UNiCASE特選スマホケース&グッズ

キャッシュレス移行時代にちょうどよい小銭も入るiPhoneケース「Wrapup」

Wrapup

 「Wrapup」は、フリップタイプのiPhone用ケースだ。商品企画や設計はthe150(ワンファイブオー)が担当し、製造や販売でUNiCASE(CCCフロンティアデザイン)が協力している。昨年6月にiPhone X/XS向け製品が商品化されているが、今回はそのiPhone 12/12 Pro向けとiPhone 12 mini向けバージョンで、クラウドファンディングによって商品化されている。

 このWrapup、見た目もアウトドアギアっぽくて特徴的だが、構造や使い勝手もほかにはない、ユニークな特徴を持っている。今回はこのWrapupをお借りすることができたので、the150の事業部長である小原氏とCCCフロンティアデザインの矢原拓社長から聞いた製品の特長ポイントとともにレビューをお届けする。

ちょっと変わった、しかし機能性重視のフリップ構造

このようにフリップが2枚つながっていて、各フリップに大きな面ファスナーが付いている
本体の裏面にも面ファスナーがある。柔らかいループ面なので衣類などにひっかかりづらい

 このケース、フリップが他製品にない特徴的な構造となっていて、いろいろな使い方ができるようになっている。まずはこのフリップの構造を解説しよう。

 フリップは2枚になっていて、先端側のフリップを折りたたんで使うようになっている。このフリップの内側と本体の裏面(カメラのある面)には面ファスナーがあり、さまざまなスタイルで利用できる。

2枚のフリップを合わせるのが基本スタイル
内側がやや分厚くなるのでフリップを閉じるとやや浮く感じ

 利用時の基本スタイルは、先端側のフリップを折り曲げ、中間のフリップに貼り付ける状態だ。中間のフリップにはポケットがあるのだが、こうすると先端側のフリップがポケットのフタになってくれる。フリップ内側の厚みが増すので、若干フリップが閉じにくくなるが、フリップ部が柔軟な素材でできているので、ひっくり返せばiPhoneの自重でも閉じるようになっている。

先端フリップの面ファスナーを本体裏面の面ファスナーに貼り付けた状態。落としたりしても意図せずにフリップが開くことはほとんどなくなる

 先端側のフリップを本体の裏面に貼り付けると、フリップを閉じた状態でガッシリと固定できる。カバンの中などで開いて誤操作する心配もないし、落下時に画面が地面に衝突する心配もない。

 この状態だと開くのに手間がかかるが、iPhoneがほぼ完全に保護されるので、ランニングやハイキングなど、スマホの利用頻度が低いけど落下保護が必要、というシチュエーションでは非常に頼りになる。ただし通知や時刻の確認にも手間がかかるので、Apple Watchなどのウェアラブルとの併用がオススメだ。

ショルダーバッグのベルトにフリップを巻き付けた状態。ベルトは薄めの方が巻き付けやすい

 フリップをカバンのベルトなどに巻き付けるようにして固定することもできる。ただしベルト部にiPhoneの画面が接するので、ベルトに金属の硬い部品がある場合はやめておこう。また、転倒などの衝撃で外れることもあるかもしれないので、たとえば登山中やランニング中、サイクリング中などは、ストラップでカバンか衣類、バイクと結びつけておくと安心だ。

簡易スタンドにもなる、けどポケットに入っている小銭はこぼれ落ちるかもなので注意

 あとはメーカー側もあまり想定してない使い方だと思うが、フリップを横置きスタンドとして使うこともできる。角度調整できないし、中間フリップのポケットを蓋がない状態で下に向けるので小銭などは滑り落ちる危険性があるが、ポケットに紙幣やカード、名刺しか入れてないなら実用になりそうだ。

キャッシュレス時代にちょうど良い伸縮素材のポケット

フリップのポケットに小銭などを入れることができる

 Wrapupはどのような狙いを持った製品なのか。the150の小原氏は「キャッシュレス化が進行している環境に最適なスタイルを模索して生まれた製品」と説明する。

 「キャッシュレスなら小銭入れになるポケットは不要では」、そう思われるかも知れないが、よくよく考えてみるとそうもいかない。確かにこの2~3年でQRコード決済やiD、QUICPayなどの電子マネーに対応し、スマホだけで決済できるお店が急増した。筆者も近所の外出では現金を持ち歩かなくなってしまったが、そういう人は増えているのではないだろうか。

