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mineoがドコモ回線を追加した意図とは
新事業戦略発表会で藤野社長が解説
(2015/5/26 20:31)
ケイ・オプティコムは、MVNOサービス「mineo」に関して、5月26日に都内で記者向けに「mineo 2015年度 新事業戦略発表会」を開催した。発表された内容はニュース記事として掲載している。本稿では、プレゼンテーションと質疑応答で明らかにされた同社の意図や戦略の内容を、お届けする。
ケイ・オプティコム 代表取締役社長の藤野隆雄氏は、プレゼンテーションにおいて、まずは足元の状況として、サービス開始から1年で加入者数が約7万件になったことをグラフで示した。年齢層は30~40代で変化はないものの、現在は女性が19%と増加している様子も指摘。さらに、音声通話に対応した「デュアルタイプ」がシングルタイプの契約数を逆転し、デュアルタイプではMNPの転入が過半数を占めるなど、メインの回線・端末として使うユーザーが増加していることを示した。
藤野氏は、新たなチャレンジとして、ドコモ回線を提供するマルチキャリアMVNOを掲げる。ここで、業界の大きな話題として「SIMのロック解除の義務化」を示し、前向きな第一歩、と評価するものの、SIMロック解除の義務化に伴うMNOの施策や、実効性への疑問、メリットの見えにくさがあると指摘。加えて、実際の通信方式の違いから、通信回線にはドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアの間に壁があるとし、「この現状を改善し、分かりやすいサービスにするため、マルチキャリアサービスにチャレンジする」とした。
また、将来的な構想として、1枚のSIMカードで、SIMカードを入れ替えることなく、複数のキャリアから自動的に最適な通信網を選択するサービスを構想していることも明らかにし、「できるだけ早期に実現したいと考えている」と語られた。
ただし、この構想はすぐに実現できるものではなく、「加入者の属性を管理するサーバーの解放が進んでいない。ドコモ、au、ソフトバンクとの(解放の)交渉はこれから。交渉次第でいつごろ提供できるかが分かる。今の段階ではまだ目処はたっていない。できるだけ早期に解放にこぎつけ、サービスを提供したい」とし、MNOや業界で取り組んでいく仕組みであるとした。囲み取材でもこの件の実現可能性について問われたが、「(欧州など)海外では実現できており、日本ではまだ(設備が)解放されていない。海外の事例を持ちだして、監督官庁の協力も仰いだ上で、取り組んでいく」(藤野氏)と回答している。
質疑応答で明らかにされた背景
新サービス体系での料金については、接続料(卸価格)に違いはあるものの、現在検討中としており、接続料だけではない、戦略的な意図で決定されるとしている。
ソフトバンク回線の提供の可能性については、「当面はドコモとauの2社のマルチキャリア。いずれ時期を見てソフトバンク回線を追加するか考えていく」(藤野氏)とした。
VoLTEへの対応については、時期は未定ながら、対応する方針。ドコモの回線についても、VoLTEへの対応を見込んでいる。
なお現在、auのVoLTE対応端末がmineoのサービスに非対応となっているが、こちらは今後、実現可能な内容として、対応される見込み。
現在は非対応となっている、mineo(のau回線)におけるiOS 8への対応については、現在も原因を究明中とするにとどまった。一方、ドコモ回線ではiOS 8を利用できるようになる見込みとし、「マルチキャリアになれば、この問題はかなり低減される」(藤野氏)との見方を示している。
mineoでは、初年度の加入者数の目標を10万件としており、実績が7万件だったことへの評価が問われた。藤野氏は、「結果的に、競合他社の参入が相次いだこと、iOS 8とiPhone 6が使えなかったことの問題が尾を引き、7万件になった」と分析した。
その加入者数の目標については、今後1年間で20万件の増加を見込むとし、1年後に累計で加入者数27万件が目標とされた。