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Google DeepMind、日本のAI研究開発を紹介 Gemini音声機能や介護支援AIを展開

 Google DeepMindは、東京拠点におけるAI研究開発の最新状況を明らかにした。プリンシパル サイエンティスト 兼 東京拠点リードの全炳河(ぜん・へいが)氏が、生成AI「Gemini」の音声機能開発や汎用ゲームAIエージェント、そして日本の高齢化社会に向けた介護支援AIの取り組みについて説明した。

Google DeepMind プリンシパル サイエンティスト 兼 東京拠点 リード 全炳河氏

日本に根付く研究開発拠点の歩みと狙い

 Google DeepMindは、2010年設立のDeepMindと、2011年設立のGoogle Brainをルーツに持つ。2023年に両組織が統合し、現在の体制へと移行した。日本においては、2018年にGoogle Brain Japanが立ち上がり、統合を経て2025年にGoogle DeepMindの東京拠点として正式に発足した。

 全氏は、2014年のGoogleによるDeepMind買収当時、ロンドンで音声合成の研究を行っていた。買収からわずか20日後にDeepMindのオフィスを訪れ、共同研究を開始したという。そこから生まれた音声生成モデル「WaveNet」は、Googleアシスタントなどに広く採用され、音声AIの基盤を築いた。

 全氏は「巨大IT企業のなかで、日本に本格的なAIの基礎研究開発拠点を設置しているのは我々だけ」と語る。東京チームは、基盤モデル全体の性能を向上させる水平的な研究と、特定の課題解決を目指す垂直的な研究の2軸で開発を進めている。

Geminiの音声能力を底上げする基盤研究

 全氏は、水平的な研究のひとつとしてGeminiの音声機能開発を挙げる。東京チームは、日本語へのローカライズにとどまらず、グローバルな基盤モデル自体の直接的な開発を担っている。入力された音声を短い単位の(音声トークン)に変換し、モデルが直接処理する仕組みを取り入れた。

 Geminiの音声機能は、入力された音声を短い単位に分割して「音声トークン」に変換し、モデルが直接処理する仕組みを採用する。テキストを介さずに音声を理解し、再び音声トークンとして出力するため、感情や声のトーンといった細かなニュアンスを保ったまま自然な対話を実現する。

 全氏は、音声入力からテキストを出力する文字起こしや、テキストから音声を生成する読み上げ、さらには入力音声を別の言語の音声で出力する翻訳など、多様な処理をシームレスに行える構造をアピール。これにより、ユーザーはより直感的でスムーズなAIとの対話体験を得られる。

3D空間で自律行動するゲームAIエージェント

 ゲームを用いたAI開発は、Google DeepMindのDNAとも言える領域。過去には囲碁AI「AlphaGo」などで画期的な成果を上げてきたが、近年は特定のゲームに特化するのではなく、より汎用的な能力を持つAIエージェントの開発へとシフトしている。

 現在開発中の「SIMA」は、3Dの仮想環境において、自然言語の指示に従って自律的に行動するAIエージェント。「建物に行ってアイテムを取ってきて」といった曖昧な指示を理解し、画面の視覚情報とコントローラーの操作を紐づけてタスクを実行する。未知のゲーム環境にも適応できる高い汎用性を備えており、将来的なAIアシスタントの進化を見据えた重要なステップとなる。

日本の社会課題に挑む介護支援AIの実用化

 垂直な研究として、日本独自の課題である少子高齢化に向けた取り組みも進む。課題先進国である日本でAIをどのように活用し、高齢者をエンパワーメントできるかが大きなテーマとなっている。

 その成果のひとつとして、介護現場の業務負担を軽減するGem「ケア記録アシスト」を開発した。介護従事者が現場で発した音声をAIが認識し、日々のケア記録を自動でテキスト化して整理する。これにより、記録作成に費やしていた膨大な時間を大幅に削減し、本来の介護業務に注力できる環境を提供する。

 また、日本チームは高齢者にもAI機能が使いやすくなるよう、「Gemini Live シンプルガイド」の開発も主導したという。

 今後も、東京チームがリードして開発した新機能がグローバルなGeminiのアップデートに順次組み込まれる予定。また、日本のパートナー企業との協業を通じたAIの社会実装も推進されており、日本発の研究成果やパートナーシップが、世界のAI技術を牽引していくことが期待される。