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イオンとソフトバンクが協業、スマホで店舗と連携する取り組み
イオンとソフトバンクが協業、スマホで店舗と連携する取り組み
(2013/3/7 18:42)
イオンとソフトバンクテレコム、ヤフーの3社は、ソフトバンクテレコムとヤフーが共同で提供する「ウルトラ集客」をイオンに導入し、Webサイトと実店舗を連携させた協業を行うと発表した。スマートフォンのアプリを利用するなどして、Webサイトで入手した特典を店舗で受け取れるなどのサービスをイオングループ全体で本格的に展開する。
イオンとソフトバンクテレコムは、イオンの通信基盤を整備するなどしてすでに関係を築いているが、今回の取り組みは実店舗を訪れる客を増やしたり購買行動を分析、底上したりするといった狙いがあり、ビジネスパートナーとしての関係になっている。
ソフトバンクテレコムがソリューションとして展開する「ウルトラ集客」は、インターネット上から実店舗などのリアルな場所にユーザーを誘導する「O2O」(Online to Offline)と呼ばれる取り組み。具体的には「Yahoo! JAPAN」のトップページやFacebookなどに掲載するバナー広告から誘導を行うことで、多くのユーザーに訴求できるのが特徴。ユーザーは、バナー広告経由で取得したバーコードを店舗に設置された端末「HappyGATE」にかざすと、特典クーポンが印刷され入手でき、レジで特典になった商品と交換できる。
イオン側では、3月15日より総合スーパー「イオン」など約460店舗で「HappyGATE」の設置とサービスの提供を順次開始。全国にある食品スーパーの「マックスバリュ」など約1000店舗でもサービスを開始する。
また今後は、無線LANサービスを「AEON Wi-Fi(仮称)」としてイオンのショッピングセンター内に整備する。イオンの会員向けサービスの提供のほか、各キャリアが提供する公衆無線LANスポットの機能も統合される予定。
さらに、「AEON Wi-Fi(仮称)」の整備に合わせてマルチキャリアに対応したイオンのスマートフォン向けアプリが提供される予定。2013年度上期中に首都圏の店舗で実験が開始される。
このスマートフォン向けアプリでは、ショッピングセンターでの利用を念頭に便利な機能が搭載される予定で、「来店WAONポイント」などWAONポイントとの連携も予定されている。アプリでは、来店時のポイント付与、ショッピングセンター内のイベントへの誘導、クーポンの自動配信、画像認識と連携したレシピの表示、商品を見た後にイオンのネットスーパーで注文できる機能、対応する店舗での駐車位置案内機能、店舗内の販売場所検索機能など、さまざまな機能が提供される見込み。
「リテラシーが急速に変化、買物行動は大きく変化している」
3月7日に開催された発表会で登壇したイオンリテール 代表取締役社長の梅本和典氏は、「小売業において、買物行動は大きく変化している。顧客のリテラシーが急速に変化しており、ソフトバンクグループと提携し新しい分野の取り組みを開始する。WAONとイオンクレジットは合計で3000万会員を超えており、これらの資源とソフトバンクの通信技術を意欲的に結合する」と意気込みを語った。
梅本氏は、「ウルトラ集客」を利用しテストマーケティングとして実施した結果が「大変有効だった」と評価。「AEON Wi-Fi(仮称)」やアプリの展開も順次提供していく方針を明らかにした。
なお、イオンでは「イオンSIM」などと呼ばれる、日本通信をはじめとしたMVNOのSIMカードを販売しているが、こうした取り組みとの連携について、「有効に活用していきたい」との方針は示しているものの、具体的な取り組みは今後検討するとしている。
ソフトバンクテレコム 代表取締役副社長兼COOの宮内謙氏は、「現在はまだ入り口の入り口だが、非常にいいものができた。一番わかりやすい、もっとも有効なものではないか」と「ウルトラ集客」と組み合わせた今回のイオンとの取り組みをアピール。Webサイトと連携するクーポンは顧客の属性や行動の傾向も分析でき、商品開発やマーケティングに活用できる点も重要な要素とした。同社はヤフーの広告を販売する舞台を内部に新設しており、パートナーの売上拡大に貢献するような、従来のソフトバンクテレコムとは異なるアプローチのビジネスも加速させていく構え。