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フリービットとCCC、戦略的提携について説明

トーンモバイルの詳細は4~5月に発表

 フリービットとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、18日に発表した両社の戦略的業務・資本提携についての説明会を開催した。結果的に、フリービットモバイルから社名を変更し合弁会社となる「トーンモバイル」の具体的な取り組みや、CCC側での取り組みは今後発表するとし、具体的な言及はなかったが、提携に至る経緯などが解説された。

 説明会にはフリービット 代表取締役会長でトーンモバイル 代表取締役社長に就任予定の石田宏樹氏と、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏が登壇した。

トーンモバイル 代表取締役社長に就任予定の石田宏樹氏(左)と、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏(右)

CCCの企画力が合流、トーンモバイルは「もう一度創業」

 石田氏は、フリービットモバイルで100万人のユーザーを獲得するという目標を掲げており、これを実現するために「freebit mobile」のフランチャイズ展開、パートナー展開をすでに行ってきたことを説明。すでに実施しているフランチャイズ展開についてはCCCとも接触があったという。

 石田氏は、「freebit mobile」のこれまでの展開で課題として分かったのは、ブランディング、マーケティング、販売能力といった面であるとし、「フランチャイズ展開で一番なりたいなというケーススタディがCCCだった。今回、CCCと企画していけることは喜びに堪えない」と、力強い展開になることに期待を語った。

フリービット 代表取締役会長でトーンモバイル 代表取締役社長に就任予定の石田宏樹氏
主に企画の面でCCCが展開していく

 フリービットモバイルの事業展開は、すでに本誌でも何度もニュース記事で紹介しているように、垂直統合型の端末・サービス開発のみならず、店舗展開も加速させている最中。そうした中で、100万件という契約数の目標を達成するためには、現在の店舗を300店舗にまで拡大しなければいけないという計算になったという。

 一方で、販売のポイントをさまざまに探るなかで、CCCが展開する新業態の店舗「蔦屋書店」の函館店で、実験的に期間限定で「freebit mobile」を販売したところ、30日間に換算すると172台に相当するペースで売れたという。こうしたことなどもあり、モバイル事業を本格化させたいCCC側から声がかかり、今回の戦略的な資本・業務提携に至ったとしている。

 石田氏は、親会社にあたるフリービットの社長を退いてフリービットの会長になり、合弁会社となったトーンモバイルの社長に就任する。この異動はCCC側からの要望ではなく、石田氏が自ら決めたとのこと。石田氏は「ひと言で言うと、覚悟。中途半端なことはしたくない。モバイル革命は本物だと思っている。私は器用ではないので、シンプルにしないといけない。もう一度創業するように、モバイルを徹底的にやる。CCCから求められたわけではなく、自ら思って決めた」と意気込みも語っている。

 今後は、CCCが「freebit mobile」のフランチャイズ展開を担うほか、ブランディン、マーケティング、販売の面で新たな企画を起こしていく。トーンモバイルは垂直統合型の同社のメリットを活かした技術・商品開発を行っていく。

100万件に必要な店舗数は300店舗とした
フランチャイズ、パートナープログラムなどすでにさまざまな販売施策を展開している
函館 蔦屋書店で実験的に行われた取り組み
「知名度ゼロ」(石田氏)の状態で「freebit mobile」を販売
口コミなどで広がり、30日間に換算すると172台に相当するペースで売れたという
戦略的業務・資本提携の内容

「蔦屋書店」の家電版「蔦屋家電」を東京・二子玉川にオープン

 カルチュア・コンビニエンス・クラブの創業者で、代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏からは、「TSUTAYA」やTポイントをはじめとする事業や、新店舗「蔦屋書店」の取り組みなどが語られた。

カルチュア・コンビニエンス・クラブの創業者で、代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏

 この中でトーンモバイルの展開と重なってくるのは、CCCが東京・世田谷区の二子玉川駅周辺の再開発地区に出店を計画している店舗「蔦屋家電」だ。

 東京・代官山にオープンし成功を収めている「蔦屋書店」は、本のサイズや出版形態ではなく、「旅行」「料理」など興味の分野で棚を作った上で、雑誌や書籍、文庫などの形態に捕われず、横断的に紹介しているのが特徴。こうした「本の提案力」を起点にした「生活提案」の取り組みを、家電販売に応用するのが新店舗「蔦屋家電」という。

 売り場の内容は具体的にはまだ検討している最中というものの、「本と家電がシームレスにつながり、店というより家というコンセプト。新しいテクノロジーが、新しい生活を提案できるという方向性」と概要を語る。

 増田氏は、最新のテクノロジーを扱う意味で、「蔦屋家電」を「家電万博」と表現。また、アンティーク家電を扱う「家電博物館」、デザイン家電がある「家電美術館」といった側面もあるとし、「家電に関心がある人がここに来ざるを得ない家電店」と紹介した。

 一方で、同社が「TSUTAYA」などで取り組んできたCDレンタルサービスなどは、現在はパソコンなどに取り込んでスマートフォンで聞かれていると指摘。「核になるのはスマートフォン。スマートフォンを核に、石田さんがやろうとしているものを、CCCの加盟店舗がやりたいといえるようなパッケージにしたい。過去作ってきた知的資本の類を石田さんに全部任せて、新しい、手に持てる、“手のひらツタヤ”のようなものを加盟企業といっしょに全国で展開したい」と語った。

CCCの取り組み
「蔦屋家電」について

「蔦屋家電」のオープン時にサービスを発表

 石田氏からは、トーンモバイルとしての新しい取り組みの発表は、「蔦屋家電」のオープンに合わせるとし、4~5月になる見込みとした。また、「どういうカテゴリーで展開するのかも(同じタイミングで)発表する」とし、トーンモバイルが考えるターゲット層に絞り込んだ、新たな展開になる見込み。

 なお、コンシューマー向けのMVNO「freebit mobile」はサービスを継続するが、サービス名称などは順次トーンモバイルが提供する新サービスに準ずる形に変更される方針としている。石田氏は、「規模も大きくなり、既存ユーザーにとってもサービスはよくなると思う」としている。

 石田氏からは最後に、トーンモバイルの社名の由来について触れられた。CCCが展開している事業を「Tの世界」とした上で、フリービットが展開してきた事業はシンプルな「One」という概念に基づいたものとし、「T+One」で「Tone(トーン)」になっているとした。

フリービット本体への影響について
二子玉川駅近くの「蔦屋家電」が入るテナントの外観イメージ。1~2階が蔦屋家電、3~4階は映画館になる
「T+One」でToneとした

太田 亮三