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群雄割拠のスマホプラン、最も賢い通話の仕方は?

群雄割拠のスマホプラン、最も賢い通話の仕方は?

新料金、音声通話付きSIM登場を受け、おトクな通話サービスを改めて考察

 NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルという主要3キャリアが、従来と異なる料金プランを打ち出したのは記憶に新しいところ。目玉となるのは、定額で24時間国内通話し放題になるという音声通話サービスの拡充だ。

新料金プランが出そろい、音声通話付きSIMも増えてきたが、賢い通話の仕方はあるのだろうか

 その一方で、いわゆる“格安SIM”と呼ばれる、MVNOが提供するSIMフリー端末向けサービスの台頭も著しい。少し前まではデータ通信にのみ対応したものが多かったが、最近では音声通話が可能なサービスも増えてきている。

 いずれも、ユーザーが自身のスマートフォンの使い方に合ったプランやサービスを選択すれば、月額コストを安価に抑えられる、という点でコンセプトは同じ。ただ、通話のみに限ると、どれだけおトクになるのだろうか。もっと節約する方法はないのだろうか。各社の料金プランを改めて振り返りながら考えてみよう。

3キャリアの新料金プラン、どれくらい通話すればおトクに?

 ドコモが提供する「カケホーダイ」は、月額基本料金2916円(2年契約時、税込・以下同)で、これに国内通話の料金が含まれる。かけた相手や時間を問わず、いくら電話しても通話料金が追加でかかることはない。従来の料金プランのうち、たとえば「タイプXi にねん」(基本料金802円)の通話料金、30秒当たり21.6円で計算すると、「カケホーダイ」の基本料金との差額には48分56秒相当の通話時間が含まれていることになる。

 つまり、(通話料は30秒ごとの課金だが)48分57秒以上通話する場合に、「タイプXi にねん」より「カケホーダイ」の方がおトクになるということ。この時間をオーバーするユーザーは、「カケホーダイ」プランに切り替えれば、少なくとも通話料金においては費用を抑えられることになる。逆にそこまで通話しないユーザーは、従来の「タイプXi にねん」などを維持した方が良い、ということだ。

 ただし、「タイプXi にねん」や「タイプXi」、「Xiトーク24」の各プランの新規受付は、2014年8月31日で終了する予定。それ以降に新規契約する人は、「カケホーダイ」しか選べなくなってしまう。スマートフォンを購入する予定がある人で、それほど通話しないという場合は、早めに「タイプXi にねん」などで契約した方が良さそうだ。

 料金プラン改革を真っ先に打ち出し、結果的に「スマ放題」で他のキャリアと足並みをそろえる格好となったソフトバンクも、ほぼ似たような状況。月額基本料金2916円(2年契約時)で、国内通話し放題だ。従来の「ホワイトプラン」(月額1008円)で考えると、通話料金は30秒あたり21.6円で同じだが基本料金はやや高くなるので、ドコモより若干短い約44分10秒が通話時間の目安。それ以上電話するのであれば、通話料金上は「スマ放題」プランを選んで間違いない、と言える。

 しかし、この「ホワイトプラン」についても、2014年8月31日以降の新規受付終了が予告されている。長時間通話しないのであれば、早めに「ホワイトプラン」で契約したいところだ。

 auの「カケホ」も同様。月額基本料金が2916円(2年契約時)で、この中に国内通話し放題が含まれる。従来プランの基本料金もソフトバンクと同じ月額1008円、通話料金は30秒当たり21.6円だから、従来プランの通話約44分10秒で「カケホ」の基本料金に到達することになるわけだ。

 auのみ、7月末時点で従来プランの受付停止は予告されていない。「カケホ」が自分の使い方に合わないのなら、当面は従来プランで契約して端末を新規購入できる。とはいえ、どのキャリアにおいても、従来プランが将来にわたってそのまま継続されるかどうかは不透明だ。

スマートフォンでの各社プランにおける通話料金

 まとめると、長時間通話しない、できるだけ節約したいユーザーは、2014年8月31日までに新規契約(または契約変更)を決断する必要がある。ただし、従来プランで契約すると、一定の通話時間までは節約につながるが、突発的に通話時間が長くなった場合、その分高額な料金を支払わなければならない可能性がある点に注意しておく必要がある。

音声通話付きSIMの通話料金は?

