NVIDIA、従来比で5倍の性能を実現した「Tegra 3」を発表
Tegra 3 |
NVIDIAは、モバイル端末向けのプロセッサ「Tegra 3」を発表した。2011年末にTegra 3搭載のタブレット型端末が登場するほか、Tegra 3搭載スマートフォンは2012年初頭に登場する見込み。
今回発表された「Tegra 3」は、コードネーム「Kal-El」として開発されてきたモバイル端末向けのチップ。CPU、GPU、画像処理チップやオーディオコアなどからなるヘテロジニアス・マルチコアSOC(System on a Chip)となっている。3G通信機能は含まれていない。
「Tegra 2」と比較して約5倍の性能としているほか、省電力化、3倍のGPU性能、3D表示をサポートしたことなどにより、“PCクラスのCPU”を謳う。
CPUコアは、CorTex A9 ARMアーキテクチャを採用。Tegra 2のデュアルコアに対し、Tegra 3ではクアッドコア化される。加えて、省電力駆動用の「コンパニオン・コア」を追加した、5コアの構成としている。画像処理も2倍の高速化が実現される。動画は1080p、40MbpsのフルHD動画の再生をサポートし、オーディオは7.1chサラウンドに対応する。3D表示対応の液晶テレビなどとHDMIで接続すれば、3D対応コンテンツの表示も行える。
メモリはDDR3L-1500、LPDDR2-1066をサポート。ストレージへのアクセスでは、eMMC 4.41、SD 3.0、SATA-IIがサポートされ、従来比で2~6倍の高速化が可能になっている。
Tegra 3の概要と仕様。Tegra 2の5倍の性能を謳う |
ASUSが海外で発表したタブレット端末にTegra 3が搭載される |
省電力化では、ゲーム、Web、動画再生など、動作内容に応じて駆動させるコアの数やクロック周波数を調整する「Variable Symmetric Multiprocessing」(vSMP)機能とコンパニオン・コアにより、Tegra 2よりも省電力化される。例えば、ゲームやマルチメディア系アプリでは、4コアを用いて0~1.3GHzで駆動する。Flashを利用したWebサイトでは、2コアで0~1.3GHz、テキスト・画像だけのWebサイトでは、1コアで0~1.4GHzで動作するといった具合。そして、動画や音楽の再生、アクティブなスタンバイ状態では、コンパニオン・コアのみが0~500MHzで駆動する。これらのvSMP機能により、動画再生ではTegra 2と比較して61%もの省電力化が可能になるとしているほか、Webサイト閲覧で約30%、ゲームや音楽再生でも約15%の省電力化が可能になるとしている。
Tegra 3ではクアッドコア構成に、5個目のコンパニオン・コアを追加。vSMPにより柔軟なコア制御を可能にする | ゲームやマルチメディア系アプリでは4コアを使用 |
Flashサイトは2コア | 通常のWebサイトは1コア |
待機状態や楽曲再生中などはコンパニオン・コアのみで省電力駆動を実現する | Tegra 2と比較した省電力化のグラフ |
GPUの「GeForce」は12コアに強化され、Tegra 2と比較してグラフィックス描画能力は3倍の向上を果たしている。例えばゲーム画面の描画では、ガラス面に付着する水の描画・演算や、モーションブラー、周囲が映り込む水面といった効果が付加できるようになっている。現時点では、Tegra 3対応として開発中のゲームタイトルが15本以上と案内されている。
このほか、JavaScriptの処理やFlashの再生、画像・動画の処理においても、現存する他社製のモバイルプロセッサと比較して高速になっているという。
なお、すでに案内されているように、同社のモバイル向けプロセッサのロードマップは2014年まで明らかにされている。Tegra 2を基準とすると、Tegra 3の後継で、Tegra 2の10倍の性能を持つというコードネーム「WAYNE」が2012年に登場する見込み。その後「LOGAN」が2013年に、「STARK」が2014年に登場する予定で、「STARK」はTegra 2の約75倍の性能を実現するとしている。
Tegraシリーズのロードマップ |
2011/11/9 15:00