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IIJの24年度は増収増益、値下げのIIJmioに谷脇社長「手応え感じた」
2025年5月13日 19:04
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2024年度の決算を発表した。売上は3168億3000万円で前年比14.8%増、利益は301億円で前年比3.7%増の増収増益で着地した。2025年度は、大型ネットワーク案件の継続などを背景に、引き続き増収増益を見込む。
IIJmioは好調、値下げしたプランに谷脇社長「春商戦で手応え感じた」
ネットワークサービスは、法人モバイル回線数の増加やIoT関連の案件が好調だったことから順調な成長をみせた。
個人向けインターネットサービスの売上高は268億3000万円で前年比6.1%増。IIJmio単体での売上は、234億4000万円で前年比6.7%増だった。IIJ 取締役 CFO 副社長執行役員の渡井昭久氏は、IIJmioやほかのMVNO事業者へ回線を提供するMVNE事業については「タイトなマーケット環境だが存在感を発揮して契約数が少しずつ増加している」と評価した。
IIJは、個人向け料金プラン「ギガプラン」を3月に改定。値下げや通信容量を増やした。IIJ 代表取締役 社長執行役員の谷脇康彦氏は、これについて「大容量プランの魅力向上」と「主力である2GB・5GBプランのテコ入れがポイント」と説明。新規ユーザーは5GBの契約が全体の半数を占めているという。
NTTドコモとKDDIが相次いで主力の携帯電話料金プランを改定し、値上げした。値下げトレンドが続いていた携帯電話料金プランに変化をもたらす兆しが出ている。コスト増など経営を取り巻く環境は各社共通の課題だが、谷脇氏は、10~35GBの中容量帯も支持が増えているとして「春商戦は手応えを感じている。他社の動向もあるが、我々は今回のプラン改定を基礎に引き続き販売を進める」と、ギガプランは現状で継続する旨を説明した。
谷脇氏は、IIJmioについて「一般のユーザーと接点をもつ貴重なサービス」との認識を示す。また、今後のIIJmioのあり方についてもこう話した。
谷脇氏
「MNO(大手携帯会社)だけでは競争が生まれないなか、MVNOによりサービスの多様化・料金低廉化につながる。IIJとしてもサービスの多様化に力を入れていきたい」。
必ずしもIIJ単体ではなく、MVNEとしてほかの事業者に参入してもらうことで、活性化を図る。既存の例として「BIC SIM」があるほか、谷脇氏は「JALモバイル」も挙げた。
このほか、スマートフォンと衛星の直接通信について、現時点では「サービス内容が限定的」としつつも今後、その比重は高まる可能性があるとの予見も示し「IIJとして衛星分野を含めたモバイル通信をどう拡張していくかは、大きな注意を持って見ていきたい」とした。
25年度は増収増益見込む
2025年度の営業計画としては、通期での売上高3400億円(24年度比7.3%増)、同じく営業利益は365億円(24年度比21.2%増)を見込む。
渡井氏は、2024年度の成長を牽引した大型ネットワーク案件が引き続き力強いとしたほか、ITインフラのアウトソーシングがトレンドになっているとして、来期の成長ドライバーとして期待を寄せた。また、営業体制を見直したことで、戦略的な取り組みを始めると、2025年度の目標達成に意欲を示した。
米国の関税政策は直接の影響はないとみるが、同社の顧客企業には影響することからそれによりIT需要が減退するのか、コスト削減の一環としてデジタル化需要が高まるのかを注視していくとした。
また、再編が進むNTTグループについての受け止めを質疑で問われた谷脇氏は「IIJの社長としては、特段コメントはない」とコメントする。代表取締役会長執行役員の鈴木幸一氏は、その動向について「よくわからない」と疑問を呈しながら「(NTTが持つ)インフラの公平性は維持してほしい」と語った。
IIJセキュアMXサービス、情報漏洩の再発防止策を発表
冒頭、谷脇氏は4月に発表された同社の「IIJセキュアMXサービス」の情報漏洩の経緯とその対応について説明した。
IIJセキュアMXサービスは、メールサーバーやセキュリティのアウトソーシングサービス。調査の結果、586契約、31万1288件のメールアカウントで情報漏洩が確認された。原因は、同サービスで利用されていた他社製のソフトウェアの未知の脆弱性で、すでに修正されている。一般的なツールを用いて情報の詐取を試みるという、検知が難しい攻撃手法だったという。
同社では今後、再発防止に向けて振る舞い検知の強化やWebアプリケーションファイアウォールの多層化に向けた検討を軸として、複数の追加対策を行う。谷脇氏は「ご利用いただいている多くのお客様にご迷惑をおかけした」と謝罪した。





















