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「dビデオ」リニューアルで「dTV」に、セットトップボックスも発売
「進撃の巨人」ドラマ、今夏独占配信
(2015/4/2 12:53)
NTTドコモとエイベックス通信放送は、定額制動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」について、4月22日よりユーザーインターフェイス(UI)の刷新、コンテンツの強化を実施し、ブランドも「dTV」に変更する。合わせて、テレビでも「dTV」が楽しめるようになるというセットトップボックス型の専用アダプター「dTVターミナル」も4月22日に発売する。
両社は2日、発表会を開催。「dTV」への名称変更、「dTVターミナル」発売に加えて実写映画「進撃の巨人」のスピンオフ作品となるオリジナルドラマがdTVで独占配信されることも発表された。
dTVへの名称変更は4月22日に実施される。月額500円(税抜、以下同)という利用料は変更されない。これにあわせてAndroid版、iOS版両方のアプリが更新され、UI(ユーザーインターフェイス)なども刷新される。
dTVターミナルについては本日より予約開始、4月22日より発売が開始される。価格は6980円となる予定だが、dTVターミナルの発売記念キャンペーンとして、購入者の先着30万人に対し、毎月1枚、500円相当のレンタルクーポンが最大14カ月間、付与される。
4つのコンセプト
発表会の冒頭でエイベックス通信放送の千葉龍平社長は、「動画配信サービスはたくさんあるが、いったい何を見れば良いのか、どうやって見ればいいのかわからない、という不満が聞かれる」と語り、その状況を「砂漠の街」に例え、「砂漠の街に彩りと驚きを、というスローガンの元に4つのコンセプトで改革を進めた」と解説する。4つのコンセプトとは、「コンテンツの拡充」「インターフェイスの改良」「レコメンドと検索性」「端末」のこと。4月22日以降のdTVではこれらのポイントが強化・改善される。
まずコンテンツについては、dビデオの前身であるBeeTV時代から独自制作のオリジナルコンテンツが配信されていたが、こうしたオリジナルコンテンツは引き続き注力していく。具体的には、ニューシネマパラダイスなどで知られるイタリアの映画監督、ジョゼッペ・トルナトーレ氏による日本人を起用したオリジナル作品、日本人映画監督の紀里谷和明氏によるハリウッド俳優を起用したオリジナル作品が配信される。さらに劇作家の三浦大輔監督による舞台「裏切りの街」の映像化、台湾人歌手リン・ユーチュン主演の落合賢監督による「どす恋ミュージカル」など、「ニューエイジ」をテーマとしたオリジナル作品も配信される。
このほか、エイベックス・講談社・集英社・小学館が共同で設立したアニメタイムズとのパートナーシップよるアニメ、米FOXとの提携による海外ドラマなどのコンテンツも強化される。
さらに「ザッピングUI」の導入とレコメンド機能の強化により、見たい作品を大幅に見つけやすくなる。スマホのdTVアプリでは、12個のジャンルチャンネルとオススメチャンネルで構成されるようになり、それぞれのチャンネルはタイムライン状に表示される。このタイムラインには各作品のサムネイルが表示されるが、このサムネイルは動画になっていて、ダイジェストや予告編の映像をそのまま見ることができる。このようにチャンネルを切り替えながら見たい番組を探す「ザッピング」の要素が取り入れられている。
オススメチャンネルでは、ユーザーの視聴履歴や年齢、性別といった属性情報と各作品のメタデータを元に、ユーザーごとに最適化された作品を自動でおすすめするレコメンデーションエンジンが使われる。このレコメンデーションエンジンは、「IBMの天才工学博士とともに数カ月間の研究を重ねて」搭載したという。
また、ジャンルチャンネルは時間編成となっていて、起動するたびに異なる作品が表示される。このように、出会ったことのない作品に出会う感動や喜び、といったコンセプトにあわせた作りとなっている。
dTVターミナル
端末の面では、従来通り、スマートフォン(Android/iOS)とパソコンから視聴できることに加え、テレビに接続する専用端末「dTVターミナル」が発売される。
dTVターミナルはdTVとdアニメストアの視聴に特化したセットトップボックス型の端末。付属の赤外線リモコンで操作する。テレビにはHDMI端子で接続し、無線/有線LANでインターネットに接続して利用する。docomo IDでログインすると、そのdocomo IDで契約しているdTVやdアニメストアの番組を視聴できる。
dTVターミナルにも、テレビのザッピング感覚のUIが搭載されている。ザッピング画面では各作品のダイジェストや予告編の映像が全画面で再生され、上下キーでチャンネルを、左右キーでチャンネル内のコンテンツを切り替える。ここで表示されるダイジェストや予告編の映像は、解像度が意図的に落とされていて、ザッピングするようにチャンネルを次々に切り替えても操作レスポンスが落ちないようになっている。見たい作品を見つけたら、再生ボタンを押すと、HD解像度の本編のストリーミング再生が開始される。
このほかにもコンテンツ一覧画面や検索などの方法でも見たい作品を探せるほか、スマートフォンで見つけてMyクリップに追加した作品をdTVターミナルで視聴する、スマートフォンで視聴中の作品を同じ位置から再生する、といったこともできる。
dTVターミナルはAndroid 4.2ベースのOSを搭載している。Google Playによるアプリ追加やGmailといったAndroidの標準的な機能には対応していないが、YouTubeには独自対応し、MiracastやSDカード内のメディアファイルの再生といった機能も搭載している。ユーザーによるアプリ追加はできないが、今後のアップデートなどで機能を追加することは技術的には可能だという。
dTVターミナルの本体は100×100×22mm、重さ214g。バッテリーは内蔵せず、付属のケーブルとアダプタで5V 2Aの給電を受けて動作する。無線LANはIEEE802.11b/g/nに対応し、有線LANポートも搭載している。側面にはUSB端子とmicroSDカードスロットがあるが、USB端子の使い道はとくに提示されていない。端末のメーカーはファーウェイとなっているが、ソフトウェア面はほぼNTTドコモが開発しているという。
現在、dTV(dビデオ)は会員数が460万人を超えているが、dTVへの変更と機能の拡充により、さらに多くの会員獲得を目指して行くという。その中で、従来は顧客との接点がドコモショップなどの販売店に限られていたが、それ以外の接点を開拓中だという。
dTVの発表会では、サプライズとして、dTV独占のプレミアム作品として、今夏公開予定の実写映画版「進撃の巨人」と連動したオリジナルドラマも発表された。
「進撃の巨人」は別冊少年マガジンに連載中の人気漫画。すでにアニメ化はされているが、樋口真嗣監督らによる実写映画が今夏、公開される。今回発表されたオリジナルドラマは、その実写映画と同じキャスト・スタッフによる、オリジナルストーリーの作品となっている。ストーリーの詳細は明らかにされていないが、映画のストーリーを補完するような内容で、原作の主人公であるエレンやミカサといったキャラクターではなく、脇役にフォーカスを当てたオムニバス形式のオリジナルストーリーになる模様。
発表会では原作にも登場している「ハンジ」役の石原さとみと「サシャ」役の桜庭ななみ、映画オリジナルキャラクター「フクシ」役の渡部秀、「リル」役の武田梨奈、「ヒアナ」役の水崎綾女、さらにドラマオリジナルキャラクター「イズル」役の平岡祐太が出席し、それぞれ今作の見所について語った。
また、オリジナル実写ドラマの配信に合わせ、漫画の一コマずつに声とSEを追加する動画コンテンツ「Beeマンガ」で進撃の巨人の原作が配信される。こちらはアニメ版を演じた声優が声を担当する。