 では、次々に新しいサービスが始まっている音声通話付きSIMで電話をかける場合はどうだろうか。MVNOが提供している多くのサービスでは、データ通信のみのタイプ、携帯電話網を用いた音声通話が可能なタイプ、IP電話サービスをセットで提供する形で音声通話を可能にしているタイプの、主に3通りがある。

 このうち携帯電話網を用いた音声通話が可能なSIMでは、ほとんどが30秒当たり21.6円。各社のサービスは料金の安さをうたってはいるものの、基本的にはデータ通信にフォーカスしていて、通話料金は各キャリアにおける従来プランの設定をそのまま踏襲しているようだ。

 IP電話をセットで提供しているサービスについては、携帯電話宛で1分当たり19.44円や、固定電話宛て3分8.64円と、一般的な通話料金の半額か、もしくはそれ以下に設定しているところもある。ただ、IP電話ではインターネットを介してデータ通信で通話することから、通常の携帯電話網を用いた音声通話よりも音質、安定性の面で不安がある。

 また、MVNOがSIMカードだけを提供するようなサービスは、もともと料金とのトレードオフで1カ月間の通信量・通信速度が低めに制限されていることもあり、IP電話で長時間通話するほど、その分、通常のネット利用にまで影響がおよぶ可能性がある。データ通信を抑えて費用を安く上げるために選んだはずが、結果的に通話も通信も満足に使えない状況に……なんていうパターンに陥る可能性はゼロではない。

G-Callなどの半額以下で通話できるサービスを組み合わせるべし

 では、各キャリアの従来プランにしろ、音声通話付きSIMサービスにしろ、可能な限り通話料金を節約する方法にはどんなものがあるのか、考えてみよう。

通常の通話料金の半額以下で通話可能な「G-Call」

 1つは、通常の携帯電話網を利用しながら安価に通話できる電話サービスを利用する方法だ。そうしたサービスの1つである「G-Call」は、一般的な通話料金の半額以下となる30秒当たり10円(非課税)で、国内の携帯電話、固定電話にかけることができるもの。

 使い始めるにあたっては、G-Callの公式サイトからあらかじめ申し込む必要があるが、一度ユーザー登録が完了すれば、相手先の電話番号の頭に所定の数字を付加して電話をかけるだけで、割安料金が適用されるようになる。回線は携帯電話網のため、普通に電話をかけるのと変わらない高音質でやりとりできるのも特徴だ。

 キャリアのプランではもちろんのこと、MVNOのサービスでも、090/080/070番号をもった音声通話が可能な端末であればG-Callを使うことが可能。キャリアの従来プランで契約している場合、1カ月間にドコモなら105分42秒まで、KDDIとソフトバンクなら95分24秒までに通話時間が収まる限り、G-Callを組み合わせた方が通話し放題プランよりおトクになるのだ。

料金の集計機能などもあり、ビジネスでも使いやすい
G-Call併用時の通話料金

 もう1つの節約方法は、やはりIP電話やSkype、LINEといったデータ通信を使った通話サービスを利用するものだろう。キャリアのプランでは月間数GBで通信速度制限などが課せられてしまい、音声通話付きSIMにおいても、サービスによっては数百MBや1GBといった通信量で制限に達してしまうため、前述したようにデメリットにもなりえる。しかし、毎月使用する通信量をある程度予想できたり、月末が近いタイミングであれば、余る分の通信量をIP電話などの利用に充てるのも賢い方法と言えそうだ。

 その一方で、仕事などに使っていて毎月ガンガン通話するようなユーザーは、当然ながら通話し放題のプランを選ぶのが無難だろう。そうではなく、通話はそこそこ、データ通信も派手に使わない、というユーザーにとっては、オーバースペックな通話し放題プランを避け、従来プランもしくは音声通話付きSIMを選んだうえで、G-CallやIP電話などを上手に組み合わせるのが、今の時代に合った最もスマートな使い方ではないだろうか。

日沼諭史