「DATA01」レビュー

初のWiMAX+CDMAデュアルモード対応のデータ端末


 auからモバイルWiMAXとCDMAの両対応データ端末、DATAシリーズが一部地域で登場した。発売されたのは「DATA01」「DATA02」「DATA03」「DATA04」の4端末だ。このラインナップ、ちょっと変則的で、01と03はUSBタイプ、02と04がExpressCardとなっていて、端末は対応料金プラン以外の仕様に違いはない。01と02が定額制プラン専用、03と04が従量制専用となっている。

 ちなみに販売地域は現時点では関東と沖縄エリアのみで、6月29日にUSBタイプの2機種、7月5日にExpressCardタイプの2機種がそれぞれ発売されている。関東と沖縄以外での販売は未定だ。今回はKDDIより定額制プラン対応のUSBタイプ「DATA01」をお借りすることができたので、試用レビューをお届けする。

データ端末としてはフツウな見た目の「DATA01」

DATA01
DATA01の裏面

 DATA01は、USBタイプのデータ端末としては標準的なデザイン、大きさをしている。大きさは82×28×12.3mmで、重さは32g。ノートパソコンと一緒に持ち歩くならば、それほど気になる大きさではない。USB端子は折りたためるデザインで、これを利用して本体に角度を付けることができる。

 USBタイプのデータ端末としてはオーソドックスではあるものの、実はUSB対応のデータ専用端末は、auの現行ラインナップとしてはDATA01しかない。au携帯とパソコンをUSBケーブルで繋ぐことでもデータ通信は可能だが、料金面からあまりオススメできない。

 DATA01が対応する通信規格は、モバイルWiMAXとCDMA2000 1x EV-DO Rev.Aの2種類。auが提供するDATA01/02専用の料金プランに対応し、この料金プランひとつで、WiMAXとCDMA両方で通信が可能となる。

 WiMAXは、UQコミュニケーションズのWiMAXネットワークに対応し、auがMVNOとして通信網を借りている。通信速度は理論値で下りが最大40Mbps、上りが最大10Mbpsとなる。

 一方のCDMAは、au自身のCDMAネットワークを使う。Rev.Aのエリア内ならば、通信速度は理論値で下りが最大3.1Mbps、上りが最大1.8Mbps。過剰な帯域占有を防ぐための帯域制限機能も組み込まれている。ちなみにau ICカードは内蔵型となる。

 USBタイプなので、電源はパソコン側から供給する。消費電力がどのくらいかは不明だが、通信中はけっこうな発熱がみられた。

USBに挿すだけでドライバも簡単インストール

DATA01をパソコンに挿すだけで、インストーラーを起動できる
接続ユーティリティのウィンドウ

 DATA01にはドライバのインストーラーが内蔵されていて、初回利用時はパソコンに接続するだけで、自動でドライバがインストールされる。

 インストールはほぼ手間いらずだが、通信が可能になるまでにはけっこう時間がかかる。よほどのことがない限り、ドライバは出先でインストールするのではなく、自宅などであらかじめ準備しておくことをオススメしたい。

 ドライバとともに接続ユーティリティもインストールされる。インターネットに繋ぐためには、あとはこのユーティリティの「接続」ボタンをクリックするだけで良い。普通に使う分に必要となる各種設定は、自動インストールするだけで完了している。ほぼ自動でネットに接続できてしまうのがありがたい。

 CDMA回線のアクセスポイントとしては、標準でau.NETを使うように設定されているが、これはほかのアクセスポイントへと変更できる。au.NETは利用月だけ945円が請求される形式だが、毎月使い続けるのであれば月額525円のau one netの方が良い。むしろau.NETよりau one netの方を標準設定にして欲しいくらいだ。

 一方のWiMAXの方は、事業者の変更はできない。このような事業者が限定されているWiMAX端末は逆に珍しい。ニーズは少ないと思うが、白ロムWiMAX端末として使えないのはちょっと残念だ。

 ちなみにドライバ・ユーティリティともに、現時点ではWindowsパソコンのみの対応となっている。今秋にはMac OS Xにも対応する予定だ。

CDMAとWiMAXの速度は?

