レビュー
iPhone版「LINE電話」速攻レビュー
iPhone版「LINE電話」速攻レビュー
iTunesカードで通話料を支払いも
(2014/5/2 23:14)
iPhone版のLINEでいよいよ「LINE電話」がスタートした。LINE電話は、おなじみのLINEのアプリから固定電話や携帯電話の電話番号宛に電話をかけられるというサービスだ。普通の携帯電話よりも安価な料金で利用できることが特徴となっている。
すでに3月からAndroid版ではサービスが開始されていて、レビュー記事(※参考)も掲載済みなので、そちらもご参照いただきたい。基本的にはiPhoneでもAndroid版と同じサービスを利用可能ながら、一部に違いもある。そうした違いに触れつつレビューをお届けする。
アプリをアップデートすれば、すぐ利用可能に
すでにLINEを利用していて、iPhoneにLINEアプリがインストールされていれば、アプリをApp Storeでアップデートするだけで、LINE電話が利用可能になる。ただし、SMSを使った電話番号認証をしておかないと、LINE電話での発信者番号通知(ドコモ宛は非対応)利用できないが、認証自体は簡単なので問題はないだろう。
アプリが新しくなると、LINEの「その他」に「LINE電話」という項目が追加される。ここをタップすると、LINE電話を利用できる。この画面への遷移が若干面倒とも感じる。頻繁に使うならば、標準画面の下タブにアイコンを移動させて欲しいところ。
LINE電話は「電話をかける」だけのサービスで、「電話を受ける」ものではない。そのためアプリは「電話をかける」機能に特化している。
電話はダイヤル画面から、相手の電話番号を手動入力する、あるいはiPhone標準のアドレス帳のデータを利用して発信できる。アドレス帳を利用したい場合、iPhoneの設定画面にある「プライバシー」→「連絡先」で、「LINE」をオンにして、LINEアプリによるアドレス帳データへのアクセスを許可する必要がある。LINE側の設定によってはアドレス帳のデータが友だち検索に利用されるので、それが困るという人はあらかじめLINE内の設定を確認しておこう。
LINE内のアドレス帳画面は検索ができるものの、よく使う項目や索引などの機能がないので、登録数が多い人は若干使いづらそうだ。
ユニークな機能としては、現在地付近のお店や施設をリストアップしたり、検索してお店を探すこともできる。すべてのお店が対応しているわけではないが、飲食店や美容院など、予約の電話をかける機会の多い業種が中心のようだ。
この機能は、Android版と同じではあるのだが、意外とお店のデータが充実していることはあらためて紹介しておきたい。試しに筆者が住む渋谷周辺では、行きつけの飲食店や美容院、病院のいずれも検索することができた。しかも無料通話対応のところがけっこう多い。
ただし、どのお店でも検索できるわけではないよう。たとえば試しに、とある家電量販店を検索したところ、いちばん近い店舗は示されず、3.5km先の別の店舗が案内された。
また、各店舗の情報はジャンルと住所のみ。そのため、探したい店舗かどうか判断しづらいのも正直な感想。たとえば店を決めないまま「今日は手頃なイタリアンを、少し遅めの時間から行きたいな」とか思っても、そうしたシーンにマッチする店を見つけられるかといえば、ちょっと使いにくそうだ。
このほか、普通のLINEのメッセージに電話番号が含まれている場合、それをタップすると、「LINE電話で発信」を選ぶこともできる。これはけっこう便利そうだ。ちなみにLINE電話以外にも通常の発信やSMS/MMS送信も可能だ。
Android版と同じだが購入方法に違いがある“料金関連”
料金はプリペイド形式で、あらかじめLINE電話専用の「クレジット」か「30日プラン」を購入してLINEアカウントにチャージし、それを消費して通話する。クレジットはLINE電話のメニュー内もしくはLINEウェブストアから購入する。
料金体系などはAndroid版と同じだ。
