富士通の「F-12C」発表会、特別モデルも追加


 富士通は、NTTドコモから発売されるAndroid搭載スマートフォン「F-12C」の発表会を開催した。英国のトラベルケースのブランド、グローブ・トロッター(GLOBE-TROTTER)とのデザインコラボレーションモデルで、21日にはトラベルケースと同じハンドメイドの素材を使用した特別モデルも発表された。

 

「初心者でも迷わず、基本機能の使いやすさを追求」

駐日英国大使館 代理大使のデーヴィッド・フィトン氏
富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏

 21日に開催された記者向けの発表会は、グローブ・トロッターが英国のブランドであることにちなみ、英国大使館で開催された。駐日英国大使館 代理大使のデーヴィッド・フィトン氏は、グローブ・トロッターについて、「今でも色褪せないデザインで人気がある」と紹介。富士通とのコラボレーションについては「技術的にも、歴史的にも、先端的にも意味がある」とし、「2012年はロンドンオリンピックが開催される。F-12Cを片手に、グローブ・トロッターを持っていらしてください」とアピールした。

 富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏は、「フィーチャーフォン(従来型の携帯電話)からスマートフォンに、急激に切り替わっている。東芝とスマートフォンを中心に統合して発売したREGZA Phoneは人気が高く、大成功のプロジェクト。F-12Cはデザインだけでなく機能も非常に良い仕上がりになっている」と述べ、「日本の洗練、高機能、品質といったものをスマートフォンに作り込んで、グローバル市場でもやっていく」と海外展開も視野に製品開発を行っていく方針を示した。なお、海外展開は現在、調査を含めて活動中とのことで、2012年にも海外市場への展開を実現したいとしている。


富士通 モバイルフォン事業部 本部長の高田克美氏。手にしているのは特別モデル

 富士通 モバイルフォン事業部 本部長の高田克美氏は、「初心者でも迷わず使え、基本機能の使いやすさを追求する」とF-12Cの基本コンセプトを紹介。「操作性にも影響する」と軽量に仕上げたほか、グローブ・トロッターのケースの素材「ヴァルカン・ファイバー」を忠実に再現したというBlackの肌触りも紹介した。

 センサーの搭載と利用に注力する富士通は、これらを組み合わせた技術も多数搭載している。ディスプレイの輝度は環境により自動的に調整を行うほか、音声処理専用のDSPを搭載。モーションセンサーと組み合わせることで、例えば走っている時は端末から耳が離れやすいので音を大きくするといった、利用シーンを検出して調整する技術が搭載されている。ディスプレイ表面は見た目には分からないものの、「適度な粗さがある」とのことで、指の滑りやすさにも配慮。タッチすると小さく振動するタッチフィードバックも搭載されている。

 日本語入力はATOKだが、ジャストシステムと共同開発し、手書き入力機能を搭載。文字入力時に表示されるキーパッド部分が手書き入力のエリアを兼ねており、ボタン操作などで切り替えることなく、ボタンの文字入力、手書きの文字入力がシームレスに行える。このほか、音声入力でメール作成画面を呼びだすといったデモも披露された。

 

「目指したのは100年ケータイ」

グローブ・トロッター 日本支社長の田窪寿保氏
グローブ・トロッター クリエイティブ ディレクターのギャリー・ボット氏

 グローブ・トロッター 日本支社長の田窪寿保氏は、「スマートフォンは思い出を詰める箱。パートナーのような存在になっている。目指したのは100年ケータイ。100年は無理だろうと思われるかもしれないが、普遍的なものは100年、もってしまう」と語り、コラボモデルのデザインに自信をみせた。

 コラボレーションモデルの検討は2009年から開始されていたとのことで、「鞄のコンセプトやデザインを携帯電話におとすのは大変だった」と、デザイン面での苦労が続いた様子も語った。

 コラボレーションのデザインで中心的な役割を果たしたという、グローブ・トロッター クリエイティブ ディレクターのギャリー・ボット氏からは、英国を中心に、偉人や歴史的な出来事に関係してきた同社のトラベルケースの歴史が語られ、財務省時代のウィンストン・チャーチル、ハネムーンに出かけるエリザベス王女、エベレストに初めて登頂したヒラリーなどが例として挙げられた。現在も英国王室で愛用されているほか、芸能人・セレブ御用達となっている。

 ボット氏は、「最大の強みは普遍性で、過去から変わらず、時代にあった製品を送り出せること」とする一方で、「世界は変わり続けている。新たな道を切り開く時だ」と語り、「モバイルテクノロジーのマーケットリーダー」(ボット氏)という富士通とコラボレーションに至った様子を語った。

 田窪氏は、「タッチアンドフィールを、触ってみてもらいたい。今は非常に喜びを感じている」と語り、コラボモデルの仕上がりに自信をみせた。


 

トラベルケースと同じ素材のカバーを同梱した特別モデル

 特別モデルとして発表されたF-12C「GLOBE-TROTTER CLASSIC」は、背面の電池カバーに、トラベルケースと同じ素材「ヴァルカン・ファイバー」を使用したカバーを同梱したモデル。同じオレンジ色で、プラスチック製のカバーも用意される。F-12Cとしての防水性能はプラスチック製カバーで保証され、ヴァルカン・ファイバーのカバーは防水に非対応。ヴァルカン・ファイバーのカバーにはシリアルナンバーが刻印されるほか、オリジナルの壁紙を搭載する。

 ヴァルカン・ファイバーのカバーは、トラベルケースと同じ、16層の紙を樹脂で圧着する製法の素材で、縁の曲面は、200度で熱しながら手で曲げるハンドメイドとなっている。また、縁のリベットは、曲げた部分が変形しないように打たれているという。

 販売はドコモオンラインショップ限定で、店頭販売は行われない。台数は全国で5000台限定。発売時期は10~11月を予定する。F-12Cの通常モデルは7~8月の発売を予定している。

F-12Cの特別モデル。左がプラスチック製カバー、右がヴァルカン・ファイバー製カバー。特別モデルにはどちらも付属する 
  

 

会場の展示

 




(太田 亮三)

2011/7/21 15:55