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音を聞かせてスタンプゲット、カカオの新アプリ「Stac」

音声を認識してスタンプをゲットした瞬間の「Stac」

 カカオジャパンは、音声認識機能を活用して、手軽にスタンプラリーへ参加できるスマートフォン向けアプリ「Stac」(スタック)の提供を開始した。iOS、Androidのどちらにも対応する。いわゆるO2Oに分類される販促ツールとして位置付けられる。

 まずは、全国のローソン店頭や、福岡ソフトバンクホークス主催試合でスタンプラリーが実施される。

音声を認識してスタンプ

 「Stac」は、手軽にスタンプラリーへ参加できるスマートフォン向けアプリ。電通が開発した音声認識技術「Click AD」を採用しており、店頭やイベント会場などで流れている音声を捉えると、スタンプが付与される、という仕組み。ユーザーにとってはスタンプをもらえる場所を訪れてアプリを起動するだけ、という手軽な手順でスタンプラリーに参加し、景品がもらえる。

 アカウント登録は不要だが、アプリの初回起動時に性別と生年月を登録する。アプリ上では複数のスタンプラリーへ同時に参加できる。

 第1弾のスタンプラリーとして全国のローソンで、6月20日~7月3日に「あきこロイドちゃん presents 青いコンビニで豆大福をもらおう!」が実施される。指定の時間に店内で流れる楽曲「青いコンビニであいましょう」をStacで認識すると、1日1回、スタンプが付与される。このスタンプを3つ集めると、ローソンのウチカフェスイーツ「あんこや 豆大福(つぶあん/こしあん)」の無料引換券が先着5000名にプレゼントされる。

ローソンでのスタンプラリー

 また7月5日~28日には、福岡ソフトバンクホークス主催試合が開催されるヤフオクドームにおいて、「ヤフオクドーム来場スタンプキャンペーン♪」が実施される。こちらは球場で流れるソフトバンクホークス応援歌をStacで認識するとスタンプが付与される。スタンプの数に応じた特典が提供される予定。特典として選手のサインなどが予定されており、スタンプを数多く貯めたユーザーにはいわゆるVIP席のチケットが贈呈されることもあるという。

 このほか「カカオトーク」関連のキャンペーンも実施されている。「Stac」の公式サイトで配信されている映像を視聴中に「Stac」を起動すると、カカオトーク用の動くスタンプを入手できるシリアルコードが提供される。

ホークス主催試合の観戦でも

スタンプラリー実施企業のメリットとは

 一方、キャンペーンを主催する企業にとっては、これまで実施してきたシリアルコード、QRコードでの販促に加えて、リアルな店頭・イベント会場内で音声を流すという取り組みを実施することで、集客効果の向上が期待できる。テレビやラジオ、屋外ビジョン、Webなど、音声を流せる環境であれば、どこでも展開できるという点も魅力の1つに挙げられている。

 認識できる音声は、人の耳に聞こえる可聴音域だけではなく、非可聴音域も利用可能で、静かな空間でもスタンプラリーを実施できる。

目指すは「1回のキャンペーンで10万人」

 カカオ・ジャパンのパク・チャジン氏は、スマートフォン向けメッセージングアプリとして「カカオトーク」が成長する中で、モバイルメッセンジャーではカバーできない領域があることに気付いたと語る。その1つが、個々人のユーザーと、企業や店舗を結びつける部分。将来性も期待できる分野ということで、今回、「Stac」を開発したと語った。

 その中で、割引クーポンを幅広く配布するスタイルと比べて、熱心なユーザーを獲得しやすい「Stac」で提供される特典は、高額になりやすいのか、という問いに対して、担当者が「複数回、来店してもらうことで、ステップアップした(より高額な)特典を提供できるのではないか」と語る一方、パク氏は、「本当はよく分からない。こういう使い方になるだろうとは思うけれども、実際はわからない。ただ、ユーザーがこう使うだろう、という想定に執着すると、実際の利用スタイルと(カカオ側の想定が)合わないことにもなりかねない。気をつけて運営していきたい」と手探りしつつ進めていくことも明らかにした。

 通常、新商品のサンプリング(サンプルを消費者に渡して体験してもらう)は、1回あたり10万人程度に達すると成功、と評価されるとのことで、カカオでも今回の「Stac」で、キャンペーン1回あたりの利用人数を10万人程度まで伸ばすことを当面の目標とする。また、その仕組み上、1つ1つのキャンペーンで結果的に熱心なユーザーが集まるという点が他の類似サービスよりも強みになるとした。

 首都圏だけではなく、全国のユーザーが参加できるよう、まずは全国規模の事業者のスタンプラリーを積極的に進める。ユーザーがある程度、大規模になった段階で、中小店舗などへ展開していく考え。

 ローソンやホークスでのキャンペーンのほか、パス・コミュニケーションズと協力して街頭ビジョンで音を発信して店舗への来店を促すという実証実験を、凸版印刷とともに音が出るデジタルサイネージを活用する実証実験を、それぞれ7月にも実施する方針。

関口 聖