ケータイ&オンラインストレージ活用術

オンラインストレージ「クオンプ」を使ってみよう


オンラインストレージ「クオンプ」(quanp)

「クオンプ」の特徴

 今回はオンラインストレージ「クオンプ」(quanp)についてご紹介しよう。「クオンプ」とは、カメラでおなじみ、あのリコーが運営するオンラインストレージサービスだ。

 ざっくりとしたサービス内容は、前回の「オンラインストレージでスマートなスマートフォンライフ」でも触れたが、フォトアルバム作成や共有、写真のプリントサービス(プリントサービスとの連携による)もOK。加えて、音声メモや、ドキュメントのアップロード(自動も可能)、ダウンロード、共有、ファイル送信、キーワード検索、印刷、外出先からの閲覧、コメントの作成などが可能なサービスである。

 利用可能なプラットフォームごとにアプリケーションが用意されており、Windowsパソコンには専用アプリケーション「quanp.on」、iPhone用では「quanp for iPhone」が利用できる。もちろんWebブラウザからも「http://quanp.net/」にアクセスすればOKだ。MacやLinuxを使っているユーザーはこちらのWebサイトを利用すればよい。

 特筆すべきは、ドコモ、au、ソフトバンクのケータイからも利用できることである。「スタンダードコース」と「クオンタムコース」の有料プランに限られるが、「quanp.mobile」と呼ばれる専用サイトにアクセス、ログインすれば、メール添付によるファイルのアップロード、共有の招待、ファイル送信、コメントの付加ができる。メールに添付したファイルのアップロードも可能だ。これは、国産のオンラインストレージならではといえるだろう。

 このほか、「quanp.on」を起動しなくても、ドラッグ&ドロップだけでファイルを簡単にアップロードできるウィジェット「quanp drop」や、ファイルの送信が簡単になる「quanp send」、クオンプに保管してある写真をスライドショーで楽しめるウィジェット「quanp slideshow」、Microsoft Office 2003、2007、2010それぞれのドキュメントを、Officeアプリケーション上から直接アップロード・ダウンロードできるアドインが、バージョンごとに用意されるなど、ニーズに応じて機能を追加できるようになっている。

 あるときはフォトアルバムとして、あるときは大切な資料の保存先として、またあるときはブログ的に、と使う人のニーズに応じて、いろんな側面を見せてくれるのが「クオンプ」というわけだ。

 以下では、パソコンからアップロードしたファイルを、iPhoneとケータイの両方で確認するところまでをご紹介する。

「quanp.on」を使って、ファイルをアップロードしてみよう

メールアドレスさえあれば登録できる

 さっそく「クオンプ」を使ってみよう。その前に、まずは会員登録である。

 手続きは簡単。まずクオンプのWebサイトの「新規メンバー登録」ボタンをクリックし、必要事項を入力する。登録したアドレス宛にメールが送られてくるので、URLをクリックしたら手続き完了。1GBが使える無料の「トライアルコース」なら、メールアドレスのみで登録でき、手続きに5分もかからない。なお、有料プランへはあとからアップグレード可能なので、とりあえず体験してみたい方は「トライアルコース」がお勧めだ。

 次は、「quanp.on」のインストールだ。

 「quanp.on」は、表示に3Dビューを取り入れ、ビジュアルと操作性にこだわったWindows向けのquanp専用アプリケーション。動作環境はWindows XP SP2以降、Windows Vista、Windows 7で、「サービス一覧」、または「quanp.on」のページからダウンロードできる。

 「quanp.on」の主な機能は、ファイルのアップロード、自動アップロード設定、ダウンロード、プレビュー、コピー、移動、削除、タグ付け、コメントの書き込み、共有設定(有料コース)、検索、ファイル送信など。このほか、残りの容量も視覚的に確認できる。特にMicrosoft Officeがインストールされていなくても、ドキュメントの表示・印刷できるというのはうれしい機能だ。

 「quanp.on」のインストールが済んだら、起動して取得済みのアカウントでログインする。念のため画面右下の「ネットワーク設定」を開き、「回線タイプ」を確認、設定しておくといいだろう。

 「quanp.on」にログインすると、碁盤の目のような「プレイスマップ」が現れる。初期状態は「お気に入り」レイヤーに、「HOME」という「プレイス」が作られているだけだ。


取得したIDでログイン「quanp.on」の初期画面

 この「HOME」を選択すると、あらかじめ用意されていたPDFファイルが「3Dビュー」で表示される。並んだサムネイルのサイズは、右下の「ズームパーセント」で自由に拡大縮小できる。ファイルの大行進を見るようで、なかなか楽しい。おなじみの「サムネイルビュー」や「詳細ビュー」にも切り替えられるので、どのような表示を選ぶかは自由だ。


「HOME」の「3Dビュー」。あらかじめ各プラットフォーム用の説明書(PDF)が保存されている「サムネイルビュー」に切り替えてみたこちらは「詳細ビュー」

 「クオンプ」では、ファイルを「プレイス」単位で管理する。「quanp.on」で横は「レイヤー」と呼ばれ、「レイヤー」ごとに「プレイス」を配置する。つまり、「プレイス」とはフォルダ、またはサブフォルダに相当するものと考えてよさそうだ。

 この「プレイス」は好きな「レイヤー」上に、自由に作成できる。「プライベート」「ビジネス」「サークル」などの大きなくくりは、「レイヤー」に作成し、その中に、「写真」「サンプル」「営業資料」といった「プレイス」を作成するといいだろう。

