できる

1クラスの上のパフォーマンスを実現

 チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 720Gを採用する。この価格帯の端末では元々、Snapdragon 4xxを搭載するモデルが多く、昨年後半あたりからSnapdragon 6xx搭載モデルが増えてきたが、Redmi Note 9Sはこれらよりも1クラスも2クラスも上位のチップセットを搭載する。当然のことながら、パフォーマンスにも違いがあり、Qualcommの第5世代のAIエンジンが組み込まれ、ゲームユーザーのニーズにもしっかりと応えられるパフォーマンスを実現している。

 メモリーとストレージは2つのモデルがラインアップされ、ひとつは4GB RAMに64GBのストレージ、もうひとつは6GB RAMに128GBのストレージという構成になる。この他に最大512GBのmicroSDメモリーカードを装着することができる。

 ネットワークについては国内の主要3社の4G LTEネットワークに対応するほか、海外などで利用するW-CDMA/GSM/TDD-LTEなどの各方式に対応する。

 SIMカードはnanoSIMカードのデュアルSIM&デュアルスタンバイ構成で、2枚のSIMカードを装着した状態でもmicroSDメモリーカードを装着可能なトリプルスロット仕様となっている。既存の主要3社のSIMカードを利用しながら、MVNO各社のSIMカードをいっしょに装着し、データ通信量を節約したり、2つの音声回線でプライベートと仕事用を使い分けるといった活用もできる。

SIMカードトレイはピンで取り出すタイプ。2枚のnanoSIMカードとmicroSDカードを同時に装着できるトリプルスロットを採用
出荷時に設定されてるNTTドコモ網のAPN。NTTドコモの「spモード」やIIJmioなどは登録されている
出荷時に設定されてるau網のAPN。auのAPNのみが設定されており、MVNO各社のAPNは手動で登録する
出荷時に設定されてるソフトバンク網のAPN。ソフトバンクとワイモバイルは設定済みだが、MVNO各社のAPNは手動で登録する
楽天モバイル(MNO)のSIMカードも認識し、自動的にAPNが設定され、データ通信なども利用できた

 バッテリーは5020mAhの大容量バッテリーを搭載し、一般的な利用であれば、2日以上の動作を可能にする。これだけの大容量のバッテリーを搭載しながら、本体は約薄さ8.8mm、幅76.68mmというスリムで持ちやすいサイズに仕上げられているのも注目すべき点だ。充電は最大18Wの急速充電に対応し、パッケージには22.5W対応のACアダプタが同梱される。

バッテリーのメニューでは電源のON/OFFのスケジュールやアプリごとの動作設定なども可能
パッケージにはUSBケーブル、22.5W対応ACアダプタ、クリアケースが同梱される

 プラットフォームはAndroid 10ベースのMIUI 11を搭載し、日本語入力はGboardを採用する。MIUIはシャオミ独自のユーザーインターフェイスやホームアプリなどを統合したもので、基本的な操作はAndroidに準拠しながら、オリジナルの使い勝手を向上させている。

日本語入力はGoogleのGboardを採用

 ホーム画面にはインストールされているアプリのアイコンが並び、上方向にスワイプして検索を表示したり、下方向にスワイプして通知パネルを表示、最初の画面から右にスワイプしてGoogle Discoverの表示などができる。検索やGoogle Discoverの表示などはカスタマイズすることも可能だ。

ホーム画面にはすべてのアプリが表示される仕様。ウィジェットで時間や天気予報なども表示される
ホーム画面もカスタマイズが可能。右にスワイプしたときの「Google Discover」の表示、上にスワイプしたときの検索画面なども変更できる
設定画面はMIUIを採用しているため、一般的なAndroidスマートフォンと異なるが、十分わかる範囲の違いだ
メモリークリーナーやセキュリティスキャンなどの機能が用意されたツールもプリインストールされる

 全体的に見て、Android標準とは少し違う部分もあるが、カスタマイズなどの自由度は高く、自分好みのユーザーインターフェイスに仕上げていくことも可能だ。

通知パネルの一画面め。電子書籍などが見やすい「読書モード」などもすぐに切り替えられる
通知パネルの二画面め。ダークモード、ホットスポット(テザリング)などの切り替えも可能。最上段の「DND」は「Do Not Disturb」の略で、いわゆる「おやすみモード」のこと

AI対応4眼カメラを搭載

 現在、国内外の各社がスマートフォンでもっとも競っている機能と言えば、やはり、カメラだろう。Redmi Note 9Sはこの価格帯の端末としては、異例とも言える4眼カメラを搭載する。

