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「dビデオ」リニューアルで「dTV」に、セットトップボックスも発売

「進撃の巨人」ドラマ、今夏独占配信

 NTTドコモとエイベックス通信放送は、定額制動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」について、4月22日よりユーザーインターフェイス(UI)の刷新、コンテンツの強化を実施し、ブランドも「dTV」に変更する。合わせて、テレビでも「dTV」が楽しめるようになるというセットトップボックス型の専用アダプター「dTVターミナル」も4月22日に発売する。

スマートフォンのUIを刷新
「dTVターミナル」

 両社は2日、発表会を開催。「dTV」への名称変更、「dTVターミナル」発売に加えて実写映画「進撃の巨人」のスピンオフ作品となるオリジナルドラマがdTVで独占配信されることも発表された。

 dTVへの名称変更は4月22日に実施される。月額500円(税抜、以下同)という利用料は変更されない。これにあわせてAndroid版、iOS版両方のアプリが更新され、UI(ユーザーインターフェイス)なども刷新される。

 dTVターミナルについては本日より予約開始、4月22日より発売が開始される。価格は6980円となる予定だが、dTVターミナルの発売記念キャンペーンとして、購入者の先着30万人に対し、毎月1枚、500円相当のレンタルクーポンが最大14カ月間、付与される。

4つのコンセプト

エイベックス通信放送の千葉社長(左)とNTTドコモの取締役常務執行役員の中山俊樹氏(右)

 発表会の冒頭でエイベックス通信放送の千葉龍平社長は、「動画配信サービスはたくさんあるが、いったい何を見れば良いのか、どうやって見ればいいのかわからない、という不満が聞かれる」と語り、その状況を「砂漠の街」に例え、「砂漠の街に彩りと驚きを、というスローガンの元に4つのコンセプトで改革を進めた」と解説する。4つのコンセプトとは、「コンテンツの拡充」「インターフェイスの改良」「レコメンドと検索性」「端末」のこと。4月22日以降のdTVではこれらのポイントが強化・改善される。

 まずコンテンツについては、dビデオの前身であるBeeTV時代から独自制作のオリジナルコンテンツが配信されていたが、こうしたオリジナルコンテンツは引き続き注力していく。具体的には、ニューシネマパラダイスなどで知られるイタリアの映画監督、ジョゼッペ・トルナトーレ氏による日本人を起用したオリジナル作品、日本人映画監督の紀里谷和明氏によるハリウッド俳優を起用したオリジナル作品が配信される。さらに劇作家の三浦大輔監督による舞台「裏切りの街」の映像化、台湾人歌手リン・ユーチュン主演の落合賢監督による「どす恋ミュージカル」など、「ニューエイジ」をテーマとしたオリジナル作品も配信される。

 このほか、エイベックス・講談社・集英社・小学館が共同で設立したアニメタイムズとのパートナーシップよるアニメ、米FOXとの提携による海外ドラマなどのコンテンツも強化される。

オリジナル映画を手がけるトルナトーレ監督
オリジナル映画を手がける紀里谷監督
どす恋ミュージカル
アニメ分野ではアニメタイムズと提携
石田衣良原作の「眠れぬ真珠」もドラマ化
小説や舞台作品の配信も予定
ザッピングUI

 さらに「ザッピングUI」の導入とレコメンド機能の強化により、見たい作品を大幅に見つけやすくなる。スマホのdTVアプリでは、12個のジャンルチャンネルとオススメチャンネルで構成されるようになり、それぞれのチャンネルはタイムライン状に表示される。このタイムラインには各作品のサムネイルが表示されるが、このサムネイルは動画になっていて、ダイジェストや予告編の映像をそのまま見ることができる。このようにチャンネルを切り替えながら見たい番組を探す「ザッピング」の要素が取り入れられている。

アプリのUI。タイムラインのようにチャンネル内の作品が並べて表示され、左右にフリックしてチャンネル切り替える
iOS版アプリも同時にアップデート予定とのこと。UIはほぼ同じとなっている
メニューはAndroid版iOS版ともに左から引き出す形式
レコメンドされた作品が表示される「オススメ」チャンネル
レコメンデーションについて

 オススメチャンネルでは、ユーザーの視聴履歴や年齢、性別といった属性情報と各作品のメタデータを元に、ユーザーごとに最適化された作品を自動でおすすめするレコメンデーションエンジンが使われる。このレコメンデーションエンジンは、「IBMの天才工学博士とともに数カ月間の研究を重ねて」搭載したという。

テレビのような時間編成の仕組みも

 また、ジャンルチャンネルは時間編成となっていて、起動するたびに異なる作品が表示される。このように、出会ったことのない作品に出会う感動や喜び、といったコンセプトにあわせた作りとなっている。

dTVターミナル

 端末の面では、従来通り、スマートフォン(Android/iOS)とパソコンから視聴できることに加え、テレビに接続する専用端末「dTVターミナル」が発売される。

dTVターミナルについて

 dTVターミナルはdTVとdアニメストアの視聴に特化したセットトップボックス型の端末。付属の赤外線リモコンで操作する。テレビにはHDMI端子で接続し、無線/有線LANでインターネットに接続して利用する。docomo IDでログインすると、そのdocomo IDで契約しているdTVやdアニメストアの番組を視聴できる。

 dTVターミナルにも、テレビのザッピング感覚のUIが搭載されている。ザッピング画面では各作品のダイジェストや予告編の映像が全画面で再生され、上下キーでチャンネルを、左右キーでチャンネル内のコンテンツを切り替える。ここで表示されるダイジェストや予告編の映像は、解像度が意図的に落とされていて、ザッピングするようにチャンネルを次々に切り替えても操作レスポンスが落ちないようになっている。見たい作品を見つけたら、再生ボタンを押すと、HD解像度の本編のストリーミング再生が開始される。