デュアル・シングルのモード切り替えは「高度な設定」として扱われている

 標準設定のデュアルモードでは、WiMAXの電波があるところではWiMAX回線を、そしてWiMAXの電波がなく、CDMAの電波があるところでは、CDMA回線を使うように設定されている。WiMAXが必ず優先されるようになっており、CDMA回線のシングルモードはあるが、WiMAXシングルモードはない。

 今回はWindows Vistaのノートパソコンを用い、主に東京は渋谷駅周辺で試用してみた。測定にはRBB TODAYが提供しているスピード測定サービス(http://speed.rbbtoday.com/)を使い、3回測定した平均値を用いている。ただし測定中に明らかに異常と見られる数字が得られた場合は、除外している。

 まず渋谷の駅前にてWiMAXで接続し、その速度を測定したところ、下りが10.22Mbps、上りが1.17Mbpsだった。テストしたのは屋外、駅前の待ち合わせに使われるエリアで、まったく動かずに測定している。電波状況がよくアンテナ表示も最高だったが、それにしても10Mbpsを超えていると、体感的には固定ブロードバンド回線と遜色ない。

 同じ場所でCDMAシングルモードに切り替えて接続すると、下りが779kbps、上りが81kbpsとなった。さすがに電波状況が良ければ、WiMAXの方が圧倒的に速い。WiMAXのエリアも着実に充実しつつあり、都市部であればかなりつながりやすくなってきた印象だ。しかし、基地局の配置・調整や屋内浸透しにくい周波数から、まだWiMAXの感度が局所的に落ちる場所はある。たとえば渋谷駅徒歩圏内にある筆者の自宅兼仕事場がそうだ。筆者のデスクの上では、WiMAXの電波表示はアンテナ1本となり、WiMAX接続時の通信速度も下りが456kbps、上りが82kbpsと著しく落ち込んだ。そして同じ環境でCDMA回線に接続し直すと、下り364kbps、上り82kbpsとなった。

 まだかろうじてWiMAXの方が速いが、窓から離れて部屋の奥に移動すると、WiMAXの速度は落ち込んでいく。一方のCDMAは窓から離れても速度低下の影響は少ない。このようにWiMAX回線が不安定なとき、必要に応じてCDMA回線を使えるというのはありがたい。

ハンドオーバー

CDMA接続中はWiMAXではなくCDMAの電波強度が表示される

 DATA01は、WiMAXとCDMAの両方が使えるだけでなく、それら2つの回線をシームレスに使い分けるための機能を搭載している。WiMAXの圏外に移動するなどして通信が途切れると、自動でCDMA回線に接続し直すという、いわゆるハンドオーバー機能だ。それもただ再接続するのではなく、通信中のセッションを可能な限り維持してくれる。

 たとえばYouTubeなどのストリーミングダウンロード中にWiMAXが圏外になったとき、いったんストリーミングのダウンロードは停止してしまうが、自動でCDMA回線に繋ぎ直され、しばらくするとストリーミングのダウンロードは再開される。

 瞬時に回線を切り替えているわけではないようだが、それでも自動で回線が切り替わり、通信が再開されるのはありがたい。しかし、WiMAXが圏外となるまで切り替わらないので、数秒間、通信できない瞬間がある。

 たとえばSkypeで通話中の場合、WiMAXが圏外近くで通信速度が著しく低下すると、CDMA回線に繋ぎ変わる前にSkype通話の音声は途切れ、Skype側がオフラインと判断して切断してしまうケースが見られた。その後CDMA回線で自動再接続されれば、Skypeもオンラインに復帰するが、切断された通話を再開するには、再度発信しなければならない。このあたりはアプリ側の処理によるが、通信が完全に維持されるわけではないようだ。

 自動でCDMA回線にハンドオーバーするだけでなく、できれば手動でもハンドオーバーできて欲しかったところだ。たとえばWiMAXの電波が強いうちに手動でCDMA回線へと切り替えることで、通信が不安定になる時間を減らせる。このあたりはアップデートでの改善を期待したい。

 また、身も蓋もないことを言ってしまえば、DATAシリーズに関しては、ハンドオーバー機能の重要性は高くないとも感じた。パソコンでの通信は、「モバイル」とは言うものの、実際に移動しながら使うケースは多くない。歩きながらノートパソコンを使う人は少ないはずだ。鉄道に乗っているときはハンドオーバーが必要になるが、しかしWiMAX通信に不安がある路線ならば、座席に着いてノートパソコンを開いた時点からCDMA回線で通信し始めた方が良さそうだ。

価格は?

