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中国人観光客の「爆買い」促進――WeChatの決済システムが日本展開
(2015/7/10 20:40)
ネットスターズ、ウィ・ジャパンと、中国のネット決済大手テンペイ(TENPAY、財付通科技有限公司)は、中国のチャットアプリ「微信」(ウェイシン、WeChat)を活用した決済サービス「WeChat Payment」(財付通)を日本で展開する。あわせて同システムを含んだソリューションを、中国人観光客を誘致するためのツールとして店舗向けに提供する。
「WeChat Payment」の決済サービスのみを利用する場合、初期費用は発生せず、決済時に発生する手数料のみで利用できる。顧客へのサポートなど、決済サービス以外のソリューションも利用する場合、それぞれ費用が発生する。
4億人にリーチできる決済サービス
「微信」(WeChat)は、中国のインターネットサービス最大手、騰訊控股有限公司(テンセント)が運営する、中国で最大のシェアを持つチャットサービス。登録ユーザー数は約9億人。
「WeChat Payment」は、WeChatのアプリ上から利用できる決済サービスで、中国国内での サービス規模としてはアリババのAlipayに次ぐ2位となる、4億人の登録ユーザーを持つ。テンセントの子会社にあたるテンペイが運営している。中国人を対象として提供されているサービスで、ユーザーとして利用するには、中国の銀行の口座を登録する必要がある。
今回3社は、「WeChat Payment」の決済サービスによって、中国人観光客と日本の店舗を結びつける、インバウンド向け販促ソリューションを、日本の店舗に対して提供する。
「WeChat Payment」で決済すると、購入者が店舗のWeChatアカウントを自動でフォローする仕組みが組み込まれている。WeChatアカウントを通して購入者と交流し、クーポンを配布して再来店を促したり、オンライン販売サイトに誘導したりといった形で利用することができる。また、購入者の性別や年齢、居住地といったWeChatの登録を、マーケティングに活用できる。
「WeChat Payment」は、日本ではネットスターズを通して提供される。「WeChat Payment」を導入におけるサポートや、店舗のWeChatアカウント運営のサポートや、テンセントが運営するECモールでの通販サービスなどを含んだソリューションを、ネットスターズとウィ・ジャパンが提供する。
サービス開始当初は、宝飾品販売のサダマツと、外食のコロワイドが試験的に導入する。テンペイとネットスターズでは、「WeChat Payment」の日本での導入目標を3年で1万店舗とし、展開を進めていく。
「WeChat Payment」の決済の流れ
店舗側は、決済用端末としてiPadを導入する。既に所有しているiPadを利用することもできる。端末代以外の初期費用はかからない。
決済時には、iPadアプリ上で決済金額を入力し、購入者(中国人観光客)が表示する決済用QRコードを、店舗側のiPadで読み取るだけで、決済が完了する。
決済用のQRコードはワンタイムパスワードとしての機能を持ち、1分ごとに変化する。店舗がQRコードを読み取ると、WeChatのサービス側で購入者のユーザー情報を識別する仕組み。
「WeChat Payment」はデビットカードの仕組みを採用しており、決済した時点で購入者の中国の銀行口座から、テンペイ側に購入代金が引き落とされる。テンペイでは購入代金から手数料を差し引いて、店舗が開設した三井住友信託銀行の口座に送金する。送金は決済から約1~2日後となる。
決済手数料の具体的な割合については明かされなかったが、10日に実施された発表会の質疑応答で回答したネットスターズの李剛社長によると「同様のサービスに負けないレベル」となるという。
決済の金額、日時や支払い日などの情報の管理も、「WeChat Payment」の決済用アプリから閲覧することができる。
ネットスターズでは、「WeChat Payment」の展開とあわせて、WeChat利用者向けのWi-Fiサービス「WeChat Wi-Fi」もあわせて導入を促す。「WeChat Wi-Fi」では、ユーザーがQRコードを読み込むだけで接続できるWi-Fiサービスで、「WeChat Payment」を導入する際に必要とされるインターネット環境を中国人観光客に対して提供することができる。