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NECモバイルのケータイ事業、NEC本体に譲渡

時期は未定も「基本的に終息」

 日本電気(NEC)は、携帯電話端末事業を手掛ける子会社のNECモバイルコミュニケーションズ(NECモバイル)から、2016年3月1日付けで事業を譲り受ける。NECは、運営効率化を図り、事業を継続する方針としている。

 今回の体制変更により、NECモバイルが手がけているフィーチャーフォンを中心とした端末事業は、NEC本体が譲り受けることになる。NECは携帯電話事業の見直しを2013年7月に決定し、スマートフォンの新規開発を中止するなど段階的に縮小してきた。「この結果、現在では独立会社として運営するには非効率な事業規模となった」とし、NECモバイルの事業を本体が吸収する形になった。

 NECモバイルの資本金は約4億円で、2014年度の売上高は約230億円、端末出荷台数は約75万台。2015年11月末時点での従業員数は約30名となっている。

端末事業は「基本的には終息」

 NECは12月25日、2016年4月1日付けの人事として、社長の交代を発表。記者会見を開催し、現社長である代表取締役 執行役員社長の遠藤信博氏と、次期社長の代表取締役 執行役員副社長の新野隆氏の2名が出席した。

社長交代の記者会見に臨むNEC 代表取締役 執行役員社長の遠藤信博氏(左)と、次期社長のNEC 代表取締役 執行役員副社長の新野隆氏(右)

 NECモバイルから携帯電話端末事業を譲り受けることについては、ユーザーやキャリアに対し修理対応などのメンテナンスを提供する責任があるとする一方、人員を含め現在の規模ではその継続が難しくなっているとし、供給責任を果たすために、NEC本体に一旦吸収する形になったと説明。携帯電話端末事業は「基本的に終息」とし、2013年から段階的に縮小してきた事業の見直しが最集段階に入っていることを窺わせた。終息させる時期については「未定」とするにとどまった。

 なお、NECプラットフォームズが手掛ける無線LANルーターやモバイルWi-Fiルーターについては、これまで通り事業を継続していく方針。

 遠藤氏は、過去6年間の任期の中で2回の中期経営計画を策定し、経営健全化の観点から、半導体やパソコン、携帯電話事業などを整理し、社会インフラに注力していくというNECの戦略を打ち出した。経営面では、ビジネスユニットの長が集まり、ひとつ上の視点から各人が経営全体を考え議論するという“面の経営”にフォーカスしたマネジメントを実施し、縦割りで部分最適だったという経営基盤の刷新を図った。次期社長の新野氏は遠藤氏の右腕として、こうした経営面での改革に中心的な役割を担っている。

太田 亮三