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グーグル検索の「AIモード」、日本でも開始

 グーグルは、Google検索の「AIモード」の日本語版の提供を開始した。米国などでは先行して英語版が提供されており、本日9日から数週間で日本語の全ユーザーが利用できるようになる。

AIモードを日本でも提供

 AIモードは、ユーザーの複雑な質問に対してAIがWebサイトなどの情報をもとに回答する機能。数百の検索を同時に行い、専門的なレポートを作成できる「Deep Research」やカメラを向けたものから会話形式で検索できる「ライブ検索」、レストランの予約などを代行する「エージェントモード」、検索履歴などをもとに行動を提案する「パーソナルコンテキスト」やグラフを作成する機能も備える。

 パソコンなどの検索画面やAndroid、iOSの「Googleアプリ」の検索バーに表示される、AIモード用のタブから利用できる。「かこって検索」からも、AIモードに遷移できる。日本語のほかにヒンディ語、インドネシア語、韓国語、ポルトガル語でも同じく利用できる。

 「クエリファンアウト」(Query fan out)技術で、ユーザーの質問を複数のトピックに噛み砕き、同時に多数のクエリを実行することで、従来の検索よりもウェブを深く掘り下げ、より適切な情報を探し出す。検索ランキングに基づいてWebサイトを参照、クエリ・ファンアウト技術と「Gemini 2.5」の推論機能により、情報の質を重視した結果を生み出している。

 検索機能と、Geminiのモデルをかけ合わせた機能で、よりリアルタイムな情報を得られることから、Geminiとは別の製品と位置付けられている。AIモードが参照する情報には、これまでの検索サービスで得た知見が活かされているという。

 早期アクセスユーザーによるテストでは、検索ワードが従来の2~3倍の長さにもなることや複数の視点が求められることがわかった。クエリファンアウト技術は、こうした需要に対応するために取り入れられている。

AIによる概要から進化

 グーグルでは、2024年に「AIによる概要」(AI Overview)を導入。検索結果にWebサイトをソースとして検索ワードに対する答えを表示するこの機能は、200カ国以上の国と地域で利用されている。

ヘマ・ブダラージュ氏

 グーグルの検索サービス担当バイスプレジデントであるヘマ・ブダラージュ氏は「AIによる概要を表示するクエリが全世界で10%以上増加しており、時間とともにさらに増加している」と説明。AIモード導入の契機を「主にヘビーユーザーから、エンドツーエンドのAI検索がしたいという要望があった」と話した。さらに「AIモードで、さらに幅広い情報が得られる。複雑な質問に対して答えたり、求めるものの本質に到達することを手助けできる」と続ける。

AIモードでWebサイトへのアクセスは減る? 増える?

 一部では、Webサイトへの訪問が減るなど情報源としてのWebサイトの運営に影響を及ぼす可能性が指摘されているが、グーグルで検索サービスを担当するヘマ・ブダラージュ バイスプレジデントは「(そのような指摘は)かなりの部分が不正確な情報に基づいている。サードパーティのソースは信頼性が低い場合もあり、ユーザーの嗜好の変化などいろいろな理由があり得る」と見解を示している。

 同氏はさらに「Webで何を見つけられるかは重要。単に答えを出すだけではなく、掘り下げたい人にはリンクも示している。グーグルから(Webサイトへの)総トラフィックは減っておらず、効率の良いクリックが増えている。AIモードによる新しいエクスペリエンスでAIを活用した回答に加えて、さらにWebの情報とつながることができる」と主張した。

 コンテンツの提供者に対しては、AIモードにコンテンツを検索させない選択肢が用意される。米国では、検索結果の下に広告表示するテストが進んでいるが、最終的にどのような形になるかは、複数のテストを通じて検討される。

 AIモードは、自らの作業の品質をチェックして信頼できるかどうかを検証しており、今後もテストを続けて改善を続けていくとしている。