シャープ、NetWalkerで「未開拓の大きな市場を創出」


 シャープは、モバイルインターネット端末として「モバイルインターネットツール NetWalker」(PC-Z1)を発表した。27日には都内で記者向けに発表会が開催され、製品や戦略の説明が行われた。

シャープ 代表取締役 副社長執行役員 商品事業担当の松本雅史氏

 最初に登壇したシャープ 代表取締役 副社長執行役員 商品事業担当の松本雅史氏は、冒頭で「新世代のインターネットツールを紹介する」と紹介し、「さまざまな機器がシームレスにつながる、クラウドコンピューティングの時代が到来しようとしている。携帯と小型のパソコンは一長一短で、未開拓の大きな市場がある」と新しい端末が狙う市場を説明。携帯とネットブックの間に位置し、シャープが考える“ケータイプラスワン”として、「NetWalker」を紹介した。愛称のNetWalkerについては、「ネットの世界を歩くように楽しんで欲しい」という考えから名付けたことを明らかにした。

 松本氏は同端末のパーソナルユース、ビジネスユースのどちらにも利用できるとし、今後は辞書コンテンツなど電子書籍の利用も可能になると説明する。携帯とネットブックの不満を解消したこの製品で「新しい市場ができると確信している」と意気込みを語り、「発売から6カ月で約10万台の販売を見込み、(モバイル端末として)久々の大ヒットになる、そんな仕掛けを考えている」と広告戦略にも力を入れる方針を示した。「ネットブックのユーザーや、携帯電話の2台目需要の選択肢として、また電子辞書のユーザーも」と幅広いユーザーに訴えられる製品であることをアピールした。

 加えて同氏は、海外市場でもモバイルインターネット端末が注目を集めているとし、「国内・海外含めて力を入れてやっていきたい」と製品の海外展開にも前向きな姿勢を示した。

携帯やネットブックは一長一短があり、その間にある未開拓市場を狙うNetWalkerの4つの大きな特徴
クイック起動のデモを行う松本氏今後は電子書籍も提供する

 

「ネット活用の進化したスタイルを提案」

シャープ パーソナルソリューション事業推進本部 副本部長の新井優司氏

 シャープ パーソナルソリューション事業推進本部 副本部長の新井優司氏は、「スマートフォン、ネットブック、電子辞書のユーザーに向けても、ネット活用の進化したスタイルを提案する」とNetWalkerを紹介し、電子書籍などコンテンツサービスとも連携することで世界を広げていくとした。

 同氏はNetWalkerの小型、長時間駆動、パソコンのように使えるOS、使いたいときにすぐに使えるクイック起動、片手でも操作できるポインティングデバイス、統合オフィスソフトのOpenOffice.orgの搭載といった特徴を説明し、USB接続で利用できるというデータ通信端末についても、キャリアと連携しながら、動作確認を順次実施していくとした。

 W-CDMAやWiMAXといった通信機能を内蔵しなかった点については、「当社では(通信機能を内蔵した)スマートフォンを出しており、今回の製品もいろんな選択肢のひとつ。分けたことでユーザーがキャリアを選択できるという面もある」とした。

 これまで同社が手がけてきたZaurus(ザウルス)シリーズとの違いについては、「ネットを中心にしたモバイル商品」とし、従来のスタンドアローンを基本とした使い方から、ブラウザなどを中心にしたネットと連携する使い方がZaurusシリーズと異なる点とした。

NetWalkerが狙うユーザー層は3つ小型、Ubuntu搭載など多くの特徴を持つ
約3秒で起動するクイック起動や長時間駆動など日常の利用シーンを考慮した仕様に5インチの画面は幅1024ドット
ヒンジ付近には、左にクリックボタン、右にポインティングデバイスOpenOffice.orgをプリインストール
Firefox、ThunderbirdでWebサービスを使いこなせるUSBのデータ通信端末に加えて、キーボードやドライブ類も利用できる
会場にはさまざなソフトの利用画面が展示された

 



(太田 亮三)

2009/8/27 17:12