KDDIとRekoo、ビジュアルポータル「サンシャイン王国」を提供


KDDIの高橋氏(左)とRekooのリュー氏(右)

 KDDIは、中国Rekoo MediaおよびRekoo Japanと提携し、ソーシャルゲームとポータルサイトを組み合わせたビジュアルポータルサービス「サンシャイン王国」を10月14日より開始する。EZwebだけでなくiモード、Yahoo!ケータイからもアクセスできる。パソコンとAndroidスマートフォン向けには年内にも開始される予定。利用料は基本プレイが無料のアイテム課金制。

 今回提供が開始された「サンシャイン王国」は、ユーザーそれぞれが持つ「王国」を発展させていくソーシャルゲーム。植物や建物をバランスよく設置していくのが基本のプレイで、CO2メーターの上昇を防ぐために植物を設置するといった、エコロジーを意識したシステムも取り入れられている。友人が作っている王国を訪ねることができ、その際に「探検」を行えば宝物を入手することも可能。

 「サンシャイン王国」は、サーバー上にアドレス帳データをバックアップする「au oneアドレス帳」と連携するのが特徴で、サンシャイン王国で遊んでいる友人を簡単に見つけられるようになっている。友人がEZweb以外の場合でも、「au oneアドレス帳」に登録してあるメールアドレスでゲームを始めていれば、見つけることが可能。

 また、auの既存の公式コンテンツを紹介するポータルも用意されており、各サービスのロゴが付いた建物をクリックすることで、それぞれのサービスにアクセスできる。このポータルはほかのコンテンツプロバイダー向けにも公開される予定で、au以外のサービスにもアクセスできるようになる見込み。

「サンシャイン王国」の画面

 

アドレス帳を基点にしたソーシャルグラフ

KDDI 代表取締役執行役員専務 グループ戦略統括本部長の高橋誠氏

 17日には都内で記者向けに発表会が開催された。登壇したKDDI 代表取締役執行役員専務 グループ戦略統括本部長の高橋誠氏は、mixi上の「サンシャイン牧場」などですでに多くのユーザーを獲得しているRekooと提携することで、「楽しさのあるビジュアルポータルを提供する」と紹介。「フィーチャーフォン、Android、PCにも対応していく。マルチデバイス対応がこれからは常識になる」と新しいプラットフォームとして展開していく姿勢を示した。また、「今年中にさらに発表できるのではないか」と今回の取り組みとは別のプラットフォームを発表することにも言及している。

 ソーシャルゲーム部分の中心になる「サンシャイン王国」については、アドレス帳と連携させる仕組みが特徴で、「キャリアを越えてユーザー同士が友達と認識される。現実世界でのつながりが、ゲームの世界でも新たなつながりになる」と、ソーシャルサービスにおける人間関係「ソーシャルグラフ」を、アドレス帳を基点に展開できるとした。

 高橋氏はこのほか、KDDIの戦略にも触れ、ユーザーとの接点の多様化、スマートフォンの拡充などデバイスの多様化という2つのコンセプトをサンシャイン王国で実現するとした。同氏は「いろんな新しい入口を作るのは、非常に重要」と語り、グーグルとの提携やGREE、セカイカメラといったこれまでの展開を示した上で、さらに「入り口の多様化」を強化する施策としてRekooとの提携を位置づけている。

 同氏はまたスマートフォンの展開にも触れ、「フィーチャーフォンからAndroidへの流れは、KDDIとして真剣。配信・認証・課金プラットフォームはほかのキャリアよりも進んでいる」と、これから取り戻すというスマートフォン向けの展開に自信を見せ、「マルチデバイス展開も、STB(セットトップボックス)やフォトフレーム、家電、健康機器などに広げていく」と構想を語った。


10月14日開始トレンドに対応して新たなプラットフォームを創出
マルチデバイスの展開もauのサービスにアクセスできるポータルとしての機能。外部にも開放される
アドレス帳と連携エコバランスをゲームに取り入れている
AndroidとPCは年内に対応。他社の端末もサポートしていく

 

Rekoo MediaおよびRekoo Japan 代表取締役CEOのパトリック・リュー氏

 Rekoo MediaおよびRekoo Japan 代表取締役CEOのパトリック・リュー氏は、「本物のソーシャルグラフ」とアドレス帳と連携できる「サンシャイン王国」を紹介し、同社がアジアや欧米で幅広くソーシャルサービスを手がけている実績をアピール。日本のmixiでも人気コンテンツの上位4つのうち、3つが同社の手がけたコンテンツとした。

 リュー氏は同社の今後の展開についても、「まずはクロスキャリアとして3キャリアに対応するプラットフォームにする。また、デバイスを問わずにアクセスできるよう、モバイル、PC、スマートフォンにワンサービスで対応する」と語り、海外での展開も視野にサービスを拡充していく姿勢を明らかにした。


Rekooの国際展開。中国では2300万人を超えるサービスもアドレス帳を利用することで展開を容易にする
サンシャイン王国の概要友達の国では探検で宝をゲットできる
エコを意識した設置がポイントクロスキャリア、クロスデバイス、国際展開を窺う

 

人気のソーシャルゲームをプラットフォーム化

 質疑応答の時間には、サンシャイン王国で実現される「ソーシャルグラフ」について、ほかのサービスに応用することを聞かれると、KDDI 新規ビジネス推進本部 ポータルビジネス部 部長の江幡智広氏からは、au Smart Sportsのようなランニング系サービスなど、ほかのサービスでの活用はあり得ると回答された。

 多くのソーシャルゲームと同様に、より楽しく遊ぶためにはアイテムを購入するアイテム課金制となっている「サンシャイン王国」だが、ビジネスモデルについて高橋氏は、協業として投資の分担やレベニューシェアといった、密に連携した協業モデルであるとした。また、auの各サービスにアクセスできるポータルについては、「基本的に、外に開放していきたい。今後発表するプラットフォームでも、開放して使ってもらえるのが前提になる」とした。

 ソーシャルゲームを新たなプラットフォームに選んだ理由、またRekooを選んだ理由について高橋氏は、「ソーシャルゲームは非常に受け入れられているゲーム。速いスピードで進んでおり、こういうテーマでプラットフォームを作るのは重要と考えた。Rekooは中国が中心だが、世界でも大手。先日中国で見学したが、開発スピードはものすごく速い。我々がスペックを書いて開発していくようなものとは全く比較にならない速度で開発されている。Androidの時代でもこういうのが重要になる」と語り、世界規模で展開可能な点や、開発速度の速さをポイントに挙げた。

 リュー氏は、「モバイルのソーシャルグラフは、ぜひやっていきたいと思っていた。KDDIは以前からイノベーティブなことをやっており、アドレス帳を使ったソーシャルグラフとしてこれ以上の会社はないと思った」とKDDIとの提携について語り、今後の日本での展開についても「日本のチームを主体に、考え方も日本のものにしていきたい」と、日本市場のユーザーを意識した開発体制を構築していく方針を明らかにした。

 



(太田 亮三)

2010/9/17 18:05