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フリービットのMVNOサービス、契約数は129%増~第3四半期決算

「2016年末までに100万契約」の根拠とは

 フリービットは13日、2014年度第3四半期(2014年5月1日~2015年1月31日)の業績を発表した。同社が展開するMVNO事業とMVNE事業の契約数の傾向が明らかにされた。フリービット全体の業績としては、前年と比べて増収減益となったが、通期予想は増収増益であり、計画を達成する見通しとしている。

 MVNO事業については、フリービットの事業のうち“BBインフラ”というセグメントに分類される(端末開発費用は別セグメント)。このBBインフラ事業では戸建て向け固定回線が減少傾向にある一方で、MVNOおよびマンション向けISP事業では成長傾向にある。MVNOについては、前年同期と比べて、そのアカウント数が129%増と倍以上に成長した。

 また、他社がMVNOとして展開できるよう支援するMVNE事業でも導入企業が増加。既にU-mobileやヤマダ電機などのほか、最近では東芝がコープこうべ向けに構築したソリューションでも利用された。このMVNE事業(MVNO Pack)の利用者数は、前期(2014年度第2四半期)と比べて約1.6倍に成長した。

CCCと組んだ理由

 フリービットでは2月、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と戦略的資本業務提携を発表。この3月から、MVNO事業を担っていた子会社のフリービットモバイルは、トーンモバイルと名称を変更。資本構成も、CCCが51%、フリービットが49%となり、CCCが主導的な立場となった。2月の発表会で明らかにされたように、これはフリービット側がブランド力、マーケティング力に欠けていると認識した上での形態だ。

 今回の決算会見で説明を行った代表取締役社長の田中 伸明氏は、事業の今後の展開を見ると、より多額の資金が必要になると説明。これまで単独での事業では、フリービットモバイルとして4店舗を展開しており、1店舗あたり3000万円ほどの費用がかかっていた。また広告も自前で展開する必要があり、そこにも資金の投入が求められる。一方、CCCは全国にTSUTAYAを展開しており、その一部店舗で商品を扱うことで、店舗にかかる費用が今後、抑えられるようになり、TSUTAYA自身のブランド力を活用できる、とその魅力をあらためてアピールする。

300×172×……で100万台

 モバイル事業では、2016年末までに100万契約の達成を目指すとしているが、「(TSUTAYAの)函館にある店舗で宣伝もなく、唐突にフリービットモバイルの商品の販売を実施したところ、月間172台売れた。これが重要なヒントだ」と田中氏。

 100万台という目標の前では、172台はごくわずかな販売数に見える。しかしTSUTAYAの店舗はフランチャイズをあわせて全国に約1400カ所。全店ではなく、300店舗での取り扱いが予定されており、2016年末までの約20カ月間があれば「172台×300店舗×20カ月」で100万台を超える――これがフリービットの目算だ。

 一方、端末の性能が他社に見劣りするのではないか、と質問が挙がったが、田中氏は「現時点で決定していることはない。トーンモバイルの戦略に関わるため控える」と明言を避けつつも、「お金を払えば(高性能な端末を開発、調達するなど)何でもできる。料金とコストとのバランスになる」とも語り、ある程度、購入しやすい価格帯を重視する姿勢を示唆した。

関口 聖