道路崩落・土砂崩れの口コミ・写真投稿サイト、ホンダらが開始


 インクリメントP、本田技研工業(ホンダ)、ゼンリンデータコムの3社は、大規模地震の発生時に道路情報を共有する「災害時移動支援情報共有システム」を共同で構築し、9月1日に運用を開始すると発表した。地震による道路の崩落や土砂崩れのなどの様子を一般ユーザーから写真などで投稿してもらい、リアルタイムに地図サイト上で公開するほか、通信カーナビからの軌跡データも表示することで、道路の通行可否も確認できるようにする。


「MapFan Web」の「災害情報共有ページ」メイン画面(サンプル)「いつもNAVI」の「災害情報共有ページ」口コミ情報表示(サンプル)

 「災害時移動支援情報共有システム」は、震度5弱以上の地震発生時に自動的に起動。インクリメントPが運営する「MapFan Web」、ホンダが運営する「インターナビ・プレミアムクラブ」、ゼンリンデータコムが運営する「いつもNAVI」の各サイトの地図上で情報を公開する。写真や口コミ情報の投稿は、各サイトの会員がそれぞれのサイトから行うかたちとなるが、投稿された情報は一元化され、3つのサイトいずれからでも閲覧できる。

 口コミ情報の投稿時は、場所や発見日時を指定するとともに、スポット名称やテキストメッセージを入力して、写真をアップロードする。「道路情報」のほか、「ガソリンスタンド」「コンビニ」「スーパー」「トイレ」「ATM」「その他の施設」といったカテゴリも選択でき、それぞれの施設の倒壊状況や利用可否の情報も受け付ける。現在のところ、PC用サイトからの投稿機能しかないが、携帯電話からの投稿にも対応する予定で開発を進めている。

 なお、リアルタイム性を重視するため、投稿情報を運営会社側で公開前に事前チェックすることはしないが、明らかにいたずらや虚偽と判断されるものについては後から削除する方針だ。あくまでも口コミ情報という位置付けだとしており、利用にあたっての判断は自己責任となる。


口コミ新規投稿フォーム通行実績表示(サンプル)

 通信カーナビからの軌跡データについては、ホンダ「インターナビ・プレミアム」とパイオニア「スマートループ」の会員の車両の走行データに基づき、地震発生後に実際に1台以上の車両が走行した道路を通行実績があったものとして地図上に表示。その道路が通行可能かどうかを判断できるようにし、被災地からの避難や被災地への救援で移動する際の支援情報として役立ててもらう。軌跡データは過去10日分が蓄積され、プルダウンメニューで日単位で切り替え可能。新たに通行止めになったり、逆に復旧して開通した場合なども把握できるようにする。

 「災害時移動支援情報共有システム」の稼働時は、「MapFan Web」「インターナビ・プレミアムクラブ」「いつもNAVI」のトップページから特設リンクが張られ、被害の状況にもよるが、原則として1カ月、その地震についての「災害情報共有ページ」が開設される。これは、各サイトの登録会員でなくても誰でも閲覧可能だ。地図は、デフォルトでは震源地(陸地の場合)を中心に表示されるが、スクロールや住所検索を行い、任意の地点の周辺情報を参照可能だ。また、「インターナビ・プレミアムクラブ」の会員は、必要な情報を登録しておくことで、自分の車両に搭載したインターナビから口コミ情報を利用可能だ。

 口コミ情報・写真、軌跡データによる通行実績のほか、株式会社パスコの協力により、同社が撮影した被災地周辺の航空写真も掲載する。


株式会社パスコ提供による航空写真航空写真の拡大表示画面

 「災害情報共有ページ」が実際に公開されるのは、震度5弱以上の地震が発生した時となるが、運用を開始する9月1日は防災の日ということもあり、デモサイトとしてサンプルデータを公開する予定だ。


「災害時移動支援情報共有システム」サービス構成

 

(永沢 茂)

2009/8/27 20:01