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「数年後に2ケタ%普及目指す」、Snapdragon搭載PC普及にクアルコムが本腰

 クアルコムがパソコン市場への攻勢を強化する。クアルコム PC Business 統括本部長の井田晶也氏は現在、数%にとどまるSnapdragon搭載パソコンのシェアを2ケタ%まで引き上げると目標を示した。

パソコン向けにも「Snapdragon」展開

 クアルコムは、スマートフォンなどモバイル向けのチップセット「Snapdragon」で知られるが、パソコン向けチップセットも同じくSnapdragonブランドで市場に提供している。

 2023年にはハイエンドの「Snapdragon X Elite」が、2024年にはその下位モデルとなる「Snapdragon X Plus」が発表され、1月にはさらに廉価な「Snapdragon X」が発表されている。これまでに60のSnapdragon搭載製品が発表されており今後、日本とグローバル含めて85製品が登場する予定という。

クアルコム 井田晶也氏

 Snapdragonは「Arm」アーキテクチャーを採用する。現在、パソコン市場の大多数を占める「x86-64」アーキテクチャーとは異なり、使用時はバッテリー駆動が基本でケーブルを接続するのは充電時のみという運用を可能にしている。モバイル端末にルーツを持つ強みをアピールするクアルコム PC Business 統括本部長の井田晶也氏は「性能とバッテリーのどちらかを犠牲にする必要がない」と高性能さと省電力性を強調した。

 Arm版Windowsでユーザーが不安視するのは、これまで使っていたアプリケーションが動作するかどうかだが、井田氏によれば、グローバルでは多くのアプリケーションがすでに対応している。アプリ対応の成長率は300%、93%のユーザーがネイティブ環境で利用していると説明。日本ローカルのアプリケーションは、対応が遅れているとしつつも、提供元と協力して対応に向けて動いているという。

認知度向上が課題

 一方で、実態以上に、Arm版Windowsのアプリケーションの互換性に問題があるというイメージが先行していることを反省点とする井田氏。

 アプリの対応状況を具体的に知ってもらう機会が少なかったとして、第三者のWebサイトを通じて、アプリの対応状況がリアルタイムにわかる仕組みづくりに向けて動く。ほかに、量販店の売り場で、QRコードを掲示して読み込むことでアプリの対応状況を確認する取り組みが視野に入れられている。

 日本における、Snapdragon搭載パソコンの市場シェアは数%。井田氏は「数年後に2ケタ%にしていきたい」と目標を話す。2025年~2026年にかけて、コロナ禍で導入されたデバイスの更新や、Windows 10のサポート終了などパソコン買い替え需要の増加が見込まれる。

 そうした動向を踏まえて、コンシューマー市場や教育市場、法人市場を中心にマーケティングを展開する。井田氏は特に、パソコン市場における「Snapdragonの認知度の低さ」を課題としてとらえ、特にコンシューマー市場を優先して、認知度向上を図り、教育や法人需要にもつなげる。同社では「PC REBORN」というワードを掲げている。

 クアルコムのパソコン向けのチップセットは2年に1度、新製品を発表するというサイクルをとっている。最上位モデルのSnapdragon X Eliteは2023年に発表された。2025年の「Snapdragon Summit」で新型が発表されれば、市場拡大の追い風になりそうだ。