ケータイ&オンラインストレージ活用術

オンラインストレージでスマートなスマートフォンライフ


 高機能なスマートフォンやケータイを持ち歩くようになって、バッグの中からパソコンが消えたという方も多いのではないだろうか。メールの送受信、Webサイトのチェック、その他にもアプリやウィジェットによる柔軟な機能追加により、外出先で不自由しないだけの操作性、利便性を提供してくれる。

 荷物が軽くなるのは嬉しいが、それまでパソコンのハードディスクに保存して持ち歩けていたデータ類にアクセスできなくなるのは不便だ。そこで注目されているのが、ケータイやスマートフォンなどからネットワーク経由でアクセスできる、「オンラインストレージサービス」である。

オンラインストレージサービスの種類と特徴

 まず、どのようなサービスがあるのか、その種類や特徴をざっと整理してみよう。

 最もスタンダードなのは、クラウドスペース上にサーバーがあり、アップロードしたファイルを異なるプラットフォームから利用できるサービスだろう。ディスクスペースは数GB単位で、ファイルのアップロードやダウンロード、ファイルのプレビュー機能を備えるのが特徴だ。

 プレビュー機能は、.doc、.xls、.pptに代表されるMicrosoft Officeドキュメントのほか、PDF、テキスト、画像、動画、音声ファイルなどをサポートする。パソコンはWebブラウザから利用できるケースがほとんどだが、専用クライアントを用意し、あたかもローカルドライブのような操作性を提供するものもある。

 いずれも任意のフォルダを作成・共有でき、フォトアルバム機能なども備えている場合が多い。すでにおなじみの写真共有サービスなどは、扱うファイルを画像と動画に限定したオンラインストレージサービスといえる。

 もう1つ、クラウドスペース上のサーバーを経由して、異なるプラットフォーム間でファイルを自動的に同期する(ローカルディスクに保存できる)サービスも、ネットワーク上のディスクスペースを使用するという点で、オンラインストレージサービスの1つといえる。パソコン間で同期する場合は、手元のファイルが常に最新の状態が保たれるだけでなく、履歴も管理されるからありがたい。

 これらのサービスでは、iPhoneやAndroidといった、スマートフォン向けのアプリを無料で提供しているところも多く、ファイルのプレビューを中心に、アップロード、ダウンロード、検索、ファイルをメールに添付して送信するなどの機能が提供されている。中には、テキストファイルの編集が可能なものもある。

オンラインストレージ+スマートフォンのメリット

 その響きから、ビジネスパーソン向けのイメージを持ち、「別に、外出先で頻繁にプレゼン資料などが必要になるわけじゃないし、特に保存しておくものもない。だからオンラインストレージサービスに興味はない」とお考えなら、少々もったいない話だ。

 確かに、ビジネス用の書類を保存し、どこにいてもスマートフォンから気軽に引き出せるので、大量の紙の資料を持ち歩かなくても済む、というのは象徴的な例だが、保存するものはプライベートな写真でもメモでも構わないのだ。

 例えば、友達に写真を見せたいが、Webアルバムを作る時間がないというなら、とりあえずオンラインストレージにフォルダを作成し、まとめてアップロードしておこう。これだけでフォトアルバムのできあがりだ。スマートフォンから楽しめるだけでなく、共有設定することで、特定の人に見せることもできる。中には、スライドショー機能をもつサービスもある。また、写真はオリジナルサイズのままで保存できるので、万が一パソコンが壊れても慌てなくて済む。

 しかも、スマートフォンなら、写真、音声、動画の記録はお手の物。ペンでメモする変わりに写真を撮り、アップロードしておこう。これで情報データベースが完成だ。日付でソートすれば日記代わりにもなる。こまめにアップロードしておけば、パソコンからもすぐに利用できるため、煩わしさがない。

 現在、自宅もしくはオフィスのデスク周りが、不要な雑誌、チラシ、書類であふれているなら、大事な情報だけカメラでスクラップしてみよう。アプリでPDFファイルに変換してもいい。それをオンラインストレージにアップロードしたら、オリジナルは破棄。これだけで、「いつかまた見るかもしれない」紙の山と決別できるだけでなく、本当に必要になったとき、紙をめくるより早く、情報として引き出せるようになる。

 以上が、代表的な活用例だが、ユーザーの数だけ使い方があるといっても過言ではないのがオンラインストレージサービスである。そこで、人気のオンラインストレージサービスを集めてみた。それぞれのライフスタイルにあったサービスが見つかるのではないだろうか。なお、各サービスは会員登録が必要となる。詳しくはそれぞれのWebサイトで確認していただきたい。


quanp(クオンプ) / 株式会社リコー
http://www.quanp.com/

【無料版】1GB
【有料版】10GB 300円/月、100GB 980円/月
【概要】
 写真、動画、音楽、文書などが保存でき、オンラインフォトプリントサービス(有料)とも連携している。指定フォルダの中を、自動的にアップロードする機能や、ドラッグ&ドロップするだけでアップロードできるウィジェットなど、さまざまツールを提供しているのが特徴。有料プランならドコモ、au、ソフトバンクのケータイからもアクセス可能。利用できるプラットフォームは、Windows、Mac、ケータイ、iPhone、iPod touchなど。



Evernote / エバーノート・コーポレーション
http://www.evernote.com/

【無料版】40MB/月
【有料版】5ドル/月または45ドル/年
【概要】
 写真、音声、テキストなどのメモを気軽に保存できるなど、情報スクラップ機能に力を入れたサービス。有料サービスではあらゆるファイルが保存でき、オフラインでも利用可能。利用できるプラットフォームはWindows、Mac、iPhone、iPod touch、Android、BlackBerry、Palm Pre、Sony Ericsson X Series、Windows Mobileなど。



