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mineoから「arrows M02」、マルチキャリア対応
モバイルルーター新機種やau VoLTE対応SIMも
(2015/10/6 14:43)
ケイ・オプティコムは、MVNO型の携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」で、同日発表されたばかりの富士通製SIMロックフリースマートフォン「arrows M02」を11月19日に発売する。auプラン、ドコモプランどちらでも利用できる。あわせて同社では、モバイルWi-Fiルーターの新機種やau VoLTE対応のSIMカードも提供する。
「arrows M02」は、防水防塵に加えて、耐衝撃や曲げ耐性などMIL規格に準拠したスマートフォン。5インチの有機ELディスプレイ、おサイフケータイ(FeliCa)機能、スマートフォン向けのATOKなどを搭載する。価格は11月上旬にあらためて発表されるが、ケイ・オプティコムでは「お手頃感のある価格帯」を目指すという。auプラン、ドコモプラン、どちらのSIMカードでも利用できる。詳細なスペックは、関連記事をご覧いただきたい。富士通からの発表では、2色展開だった「arrows M02」だが、mineoでは、Pinkもラインアップ。これはmineoだけでの提供になるという。おサイフケータイ対応をうたうが、利用可能なサービスは現在検証中で、今後、富士通からあらためて案内される。
auとドコモのネットワークで利用できる機種は、国内ではiPhoneに続くもので、まだまだ珍しい。どちらかのネットワークだけしか使えない機種ばかりのなかで、マルチキャリア戦略を進めるmineoでは、2つの回線が使える「arrows M02」の登場により、ユーザーがどちらの回線でも利用しやすい環境となった。mineoでは、今後の主力商品に位置付ける。
auプラン、ドコモプランそれぞれに対応したルーター
あわせてケイ・オプティコムでは、auプラン用モバイルWi-Fiルーター「SI-LA(SILA01)」(富士通製)と、ドコモプラン用モバイルWi-Fiルーター「Aterm(MR04LN)」も11月19日に発売する。どちらも価格は11月上旬にあらためて案内される。
「SI-LA」は、2GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯に対応したモバイルWi-Fiルーター。auのLTEネットワークで通信できる。大きさは約67×98×17mm、重さは約111g。1.3インチのモノクロディスプレイを備え、通信状況などを確認できる一方、単体では設定などを変更できない。USBテザリング対応だが、初期設定ではオフになっており、Wi-Fiテザリングでいったんパソコンから管理画面に接続し、設定を変更することになる。ボディカラーはブラックのみ。
もう一方の「Aterm(MR04LN)」は、今年7月に発売され、他のMVNOでも取り扱われている、NECプラットフォームズ製のモバイルWi-Fiルーター。大きさは約63×111×11mm、重さは約111g。
au VoLTE対応のSIMカード
あわせて11月19日からは、au網のVoLTEに対応したSIMカードも提供される。ドコモプランでは、VoLTE対応機種はそのままドコモのVoLTEで通話できるが、auプランの場合はVoLTE対応SIMでなければVoLTEによる通話は利用できない。
また、auの機種であっても、いったんSIMロックを解除しなければ利用できない。これは、VoLTE開始以降、auからMVNOに発行されるSIMカードが、専用のものになったため。au用のVoLTE対応SIMと、MVNO用のVoLTE対応SIMが存在することになった。このためVoLTEの利用にあたっては、SIMロックの解除が必須となったのだという。
こうした仕組みのため、mineoのau VoLTE対応SIMカードを利用する場合は、auのSIMロックがかかった端末ではVoLTEのみならず、他のサービスも利用できない。既存ユーザーがVoLTEを利用しない場合は、手持ちのSIMカードでそのまま利用できるが、VoLTE対応SIMへ交換する場合は手数料2000円がかかる。
iOSも利用可能に
auのMVNO回線ではiPhoneは使えない、とされていたものの、IIJの研究によって、解決の糸口が見えた今夏。ケイ・オプティコムも今回の発表会では、au版、ドコモ版、SIMロックフリー版といずれのiPhone、iPadにおいて、ほぼ問題なく動作するとアピールする。
9月20日ごろからiPhoneへ対応できたことで、それまでの契約数の伸びに加えて、2割ほど、ドコモプラン、auプランともに契約数が多かった。通常、長期の連休は契約数の伸びが落ちるところ、シルバーウィークは伸びていたとのこと。これもiPhoneへの対応が影響したと津田氏は語る。
契約数は約12万件に
9月からドコモプランを提供し、au回線とドコモ回線を揃えることになったmineo。割安感のあるキャンペーンを展開したことで、契約数は12万件に達し、そのうち2万件がドコモプランを占める。この成果に「まずまずのスタートを切れた」と自己評価するのは、プレゼンテーションを行った、ケイ・オプティコムのモバイル事業戦略グループ グループリーダーの津田和佳氏。
無料で利用できる期間が長く、解約手数料がかからないことから、1人で複数回線を契約する事例も想定され、実際に複数契約するユーザーの割合は8月17日時点の13%から、28%に上昇した。ただし津田氏によれば、mineoのコミュニティに投稿された内容からすると、家族と利用するために複数回線を調達しているケースが多いようだという。ユーザー間でパケット通信量を分け合える「パケットギフト」でやり取りされた通信量は、この1カ月で1.4TBに達した。津田氏は「1.4TBは多い。1000ちょっとの回数で利用されている。もっと利用は少ないと思っていた。1回あたり1GB以上、ギフトとなっている。1カ月は繰り越せるがそれ以上余る分をうまくやり繰りされているのではないか」と語る。
また解約手数料がないことへの懸念について、津田氏は「1年前、auプランを開始したときには“1年縛り”だった。そのときは1カ月で1万5000件を獲得、1年経って解約となった件数は想定より少なく、1割もいかない程度だった。今回は正直、(無料期間が終わる)半年経たないとわからない。2月、3月の推移を見守りたい」とコメント。
ドコモプランとauプランでは、ドコモプランの8割がシングル(データ通信のみ)、auプランは半々で音声通話も利用されているとのこと。
単純な値下げ圧力は「脅威」
このほか政府が、携帯電話大手に対して、料金引き下げに向けた取り組みを進めることについては「携帯各社のユーザーにとって料金値下げは望まれるのだろう。だが、民間企業であるキャリアが政府からの要望を受けて、すぐできるのか違和感がある。これまでMVNOは、大手キャリアでできないような安価なプランを一番に掲げており、同じような料金になることは脅威。ただ、MVNO市場が活性化するような施策になればありがたい。要望させていただくなら、キャリアメールの開放や、接続料の引き下げといったあたりを求めたい」と説明。単純な値下げには反対か? という問いには「MVNO事業者としてはそう思う。でもお客さまからすると、そのほうがいいに決まっている。我々としてはそういう想いは持っている」とした。
UQコミュニケーションズがauのMVNO事業「UQ mobile」を吸収合併したことについては、量販店頭でUQ mobileの露出が増えたものの、販路の広がりや今後の商品展開で競争が激化すると予想するものの、今のところ、mineoの業績には影響が出ていないとのこと。競争によって活性化するのであれば、mineoにも良い影響が見込めるとした。