米アドビ、モバイル向けFlash Playerの開発打ち切りへ
米アドビシステムズは、同社の公式ブログにおいて、モバイル向けFlash Playerの開発を継続しない考えを明らかにした。
パソコン向けのプラグインとして、スムーズなアニメーションを実現できる環境として誕生したFlashは、機能を制限したFlash Liteという形でモバイル向けに提供が開始され、日本国内の携帯電話では広く利用されている。その後、スマートフォンのようなモバイル機器の性能向上に伴い、パソコン向けと同等の機能がモバイル版でも提供されるようになった。アップルのiPhone、iPad、iPod touchといったiOS端末ではFlashコンテンツが利用できず、アドビは一時、FlashコンテンツをiOS向けアプリに変換する仕組みの提供を検討していたが、アップル側の規約変更を受け、アドビ側はiOS向けFlashコンテンツ変換技術の開発を打ち切った。一方、急速に拡大したAndroidデバイスでは、Flash Playerが提供されており、現在もゲーム中でFlashを使ってリッチな表現を実現するなど、活用されている。
今回公開された、アドビの公式ブログのエントリーはバイスプレジデントのダニー・ウィノカー(Danny Winokur)氏が投稿したもの。それによれば、過去10年以上にわたり、FlashはリッチなWebコンテンツを実現させ、過去2年ではモバイル機器向けにフル機能を提供してきたとしつつ、主なモバイル端末でHTML5がサポートされ、複数のプラットフォームにまたがるコンテンツ開発にはHTML5が最適なソリューションであると指摘。同社では今後、Adobe AIRを活用してFlashの技術を用いたアプリをモバイル機器向けに展開できるようにするとしながらも、Flashコンテンツを動作させるFlash Playerについては、モバイル機器のブラウザ向けの開発は継続しないことを明らかにした。Androidおよび BlackBerry Playbook向けのFlash Player 11.1が最後になるとのことだが、重大なバグの修正、セキュリティ関連の更新は今後も行われる。またソースコードのライセンスを受けている事業者が独自開発製品を提供することは構わないという。
今回の決断により、アドビはHTML5への投資を増加できる、とする一方で、高度なゲームや高品質な映像コンテンツといった分野ではFlashは市場をリードできるとの見方を示するほか、次のバージョンとなるFlash Player 12の開発も行われており、Flash開発者は今後も自らのスキルアップに投資できる、としている。アドビ日本法人では「技術は我々だけが牽引しているわけではなく、徐々に状況を見ながら進めることになるだろう」とコメントしている。
2011/11/10 12:48