 しかし現金が完全に不要になったわけではない。キャッシュレス対応していない屋台などの小さなお店での買い物、キャッシュレス対応したコンビニでも粗大ゴミ処理券の購入や公共料金の支払いなど、「たまに」ではあるが、現金が必要となる。

 その「たまに」しかない機会のためだけに小銭入れを持ち歩くのは、いかにも面倒だ。かといって他社の小銭入れ付きのスマホケースは、小銭を入れていない状態でもそれなりのサイズになりがち。かさばり度合いでは、スマホと財布を別々に持ち歩くのと大差がない。

左は筆者が愛用しているabrAsusの「薄い財布」。財布としてはかなりコンパクトだが、それでもiPhone 12 miniと並べると大きく感じられる。財布ってけっこう大きい持ち物だよね……

 ここがWrapupの最大のポイントだ。Wrapupのフリップ外装には伸縮性のあるストレッチナイロン素材が使われている。何も入れていないときはカード入れと大差のない薄さだが、小銭を入れても、財布ほど分厚くなることはない。

 普段使うお店のキャッシュレス化が進んでいるなら、紙幣を1枚だけ入れておいて、突発的に現金が必要になったときだけお釣りをポケットに入れる、なんていう使い方がオススメだ。入れておく小銭は最小限とし、余った小銭は普段は持ち歩かない現金用の財布に移したり貯金したりするのも良いだろう。

 ポケットには小銭に加え、カードも入れる余裕がある。ここには運転免許証や会員カード、予備の名刺などを入れておくのも便利だ。そこそこ厚みがある小物も入るので、自宅や車の鍵を入れても良いかも知れない。現金が必要になったときに備えて銀行のキャッシュカードを入れたいところだが、iPhone 12シリーズは背面にMagSafeの磁石が内蔵されているので、磁気ストライプを使うカードは注意が必要だ。

紙幣は3つか4つに折らないと入らないが、小銭はかなり入る。入るけど、入れすぎずスリムに使いたい

 Wrapupのメリットは、「財布を持ち歩かなくて良い」ということに尽きる。もちろん、電車で都市部に買い物に行くときや旅行など、「いま現金がないから明日でいいや」というわけにいかない外出時は、現金入りの財布を持っていくべきだろう。しかし決まったお店にしか寄らない通勤・通学や近所のちょっとした買い物、ウォーキングなどでは、財布を持ち歩かなくても良くなる。

 財布を持ち歩かないなら、その分、ポケットを占有しなくなるので、衣類やカバンの選択肢が広がる。また、スマホだけ持ち歩けばいいので、財布を自宅や職場、飲食店などに置き忘れることによる、紛失と支払いができないという2重のリスクも防げる。

 ただしスマホを飲食店などに置き忘れることが多い人は、スマホだけでなく現金も紛失することになるので注意が必要だ。ネックストラップなどを活用するのも良いだろう。

ファスナー付きミニポケットとその左右が分割されているので、衛生的に小銭と一緒にしたくないものも入れておける

 ポケットには外側のファスナーかフリップ側面部から中にアクセスできる。ポケットの内部にはさらにファスナーの付いたミニポケットがあり、そのミニポケットが間仕切りとなって、収納部は3つに分割されている。小銭と名刺を一緒に入れておくと、名刺が汚れてしまったりするので、収納を分けられるのはけっこう便利だ。

 小銭をまったく入れないなら、別の小物を入れることもできる。USBストレージや薬などある程度の厚みがあるものも入るし、microSDカードやSIMカードなど本当に小さなモノはファスナー付きのミニポケットに入れておくと便利だ。

iPhone 12 mini用の製品でも名刺はけっこう入る。人と会う機会が減って名刺入れを忘れがちないまこそ、ここに名刺を入れておけるのは便利かも

 ちなみに、同じWrapupでも、iPhone 12/12 Pro用よりもiPhone 12 mini用の方がポケットが小さい。しかしmini用のジッパー付きミニポケットでも、カードが入るくらいのサイズだ。名刺もそこそこの枚数を入れられる。

細部までこだわり抜かれた頑丈で丁寧な作り

3種類のカラーはミリタリーやアウトドアのギアっぽいテイスト

 カードなどの収納付きフリップケースは、女性向けデザインが多いが、Wrapupはアウトドアテイストが強めだ。3種類あるカラーはいずれもアウトドアやミリタリーっぽい落ち着いたもので、どんなシチュエーションでも悪目立ちすることはないだろう。

