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企業の熱中症対策にNTTPCの「みまもりがじゅ丸」、ソニー製ウェアラブルで異常を検知

 企業の熱中症対策として、NTTPCコミュニケーションズの「みまもりがじゅ丸」が人気を集めている。単体でモバイル通信につながる腕時計型デバイスで、熱中症から従業員を守るサービスだ。

企業向け熱中症対策「みまもりがじゅ丸」

 「みまもりがじゅ丸」は、ウェアラブルデバイスで心拍数などのデータをモニタリングして、熱中症や業務中における事故を防ぐサービス。いくつかのプランが提供されており、そのうちひとつはソニーネットワークコミュニケーションズのウェアラブルデバイスと通信などがセットのソリューション「mSafety」を利用したプランとなる。

 デバイスを装着した従業員の脈拍や位置情報をリアルタイムに管理者が把握でき、しきい値を超えると管理者に通知される。「mSafety」は、スマートフォンなどと連携する必要がなく、単体でLTE-Mによる通信に対応する。

管理者向け画面(写真提供:ソニーネットワークコミュニケーションズ)
脈拍がしきい値を超えたためアラートが出ている
装着者の位置情報もわかる

 mSafetyを利用するプランのみの機能としては、装着者の転倒検知や本体を操作してのSOS発信、簡易的なテキストメッセージの送受信がある。サービス名は植物の「ガジュマル」に由来し「健康」という花言葉を持つことからサービス名に採用された。

タッチパネルはなく、側面のボタンで操作する

 NTTPCコミュニケーションズ サービスクリエーション本部 第二サービスクリエーション部の茂野健太郎氏は「キャンペーンの効果もあり、mSafetyのプランがかなり伸びている」と話す。みまもりがじゅ丸は、現時点で昨年比の倍以上の問い合わせがあり、売上も倍近くで推移しているといい「これからさらに増えていく可能性もある」と見通しを示した。

ウェアラブル端末がもたらす熱中症対策へのメリット

 みまもりがじゅ丸に採用された「mSafety」は、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供する法人向けソリューション。ヘルスケアや見守りサービスを展開する事業者が増加するなかで「市販デバイスではサービスに組み込みにくい」という声に応えた。スマートフォンとの連携設定などは必要なく、デバイスの取り扱いが容易などのメリットがある。

 デバイスと管理用のクラウドソリューションがセットで提供される仕組み。パートナーのサービスと連携するもので「ウェアラブル・アズ・ア・サービス」と位置づける。NTTPCの「みまもりがじゅ丸」で利用できる転倒検知やSOS発信、テキストメッセージ送受信はmSafetyが備える機能となる。

 今月6月から施行された改正労働安全衛生規則では、熱中症の予防・重篤化を防ぐことを目的に、事業者に対して一定の環境で「体制整備」「手順作成」に加えて実際の作業従事者など「関係者への周知」が求められる。

 こうしたなかで厚生労働省は、熱中症対策の一環としてウェアラブルデバイスの活用を後押し。心拍数など、目に見えにくい異常を早期に把握でき、ひとりの作業時に体調が悪化しても気づかれないリスクを低減できる。mSafetyも、そうした対策に用いることができるソリューションのひとつ。

 違う方面では、熱中症対策以外にも高齢者の見守りや海難事故の救助などにも活用されている。ソニーネットワークコミュニケーションズ 事業開発部門 事業開発部 事業探索課の細萱祐人氏は「健康経営の面でストレスの可視化、臨床試験への活用も」と展望を示した。