 このほかにもコンテンツ一覧画面や検索などの方法でも見たい作品を探せるほか、スマートフォンで見つけてMyクリップに追加した作品をdTVターミナルで視聴する、スマートフォンで視聴中の作品を同じ位置から再生する、といったこともできる。

 dTVターミナルはAndroid 4.2ベースのOSを搭載している。Google Playによるアプリ追加やGmailといったAndroidの標準的な機能には対応していないが、YouTubeには独自対応し、MiracastやSDカード内のメディアファイルの再生といった機能も搭載している。ユーザーによるアプリ追加はできないが、今後のアップデートなどで機能を追加することは技術的には可能だという。

 dTVターミナルの本体は100×100×22mm、重さ214g。バッテリーは内蔵せず、付属のケーブルとアダプタで5V 2Aの給電を受けて動作する。無線LANはIEEE802.11b/g/nに対応し、有線LANポートも搭載している。側面にはUSB端子とmicroSDカードスロットがあるが、USB端子の使い道はとくに提示されていない。端末のメーカーはファーウェイとなっているが、ソフトウェア面はほぼNTTドコモが開発しているという。

dTVターミナル。大きさは10cm四方
背面に各種コネクタがある。光デジタル出力にも対応するが現時点でサラウンドは非対応
左側面にUSB端子、右側面にmicroSDカードスロットがある
メインの画面
ザッピング画面。カーソルキーでチャンネルや作品を切り替えて行く
作品紹介画面
アプリ一覧画面もあるが、ユーザーが自由にアプリを追加することはできない
契約していなくてもdアニメストアのコンテンツが表示されるが、契約していないと視聴できない

 現在、dTV(dビデオ)は会員数が460万人を超えているが、dTVへの変更と機能の拡充により、さらに多くの会員獲得を目指して行くという。その中で、従来は顧客との接点がドコモショップなどの販売店に限られていたが、それ以外の接点を開拓中だという。

dTVオリジナル進撃の巨人

 dTVの発表会では、サプライズとして、dTV独占のプレミアム作品として、今夏公開予定の実写映画版「進撃の巨人」と連動したオリジナルドラマも発表された。

 「進撃の巨人」は別冊少年マガジンに連載中の人気漫画。すでにアニメ化はされているが、樋口真嗣監督らによる実写映画が今夏、公開される。今回発表されたオリジナルドラマは、その実写映画と同じキャスト・スタッフによる、オリジナルストーリーの作品となっている。ストーリーの詳細は明らかにされていないが、映画のストーリーを補完するような内容で、原作の主人公であるエレンやミカサといったキャラクターではなく、脇役にフォーカスを当てたオムニバス形式のオリジナルストーリーになる模様。

出演キャスト陣

 発表会では原作にも登場している「ハンジ」役の石原さとみと「サシャ」役の桜庭ななみ、映画オリジナルキャラクター「フクシ」役の渡部秀、「リル」役の武田梨奈、「ヒアナ」役の水崎綾女、さらにドラマオリジナルキャラクター「イズル」役の平岡祐太が出席し、それぞれ今作の見所について語った。

 また、オリジナル実写ドラマの配信に合わせ、漫画の一コマずつに声とSEを追加する動画コンテンツ「Beeマンガ」で進撃の巨人の原作が配信される。こちらはアニメ版を演じた声優が声を担当する。

ハンジを演じた石原さとみは、ドラマのハンジ編について、「本編よりハンジの内面や過去を描いているので難しく感じた」とコメント。演技についてはアニメ版でハンジを演じた声優の朴ロ(王へんに路)美に相談したという
サシャを演じた桜庭ななみは、緊迫したシーンでも芋を食べるなど、独特なマイペースさを持つ同キャラクターのイメージをdTVドラマ版でも演じたい、とコメントした
フクシを演じた渡部秀は、フクシ編がアクションをテーマにしていると語る。フクシとリルは「立体機動兵器」の優秀な使い手で、優等生同士がぶつかりあうアクションシーンが魅力だという
リルを演じた武田梨奈は、一昨日まで撮影していたというフクシとのアクションシーンにおいて、お互い本気で当てようと、本気で取り組んだことをアピールした。ちなみに武田梨奈は空手の黒帯を持っているとのこと
三崎綾女が演じるヒアナは、シングルマザーという同作品では珍しい役どころ。dTVがドコモ契約者以外でも見られるということについて、「日本はもちろん世界中で人気の進撃の巨人をいろいろな人に見てもらえたら嬉しい」とコメントした
dTVドラマ版オリジナルキャラのイズルを演じる平岡祐太は、ドラマの収録現場を見て「セットが凄い。dTVは凄いバジェット(予算)があるなと思った」と笑いを誘いつつ「新しい配信メディアは訳者にとっても新しい世界が目の前に開けている気がした」とコメント

白根 雅彦

太田 亮三