縁の部分はパイピングで補強されている。細かい部分の作りが非常に丁寧でコストかかってるなぁ、と思ってしまう

 フリップの外装は伸縮性のあるファブリック素材だが、ふちにはパイピングの補強が入ったりして、手間をかけて頑丈に作られている。

 パイピングはカバンなどにはよく使われる手法だが、スマホケースくらい小さい製品だと、形状に合わせて縫製するのが難しいため、あまり使われていない。しかしWrapupでは耐久性にこだわり、パイピングを採用している。CCCフロンティアデザインの矢原氏によると、「通常は工場が持っている技術しか使えないが、今回は工員の教育から行なって実現した」という。

 こうしたthe150の強いこだわりが製品のさまざまな部分のディティールに反映されている。

止水ファスナーは縫い目もしっかり止水テープで留められている。ファスナー金具にパラコードを付けて引っ張りやすくしてるのもアウトドアギアっぽい

 防水というわけではないが、フリップの素材は撥水性があり、外側のファスナーはYKKの止水仕様なので、ちょっと雨に濡れたくらいで中までびしょ濡れ、ということもない。名刺などを入れていても大丈夫そうだ。

ハトメ付きのストラップ穴。ここから裂けたりしないようになってるわけだ

 ヒンジに当たる部分にはやや固い補強材が中に入っていて、ストラップ穴にはハトメも付いている。このストラップ穴には付属の細いストラップだけでなく、2mmくらいのパラコードを通すこともできた。付属のストラップだけでも落下を防ぐには十分だが、パラコードを編んだりしてアクセサリー風にするのも面白そうだ。付属のストラップはカラビナ風になっていて、ネックストラップやカバンなどにぶら下げやすい。

本体は二重構造。UNiCASEの耐衝撃ケースのノウハウが存分に投入されたタフネス仕様だ

 MILスペックの耐衝撃性能も持っている。フリップを面ファスナーで閉じておけば画面が保護されるので、普通の落とし方で画面が割れることはなさそうだ。本体部分はUNiCASEの耐衝撃ケースではおなじみのポリカーボネートとTPUの二重構造で、フリップ側も柔らかい伸縮素材なので、衝撃には強い。もちろん絶対に大丈夫とは言えないが、並のケースとは比べものにならない保護性能がある。

普通のフリップケースだと弱点になりがちなカメラ部も、Wrapupはフリップを裏面まで回すとほぼ隠れるので、屋外で落下させたときの防御力が高い

 本体が二重構造で、さらに背面全体が面ファスナーになっている。蓋を開くとワイヤレスで充電できる。ちなみに内側のTPUのインナージャケットだけなら、MagSafeも利用できる。もし分離が手間に感じられるようであっても、Lightningケーブルで手っ取り早く使えるのもイイ。

オマケに付いてくるストラップとカラビナ。デカい方のカラビナはカバンや衣類のベルトなどに通しておいて、ストラップと接続する、みたいな使い方ができる

 Wrapupの価格は1万2800円(税抜)と、スマホケースとしてはやや高額な部類に入る。しかし、しっかりとディティールまで作り込まれた財布として考えると、このくらいの価格が妥当とも思う。財布もスマホも必ず使うものだから、便利な製品にコストをかける価値がある。

 財布は長く使うアイテムだ。頑丈で便利な点にコストをかける価値がある。一方で、スマホケースはデザインの異なるスマホに買い換えると使えなくなる。そのため、もしかしたら1年、2年と短いサイクルでiPhoneを買い換える人は、ちょっと「Wrapup」へ及び腰になるかもしれないが、こだわりある仕上げ、タフネス性、そして自由をもたらしてくれる使い勝手を考えると、十分な価値がある。

 見方を変えれば、「Wrapup」とともに3年、4年と長くiPhoneを使い続ければ、その分、コストを節約することに繋がる。その浮いた分を見越してWrapupのようなアクセサリーを揃える方がイイ、という考え方もオススメしたい。未来に登場するiPhoneのカメラがパワーアップすることも大切だが、財布を持ち歩かないで済むようになる方が、実は日常生活に対するインパクトは大きいのではないだろうか。

 もう少し時間はかかるかもしれないが、いずれ、完全なキャッシュレス社会が実現し、財布は不要になるかもしれない。でも、それまでの間、いわばキャッシュレスに移行する過渡期である2021年の今、Wrapupで財布不要の生活を送ってみてはいかがだろうか。