進化したWindows Live徹底研究

スマートフォンでWindows Liveの力をさらに引き出す


スマートフォンに最適化されたユーザーインターフェイス

  前回、前々回と見てきたように、Hotmailの読み書きや、SkyDriveでの写真管理は、ケータイからでも簡単に行える。最低限の作業は、これで十分だ。しかし、Windows Liveの力を最大限引き出すなら、やはりスマートフォンを活用したいところ。Windows Liveは、マイクロソフト製のOSであるWindows Mobileはもちろん、iPhoneやAndroidにも対応。これらの端末からアクセスすれば、ケータイ以上に多機能で直感的に使いこなすことができる。ここでは、iPhoneを例に、スマートフォンでのWindows Liveの使い勝手をチェックしていく。

ケータイ版より使い勝手がいいHotmail

 まずは、Hotmailの実力を見ていこう。Web版は、レイアウトなどがスマートフォン向けに最適化されている。基本的な使い方はケータイ版とほぼ同じだ。メールをまとめてフォルダに移動したり、フラグを付けたりといった操作もできる。表示方法はPC版に準拠し、スレッドごとにメールがまとめられる。JavaScrpitなどを利用したインタラクティブな作りのページになっているため、読み込みも若干スムーズだ。タッチでの操作を前提に設計されており、ショートカットキーは備えていない。


インタラクティブな作りのページで画面遷移が少ないフォルダの移動などもケータイ版と同様行える

 大きく違いが出るのが、添付ファイルの読み込みだ。ケータイ版では、テキストや画像のみの対応だったが、スマートフォン版では、PDF、Word、Excelなどのデータも難なく開ける。iPhoneの場合、アプリをインストールしていれば、ローカルにファイルを保存することもできる。受け取ったデータに若干の手を加えるといった一連の流れが、モバイル環境で完結するのは便利だ。ただし、残念ながらWebメールでは、添付ファイルの追加には非対応となる。添付ファイルを利用したい場合は、後述するようにスマートフォンのメーラーで直接メールを送受信するようにしたい。


開ける添付ファイルの幅が広がる。写真はPDFを開いたところWordで作成した添付ファイルも開くことができる

 一方のSkyDriveはどうだろう? SkyDriveには、画面の右上に表示さている「メニュー」からアクセスできる。ここで「フォト」を選択すればよい。ケータイ版とは異なり、スマートフォン版では、タッチで写真を次々と表示することができる。写真のサイズも大きい。また、SkyDriveには、写真のほか、WordやExcelといったOfficeのファイルも保存できる。こうしたデータを読めるのも、スマートフォンならではのメリットだ。PCであらかじめデータをアップロードしておけば、スマートフォンでいつでも文書や表計算を参照できる。Hotmailの添付ファイルと同様、あらかじめアプリさえ導入してあれば、編集することも可能だ。なお、Webからアクセスだとアップロードの導線が見つからないが、ケータイと同じようにメール(iPhoneの場合はMMS/S!メールなど)でファイルを追加できる。


SkyDriveにスマートフォンからアクセスしたところスマートフォンならOfficeファイルを開くこともできる

iPhoneアプリならMessengerの操作性が格段にアップ

iPhone用のアプリでWindows Liveにアクセス

 WebベースでMessengerを利用する場合は、更新情報の確認のたびに、ページを読み込む必要がある。SkyDriveでは画像の共有などもできない。あくまで、簡易的にメッセージを伝達するためのツールと考えておいた方がよさそうだ。Messengerの機能をモバイル環境で思う存分使いたいなら、iPhone用の「Windows Live Messenger」アプリがオススメだ(Windows Mobile用のアプリも存在する)。9月のアップデートでアプリが日本語に対応し、操作方法も直感的に理解できるようになった。

 Hotmailは、このアプリから直接呼び出すことが可能だ。起動直後に表示される「更新情報」の画面で、右上にあるメールのアイコンをタップすると、Hotmailの受信トレイが開く。基本的な操作方法は、スマートフォン用のWeb版と大きく違わないが、アプリから直接アクセスでき、わざわざブラウザを立ち上げる必要がなくなる。ただし、こちらでも送信メールにファイルを添付することはできない。

 SkyDriveは動作がスムーズで、写真を左右のフリックで次々と表示できる。通信が発生するため、内蔵のフォトアルバムよりは時間がかかるが、Web版と比べるとかなり操作しやすい。サムネールの表示枚数は、ピンチイン&ピンチアウトで変更可能。スライドショーにも対応している。Web版では不可能だった写真のアップロードも、アプリから直接行える。アルバムの作成も可能だ。一方、Messengerではやり取りした内容は、iPhoneのSMS/MMSのようにユーザー別に仕分けされるため、後々振り返りやすい。絵文字の挿入もシームレスだ。Messengerを開いていると、バイブやサウンドで新着のメッセージが通知されるのもアプリならではの機能だ。iOS4のマルチタスキングにも対応しており、通知があるとプッシュで情報を受け取ることが可能。PC以上にリアルタイムなメッセンジャーとして活用できそうだ。


HotmailにもシームレスにアクセスできるSkyDriveの画像も、アプリならスムーズに読み込める
アプリから直接ファイルをアップロードできるのが特徴アルバムの作成にも対応している
チャット形式で見やすいMessenger絵文字もスムーズに入力できる

「Exchange ActiveSync」でメールをリアルタイムに受信

 さらに、Hotmailは「Exchange ActiveSync」に対応しており、スマートフォンのメーラーに直接アカウントを設定できる。しかも、プッシュ配信に対応。メールが届くとすぐに画面に通知されるため、急ぎの用件にも素早くリアクションできる。当然のことながら、機能や操作性は、スマートフォンに搭載されたメーラーに依存する。Web版では不可能だった添付ファイルの追加も、こちらなら問題ない。

 iPhoneの場合、設定は「設定」→「メール/連絡先/カレンダー」で行う。ここで「アカウントを追加」→「Microsoft Exchange」を選び、ユーザー名やパスワードを入れればよい。ドメイン名は空のままで「次へ」を選択し、次の画面でサーバ名に「m.hotmail.com」を指定する。iPhoneの「メール/連絡先/カレンダー」で、「データの取得方法」を「プッシュ」にすることも忘れないでおきたい。この設定を行えば、メール、連絡先、カレンダーをサーバーと同期できる。


設定は「Microsoft Exchange」から行うサーバ名には「m.hotmail.com」を設定

 対応端末には、ここで紹介したiPhone(iPod touch、iPadでも同様)のほか、Windows Mobile 6.x系端末がラインナップされている。現時点では日本で販売されていないが、ノキアのE/S/Nシリーズでも利用できる。ダイレクトプッシュの「Exchange ActiveSync」は、まさにスマートフォンならではの機能。モバイル環境でWindows Liveを使いこなしたいなら、設定しておいて損はない。


メールが届くと、自動的に端末に読み込まれる

 ちなみに、現時点ではiPhoneでメールを受信すると、一部文字コードを利用した際に本文が化けしてしまうバグが残っていることを確認した。日本マイクロソフトによると、この事象は9月内に解消される予定とのこと。「Exchange ActiveSync」の利用は、それ以降にした方がよさそうだ。

 



(石野 純也)

2010/9/27 06:00