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楽天モバイルと東京科学大学、アナログ中継局で5Gミリ波のエリアを効率的に拡大する実証実験

 楽天モバイルは、東京科学大学と共同で、Beyond 5Gを見据えた取り組みの一つとして、アナログ中継局(レピーター)を活用し、5Gのミリ波の効率的なエリア拡張に関する実証実験を行った。17日、同社の公式ブログで紹介された。

電波の特性

 5Gのミリ波(28GHz帯)は帯域幅が広く、「超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続」を実現できる周波数帯として注目されているが、周波数が高いため電波の直進性が高く、障害物を回り込みにくくなったり、建物などで遮られたりしやすい特性があるほか、空気中での減衰が大きくなり、遠くまで届きづらくなることがある。

実証実験の概要

 楽天モバイルと東京科学大学の実証実験では、基地局設置に比べて低コストかつ容易に導入できるアナログ中継局を効率的に配置することで、ミリ波のエリア拡張を試行した。

 アナログ中継局は、ビル屋内や谷間、地下など電波が届きにくい場所に設置して受信した電波信号を増幅して再送信する設備で、基地局のカバーエリアを拡大する。

 今回の実証実験によって、ミリ波の電波が届きづらかったエリアでも、1Gbpsを超える高速通信が安定的に実現できることが確認できたという。

 研究成果は、5G普及とBeyond 5Gの研究開発を推進する「XGモバイル推進フォーラム」のホワイトペーパーや、米国電気電子学会(IEEE)の論文に掲載されている。

 研究の学術的な意義として、通常は通信品質の低下要因となる「マルチパス伝搬路」を意図的に形成することで安定した通信を実現したという。本来、「マルチパス伝搬路」は、電波が山や建物などに反射して複数の経路を通って受信側に届く現象で、電波の遅延や信号乱れの原因となるが、今回の実証ではその特性を逆手に活用した。

 具体的には、5Gミリ波基地局が設置された大岡山キャンパス内にアナログ中継局を複数台配置し、それぞれのカバーエリアを重ねて構築することで、人工的に「マルチパス伝搬路」を形成し、スマートフォンで複数の中継局から電波を受信できるようになった。その結果、一方向からの電波が遮られても、通信品質の低下がおきにくくなり、安定した通信ができたという。