「クレジット」で通話する場合は、国内の固定電話宛の発信は3クレジット(3円相当)/1分、ケータイあての発信は14クレジット/1分となっている。なお通話料に消費税はかからない。現在、各社のLTEサービスの料金プラン(NTTドコモが今後導入する通話定額除く)では20円/30秒(税別)となっているので、それに比べると大幅に安い。
課金が1分単位なので、ほかのIP電話サービスと比べ、かける時間によってはどちらが安いか変わってくるが、数十分以上の通話ともなれば、LINE電話の方が安くなりそうだ。
「30日プラン」は固定電話のみと固定・ケータイ両対応の2種類が用意されている。固定電話のみの場合は120円で60分(2円/1分)、固定・ケータイ両対応のの場合は390円で60分(6.5円/1分)となる。「30日」というのは有効期限のことで、30日以内に消費されない場合、残額は消失する。逆に30日以内に使い切ると、「30日プラン」もしくは「クレジット」の追加購入が必要になる。
「クレジット」はアプリ内から購入できる。この場合、App Store/iTunes Storeの決済方法を利用する。App Store/iTunes Storeに登録しているクレジットカードからも購入できるし、iTunesカードの残高からも購入できる。
iTunesカードが使える、というのは人によって魅力になるポイントかもしれない。ときおり量販店などで、額面よりも割安な価格で販売されることもあり、LINE電話の通話単価がさらに安くなる、といった場面もありそう。
ただし、LINEアプリ内で購入できるのは、100クレジット(100円相当)のみ。また、「Android版に移行したときに残高を引き継げない」「アップルによるレート調整の影響でクレジットの単価が変動する可能性がある」「LINEコインは使えない」といった制限事項がある。
一方、WebブラウザからアクセスするLINEウェブストアから購入する場合は、Android版と同様に、最大5300クレジット(5000円)や「30日プラン」を購入できる。しかしLINEウェブストアから購入した場合は、「コールクレジットは購入後、180日間利用できる」というAndroid版と同様の制限がある。
仕組みはAndroid版と同じ
細かい仕組みは公開されていないが、通話の音声をデータ通信でLINE電話側のサーバーに送り、ゲートウェイサーバーを経由して電話網に転送していると見られる。こうした仕組みのため、IP電話部分、つまりインターネットにつながる部分の回線品質によって通話品質に影響がある。
一般的に3G(とくにW-CDMA系)は、LTEよりも遅延が大きくなりがちで、通話品質への影響は大きい。一方、今回、筆者が試したところブロードバンドに繋がるWi-Fiアクセスポイント経由での通話はもちろん、LTE経由でも、音質の劣化などはほとんど感じられなかった。
ちなみにIP電話の宿命として、110番などへの緊急通報には使えない。有料ダイヤルなども非対応だ。
auとソフトバンクの電話番号にかけるときは、発信者番号通知が行なわれる。NTTドコモの電話番号にかけるときは、非通知/通知不可能としてかけることになる。
気軽で安価。あまり通話しない人にこそオススメ。
メールやLINE、そのほかいろいろなSNSやメッセンジャーの普及により、電話をかける機会は減りつつあると思う。しかしそれでも完全にはなくならない。レストランや美容院の予約、量販店の店頭在庫の確認、メーカーへの各種問い合わせ、いろいろな手続きなどなど、生活のさまざまなシーンで電話をかけることがある。
そうしたとき、気軽に安く通話できるLINE電話は便利だ。仕事などで本当にたくさん通話する人は、NTTドコモの「カケ・ホーダイ」やウィルコムの「誰とでも定額」などの方が安く済むかも知れないが、そこまで通話しない人なら、LINE電話は使う価値があると思う。
すでにLINEを使っていれば、新規アカウント登録といった手続きなしで、100円からすぐに使い始められるのも嬉しいポイントだ。通話料金に悩んでいる人も、そうでない人も、LINE電話、ちょっと検討してみよう。