 ファイルのアップロードは、左側の「アップロード」ボタンをクリックしてからファイルを選択するか、アップロードしたい「プレイス」を開いて、ファイルまたはフォルダを直接ドラッグ&ドロップすればよい。「ファイルのアップロード」画面が表示されるので、タグや説明などを必要に応じて設定する。何もせず[OK]してもよいので、次回から不要な場合は、ダイアログを表示しないよう設定しておこう。なお、フォルダごとドラッグ&ドロップすると、中のファイルだけがアップロードされる。

 ここでは「お気に入り」レイヤーに写真用の「フォト」プレイスと、ドキュメント用の「資料」プレイスを作成し、ドラッグ&ドロップでファイルをアップロードしてみた。


マウスの右クリックで、[プレイスの新規開設]を選択するプレイス作成時に、共有メンバーの招待、自動アップロード設定、エクスプローラの「送る」に追加する設定が可能。なお共有メンバーの招待は有料コースのみの機能「お気に入り」レイヤーに、新規プレイスとして「フォト」と「資料」を作成
「フォト」にフォルダごとドラッグ&ドロップした写真アップロードした写真の1つを表示してみた。すでに立派なフォトアルバムだ「資料」プレイスにはさまざまドキュメントをアップロードした。Officeドキュメントのテンプレート、パスワード付きのPDFファイル、ZIPファイルはプレビューできないが、ダウンロードは可能
docファイルのプレビュー。このまま印刷もできる

 以上が、最も基本的な「quanp.on」の使い方と、ファイルのアップロード方法である。肝心のアップロードは、かくも簡単なのである。

iPhoneでアクセスしてみる

 ファイルのアップロードが済んだら、iPhone用のアプリ「quanp for iPhone」で確認してみよう。操作は非常に簡単で、起動したら、取得済みのアカウントでログインするだけ。作成済みの「プレイス」やアップロード済みのファイルがすぐ確認できる。パソコン側からの更新も、わりと早く反映されるようだ。

 「quanp for iPhone」はプレイスの表示、ファイルのプレビュー、ダウンロード、コメント入力、ファイル送信、他のiPhoneやiPod touchとの連絡先やファイル交換、カメラ画像、カメラロールの写真、ビデオのアップロード、ボイスメモの録音をサポートしている。

 ただし、Officeドキュメントをダウンロードして表示すると、プレビュー画像と異なる場合があるので注意が必要だ。内容は確認できるが、パソコンで見たままを完全に再現できるとは考えないほうがいいだろう。どうしてもレイアウトを維持したいものは、PDFにしておくほうが無難だろう。

 とはいえ、ファイルそのものにアクセスできることに変わりはない。「ファイル送信」で送れるので、外出先で「あのファイル、まだ届いてないですよ」と言われても慌てることはない。

 アルバムも、iPhone内部に作成するよりも手軽に作れる。仕事先で製品の写真を見せたい、友達に会うので急いでアルバムにしたい、というときでも簡単だ。


アプリを起動したら、ログインするiPhoneで見たプレイス一覧。「すべてのプレイス」では、全プレイスをまたがってファイルを表示できる「HOME」に保存されているPDFファイル
「フォト」に保存したJPEGの写真クイックビュー画面。写真は画面右上のアイコンから、写真アルバムに保存できるダウンロードすれば拡大表示も可能
「資料」プレイスの中を表示docファイルもしっかりプレビューするファイル送信画面
交換画面。アイコンをタップすると、自動的に交換相手を探しに行くカメラ画面。撮影した写真や保存済みの写真をアップロードできるボイスメモ画面。録音した音声も直接アップロードできる

ケータイからアクセスしてみよう

 いよいよ目玉機能ともいえるケータイからの利用だが、特にアプリがあるわけではなく、専用サイトにアクセスするだけという簡単さである。ただし、本サービスは有料プランに限られるため、公式サイトの「マイページ」から「スタンダードコース」にアップグレードしてみた。なお、有料プランに変更する場合は、氏名、生年月日、住所、クレジットカードが必要だ。

 ケータイから見える「クオンプ」は以下の通り。写真やドキュメントもしっかりプレビューでき、ファイルも送信できることが分かる(ドコモのF-04Bを使用)。


ログイン後の「quanp.mobile」作成した「プレイス」が確認できる「フォト」プレイスのコンテンツ一覧
サムネイルから写真を選択すると拡大写真とともにファイルの詳細情報が表示される詳細情報から、さらに「拡大して表示」を選べる「資料」プレイスのコンテンツ一覧
docファイルの詳細表示。レイアウトが再現されている共有設定した「プレイス」への招待も可能だが、参加するには「クオンプ」のアカウントが必要ファイルの送信も可能。アクセス可能期間は7日間

 ここでお気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、「quanp.on」で作成した「レイヤー」が、iPhoneやケータイのメニューに登場しない。現在、レイヤーごとに同名のプレイスを作成できるのだが、「quanp.on」以外でアクセスすると、同じプレイス名が重複して表示されてしまうようだ。「プレイス名は重複させない」をルールに、ネーミングしておくといいだろう。

 以上、駆け足でご紹介してきたが、「クオンプ」はかなり使い勝手のあるオンラインストレージといえる。特に、パソコンからのアップロードが非常に手軽でやりやすい。「quanp drop」などは、カゴに放り込む感覚で、どんどんアップロードできる。会社を出る直前でも、ポンと放り込んでしまえばOK。特定のフォルダ内を自動的にアップロードする機能も備えているので、使わない手はない。

 ビジネスに、プライベートに、上手に活用してモバイルライフを楽しんでみよう。


「quanp drop」をインストールすると、デスクトップにこのようなロゴが現れるアップロードしたいファイルをドラッグ&ドロップすると、突然ロゴが広がり、穴が空いたようになる
ブラックホールに吸い込まれていくようなファイルアップロードが完了すると、穴は閉じてロゴに戻る。まるでStar Trekに登場するワームホールのようだ

 



(すずまり)

2010/10/8 06:00