背面中央に4眼カメラを搭載。カメラ部の下にLEDフラッシュも装備

 カメラは本体の背面中央の上部にレイアウトされており、4つのレンズが格子状に並び、その真下にLEDフラッシュが搭載される。背面から見て、右上が4800万画素イメージセンサーにF1.79のレンズを組み合わせたメインカメラで、センサーの画素ピッチは1.6μm。その左隣に位置するのが800万画素のイメージセンサーにF2.2のレンズを組み合わせた119度の超広角カメラで、画素ピッチは1.12μm。左下にレイアウトされているのは500万画素のマクロレンズで、2cmから10cmのマクロ撮影(接写)に対応する。右下は被写界深度を測る200万画素の深度センサーになる。

 撮影モードについてはカメラを起動し、左右にフリックすることでカメラモードを切り替えることができ、一般的な[写真]や[ポートレート]などのほかに、[夜景]や[パノラマ]、メインカメラをフルに活かした[48M]を選ぶことができ、[プロ]を選べば、細かな設定を変更しての撮影にも対応する。動画も[ビデオ]や[ショートビデオ]、[スローモーション]が用意されている。ファインダー内右上のメニューから選ぶと、[マクロ]や[水平器]、[グリッド]、[Googleレンズ]などの機能を選べ、[カメラフレーム]では縦横比を[1:1]、[Full]、[3:4]、[9:16]から選ぶことができる。

モデル:るびぃ(ボンボンファミンプロダクション)
カメラ起動時、左右にスワイプすることでカメラモードを切り替えることができる

 前面のパンチホールに内蔵されたインカメラについては、1600万画素のイメージセンサーにF2.48の5群レンズを組み合わせたものが搭載されている。視野角は82.4度と広く、グループで撮影したり、背景を活かしたセルフィーも撮影しやすい。美肌や小顔などの美顔効果を活かした撮影にも対応する。

前面カメラはディスプレイ内のパンチホールに搭載。ディスプレイには出荷時に実使用が可能な保護フィルムが貼られている

 4眼カメラとセルフィーカメラによる実際の仕上がりは、それぞれ作例を見ていただきたいが、ポートレートや風景など、さまざまなシーンで、美しく撮影することができている。カメラのユーザーインターフェイスも素直な構成で、非常にわかりやすく、はじめてのユーザーにも操作しやすいことも評価できるだろう。

モデル:るびぃ(ボンボンファミンプロダクション)
曇天の日だったが、ポートレートで撮影
室内で撮影。背景が明るい逆光のシーンでも顔を認識して、明るく撮影できた
ポートレートで撮影しておくと、[ギャラリー]で[編集]を選ぶと、背景のぼかしレベルなどを自由に変更できる
同じように[ギャラリー]で[編集]を選び、[ライトトレイル]で光のエフェクトを調整
花を撮影。何も調整していないが、うまく背景もぼけている
夜景モードで撮影。明るい部分が浮かび上がるような写真が撮影できた
バーで撮影。上からのライトが当たっているが、バランス良く撮影できている
インカメラでセルフィーを撮影。顔をしっかりと捉え、背景も自然にぼけている

3万円を切る価格で、思い切り楽しめる「Redmi Note 9S」は買い!

 グローバル市場向けにスマートフォンやIoT家電などを数多く提供し、長らく日本のユーザーから参入を期待されていたシャオミ。

同時に発表された「Mi Note 10 Lite」(左)と「Redmi Note 9S」(右)。価格差は約1万円~1万5000円程度
「Mi Note 10 Lite」(左)と「Redmi Note 9S」(右)の背面。カメラ位置だけでなく、縦方向と横方向で、デザインも大きく違う

 昨年の参入第1弾となった「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」に続き、第2弾のラインアップとなる「Redmi Note 9S」と「Mi Note 10 Lite」が発表され、今回はその内の一台である「Redmi Note 9S」を試用したが、その内容はとても3万円を切る価格とは思えないほど、充実したものだ。

 美しいデザインのボディにはじまり、ライバル機種と比較して、1クラスも2クラスも高いパフォーマンス、美しい写真を簡単に撮影できる4眼カメラなど、満足度の高い仕上がりで、非常にコストパフォーマンスの高い一台だ。

 あと1万円ちょっとの予算を追加できれば、シリーズこそ違うものの、さらに1クラス上の「Mi Note 10 Lite」を選べるのは、ある意味、うれしい悩みどころだが、「Redmi Note 9S」はこの価格帯でもっともコストパフォーマンスの高い一台であることは確かであり、カメラを中心に思い切り楽しみたいユーザーにおすすめのモデルと言えるだろう。

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