標準ではau.NETを使うように設定されているが、au one netを使えば420円節約できる

 DATA01/02が対応する定額プラン「WINシングル定額 WiMAX」の最安値は、月額料金は最低980円、上限が5750円となる。これにアクセスポイントとしてau one netを使うと、合計で上限額は6275円となる。

 ちなみにこれは、2年の期間拘束契約「誰でも割シングル」あるいは他のau回線とのセット割引「WINシングルセット割」を付けたシンプルコースの価格である。また、パケット単価は0.042円となっているので、約11万パケット=約14MBで上限額に達する計算となる。パソコンでインターネットを使えば、一瞬で上限に達するだろう。ちなみにWiMAX回線を使おうがCDMA回線を使おうが、料金は一緒だ。

 このほか、840万パケット=約1GBの無料通信分を含む「ビジネスWINシングル定額」というのも用意されている。こちらは「誰でも割シングル」付きのシンプルコースで月額料金は最低3980円、上限額が6580円だ(アクセスポイント料金が別途必要)。さすがに約1GBとなれば一瞬で使い切るのは不可能だろうから、利用ケースによってはこちらがお得になりそうだ。

 auが発売しているCDMA専用のデータ通信カード、「W05K」や「W06K」の場合、シンプルコースに「誰でも割シングル」か「WINシングルセット割」を付け、au one netを使う場合の合計金額は5985円だ。こちらの方が290円ほど安いが、しかし290円でWiMAXも付くなら、「WINシングル定額 WiMAX」の方がお得感がある。

 似た条件でドコモと比較すると、同様の各種割引を付けた「定額データプラン スタンダード」がアクセスポイント料金(moperaのU定額HIGH-SPEEDプラン)込みで上限6510円となっている。こちらと比較すると、「WINシングル定額 WiMAX」の方が安い。

 しかし上限6275円というのは、イー・モバイルやウィルコム、あるいはWiMAX単体のサービスに比べると、まだまだ高い。また、出張時だけなど、使用頻度が低いならば、WiMAXの1日契約やイー・モバイルのプリペイドプランの方が使い勝手が良い。

 端末価格については、これは販売店にもよるのだろうが、筆者が近所のauショップで聞いたところ、DATA01はシンプルコースでもフルサポートコースでも同価格の5250円とのことだった。なんのためのフルサポートコース(本来は端末価格が安くなり月額料金が高くなる)なのか? と突っ込みたくなる価格設定だが、どちらにせよデータ端末としては手頃な価格だ。ただし購入時には割引の条件などがあるので、それらは店頭で確認されたい。

高速通信と広いカバーエリアを使い分けられる快適さ

端末サイズは小さいが、1本で2種類のネットワークを使い分けられる

 高速通信のWiMAXと広いエリアのCDMA、これら2つの回線を1つの端末、1つの契約で使い分けられる、これがDATAシリーズの最大のメリットとなる。

 しかしDATAシリーズが「買い」かどうかのカギは、WiMAXのネットワークにあると言えるだろう。

 WiMAX圏内で使う見込みがないのならば、DATAシリーズではなく3G単独のサービスで十分だ。逆にWiMAXの電波がバリバリに入る場所でしかデータ通信しないのならば、WiMAX単独のサービスの方が安上がりである。

 「使いたい場所のほとんどでWiMAXが繋がるけど、一部の場所には不安がある」というケースで、DATAシリーズのメリットが生きてくる。そして都市部に居住・勤務する人は、これに当てはまる人が多いと思われる。

 実際に東京都内、渋谷近辺などで使ってみた印象としては、使い勝手が良いと感じた。都区内はほぼWiMAXのカバーエリアとなっていて、屋外や窓際であれば、WiMAXで数Mbpsクラスの高速通信が可能な場所が多い。しかしそれでも、たとえば喫茶店内の窓から遠い席や地下では、WiMAXが使えないことがある。DATA01は、そういった場所をCDMAネットワークで補うことができる。この安心感は大きい。

 DATA01は、初のWiMAX+CDMAのデュアルモード端末だが、初物にしては実用度もコストパフォーマンスも高い印象を受けた。パソコンでモバイルインターネットをするならば、選択肢に入れて良さそうだ。とくにauやドコモの3G単独サービスを利用している人は、価格差も少ないので、乗り換えを検討する価値もあるだろう。



(白根 雅彦)

2010/7/22 13:14