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超々ジュラルミン削り出し、重さ17gで価格5万円のiPhoneバンパー
高付加価値で「人と違うiPhone」をアピール
(2014/5/29 14:16)
DAQは、4つの金属パーツを組み合わせた、iPhone向けの超々ジュラルミン製バンパー「SQUAIR Duralumin Bumper Quattro for iPhone 5s/5」を発表した。価格は5万円(税抜)で、29日16時により同社Webサイトで発売される。ブラック、ゴールド、シルバーの3色、用意される。
側面にディンプル加工が施され、ホールド感を高めた仕上がり。超々ジュラルミンA7075の塊から削り出しており、最薄部は0.23mmと極めて薄くなりつつ、剛性と軽さを保ち、重さは17g。1つ制作するのに2時間かかる。基本的にネット通販で提供されるが、東京ミッドタウン内の一部店舗、全国のバーニーズ ニューヨークで今後、展示される。
自動車の内装向け成型技術がベース
金属ケースはこれまで固定するためネジ止めが一般的だった。その分、工具が必要で手間だったり、ネジのゆるみ、紛失といったトラブルに見舞われることもあった。海外ではSIMカードの交換に関する要望があり、ネジ止めが煩雑と受け止められていたという。今回はITOIGAWA(いといがわ)ラッチという構造を採用。金属を組み合わせたこの構造は、バンパー以外への応用も期待されており特許出願中とのこと。カチっとはめて利用するが慣れるまで取り外しできるようリムーバーが同梱される。
その名称は、岐阜県関市で活動する糸井川敏行氏(株式会社ナカダクラフト取締役工場長)が発明したことに由来する。糸井川氏は普段、自動車の内装部品の成形用金型の設計、治具の開発などに携わる。計器類が並ぶ、いわゆるインパネ周辺は、ドライバーからするとシンプルな形状に仕上げられた樹脂製の部品だが、その裏にはさまざまなパーツを支えている。裏側は複雑な形状となるインパネ部は一体成型されており、そうした成型を実現するための金型を作る、という技術が、今回のITOIGAWAラッチにも活かされた。
「iPhoneより上の選択肢がない」「尖った製品」
iPhoneを保護するだけのケースやバンパーに高額な製品を用意するのはなぜか。DAQ代表取締役の後藤鉄兵氏は、多くの人が手にする「iPhone」だからこそ、他のユーザーとの違いを示す、個性を示すアイテムとしての役割が求められていると指摘する。
「iPhoneは登場して7年経ったが売れすぎている。しかし“ハイエンドiPhone”のような、iPhoneより上の選択肢がない。そうなると、私のiPhoneとあなたのiPhoneを差別化したい、ということが起き始める」
「10万円のケースを5月8日に発表し、そうしたケースを保護するケースが必要では? と言われることもあるが、誤解を恐れずに言えば、そうした方は僕たちのお客さまではないと思っている。腕時計ならは10万円、20万円のものを購入する人がいる。(iPhoneケースに)そうした価値を見出せる方がいる。むしろ、そうした文化を作り上げたい。」
こうした状況を時計と同じ、と指摘した後藤氏は「もともとアップル製品はマイノリティだったが、iPhoneで世界一となって多数派となった。アップルはもう、マスに対する商品しか作れない。でも小規模な企業の僕たちは違う。個性的な国である日本に生まれ育ち、個性的な製品を作る。日本こそ少数派に訴えかける製品を提供できるのではないか。iPhoneアクセサリー市場は2兆円規模とも言われるが、そこに出回る製品はほとんど海外で製造されている。非常に悔しい。僕らはアップルにできない(今回の製品のような)尖った商品を提供し続けたい」と国産、かつこだわりの技術を追求していく姿勢を説明した。