MobileMe / アップルジャパン株式会社
http://www.apple.com/jp/mobileme/

【無料版】60日間フリートライアル
【有料版】年間9800円で20GB
【概要】
 「メール」「連絡先」「カレンダー」「ギャラリー」「MobileMe iDisk」「iPhoneを探す」で構成されたサービス。写真、動画、圧縮ファイルを含むドキュメント類は「MobileMe iDisk」に、写真や動画は「ギャラリー」にアルバムとして保存できる。「MobileMe iDisk」には、ドキュメントのプレビューが早いという特徴もある。利用できるプラットフォームは、Mac、Windows、iPod、iPhone、iPadなど。



Dropbox / Dropbox, Inc.
http://www.dropbox.com/

【無料版】2GB
【有料版】99.00ドル/月で50GBまで増量
【概要】
 同期したいパソコンに専用ソフトをインストールし、同期専用の「My Dropbox」フォルダに保存された任意のフォルダやファイルは、異なるプラットフォーム間で自動的に同期できる。作成中のドキュメントの保存スペースにすれば、常にバックアップされた状態になるので安心だ。利用できるプラットフォームは、Windows、Mac、Linux、iPhone、iPad、Android、BlackBerryなど。



SugarSync / SugarSync, Inc.
http://www.sugarsync.com/

【無料版】2GB
【有料版】4.99ドル/月、49.99ドル/年で30GB~、$249.99/年
【概要】
 専用フォルダ以外に、任意のフォルダを異なるプラットフォーム間で同期できる。自動的に同期したくないファイルのコピーを保管する場所として「ウェブアーカイブ」機能も用意。無料プランでは、同期できるPCが2台まで、変更履歴が2つ前までという制限がある。利用できるプラットフォームは、Windows、Mac、iPhone、Android、BlackBerry、Windows Mobile、Symbianなど。



Nドライブ / ネイバージャパン株式会社
http://ndrive.naver.jp/

【無料版】5GB
【有料版】なし
【概要】
 専用ツールを使うと、5GBのスペースをローカルドライブとしてマウントした感覚で利用できる。アップロードされたファイルの中から、.jpg、.png、.gif形式を集め、「フォトアルバム」としてまとめて閲覧可能。専用アプリをインストールしたiPhone同士は、Bluetoothを通じてファイルを共有できる。利用できるプラットフォームは、Windows、Mac、iPhoneなど。



Windows Live SkyDrive / マイクロソフト株式会社
http://skydrive.live.com/

【無料版】25GB
【有料版】なし
【概要】
 1ファイル最大50MBまでという制限はあるが、無料で25GBまで利用可能。フォルダ全体を、ZIPファイルとしてダウンロードできる。現在のところ専用ソフトはなく、Webブラウザからの利用が基本。スマートフォンでアクセスしても、最適化された画面が表示される。利用できるプラットフォームは、Windows、Mac、iPhoneなど。



Picasa ウェブアルバム / Google Inc.
http://picasaweb.google.com/

【無料版】画像と動画にのみ1GB
【有料版】20GB 年間5ドル~
【概要】
 動画もアップロードできる無料の写真共有サービス。アルバムの最大数1万件、アルバム当たりの最大写真数は1000件まで保存可能。ただし、1ファイル20MB以下、50メガピクセル以下という制限があるため、オリジナルサイズで保存できないものもある。現在オリジナルアプリはないが、各プラットフォームのWebブラウザに最適化された状態で表示する。利用できるプラットフォームは、Windows、Mac、iPhone、Android、ケータイなど。



フォト蔵 / ウノウ株式会社
http://photozou.jp/

【無料版】1GB~3GB
【有料版】なし
【概要】
 SNS機能を持ち、動画にも対応する写真共有サービス。月間の合計アップロード容量は1GBまでだが、友達招待などでフォト蔵ポイントをためると、1カ月に最大3GBまで容量が拡張される。写真・動画の枚数は無制限。写真は10MBまで、動画は100MB・20分まで対応。名刺やアルバム作成サービスとも連携する(有料)。利用できるプラットフォームは、Windows、Mac、スマートフォン、ケータイなど。



ServersMan / フリービット株式会社
http://serversman.com/

【無料版】使用端末の容量次第
【有料版】なし
【概要】
 「ServersMan」を起動している端末が、クラウドストレージやWebサーバーとして利用できる無料サービス。ネットワークを介したファイルの転送、ダウンロード、Webコンテンツの公開などが可能で、「ServersMan」同士で直接ファイル転送もできる。自らがストレージのため、保存容量は使用端末次第。利用できるプラットフォームは、Windows、iPhone/iPAD、Android、Windows Mobileなど。



Googleドキュメント / Google Inc.
http://docs.google.com/

【無料版】1GB
【有料版】20GB 年間5ドル~
【概要】
 Webブラウザ上でドキュメントやスプレッドシート、プレゼンテーションファイルなどを作成、共有できるサービスだが、現在では、圧縮ファイルや音楽、動画など、あらゆる形式のファイルを保存、共有、ダウンロードできるようになった。ただし、Googleドキュメント対応形式に変換する場合は、特定のファイル形式しかアップロードできない。利用できるプラットフォームは、Windows、Mac、Linux上で動作するGoogle Chrome、Internet Explorer、Firefox、Safariだが、iPhoneやAndroidにもビューワーが提供されている。



 

(すずまり)

2010/9/24 06:00