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ソフトバンク子会社「ジェナックス」、企業向け生成AIサービス「X-Boost」を発表
2025年1月23日 19:41
ソフトバンクの子会社であるGen-AX(ジェナックス)は、企業向け生成AIサービス「X-Boost(クロスブースト)」の提供を開始した。主にコンタクトセンターやバックオフィス部門における、照会応答業務の効率化を支援するサービス。
ジェナックスは、生成AIを活用したSaaSプロダクトの開発・提供とコンサルティング事業を通じて、企業のAX(AIトランスフォーメーション)を支援することを目的に、2024年7月に事業を開始したソフトバンクの100%子会社。
「X-Boost」は、コンタクトセンターやバックオフィスなど問い合わせ対応を担う部署における、さまざまな照会応答業務を支援する生成AIサービス。オペレーターが問い合わせ内容を入力すると、マニュアルやFAQなどの社内データからナレッジを検索し、回答案を自動生成して画面に表示する。
AIエージェント時代を見据えた効率化
同社は、数年以内にAIエージェントが日常的に普及すると予想。その際、コールセンターや店頭で対応する企業AIエージェントが必要となるが、ツール導入だけですぐに実現するものではない。そこで同社は、カスタマーサポート業務の効率化に着目した。
企業にはカスタマーサポートだけでなく、営業や代理店からの相談など社内問い合わせも多く存在する。しかし近年は、サービス多様化による業務負荷の増大や、オペレーター不足による応対品質のばらつきなど、業務効率化と応対品質の両立が課題となっている。そこで同社は第1弾として、照会応答業務を支援する生成AI SaaS「X-Boost」をリリースした。
3つの特徴「直感的なUI/UX」「効率的な運用」「安心安全のセキュリティ」
ジェナックスのプロダクトマネージャー永野玲氏は、「X-Boost」の特徴として「直感的なUI/UX」「効率的な運用」「安心安全のセキュリティ」の3点を挙げた。
システムの入れ替えは、教育や新システムへの慣れに時間がかかるため、導入に抵抗がある場合が多くある。そこで「X-Boost」は、直感的に使えるように実装されており、利用開始後の効率化だけでなく、利用開始時から効果を実感できるようになっているという。
新規照会登録画面では、左から順に処理を進めることで回答にたどり着けるとして、デモを実施。使いやすいUI/UXに加え、社内に蓄積されたナレッジを活用して回答水準を統一し、検索や回答文章作成の時間を削減すると説明した。
また、AIモデルやデータの効率的な運用も重要だとし、昨今の生成AI活用における課題として「AI運用人材・ノウハウ不足」があり、導入が進まないことが多いと言われている点を挙げた。そこで「X-Boost」は、非エンジニアでも簡単に運用を開始できる仕組みを取り入れたと説明した。
FAQや問い合わせ履歴などのデータを取り込む際、「X-Boost」が自動でデータを整理・処理する。さらに利用ログを活用することで、継続的に学習データ作成の負担を軽減しながら、業務の実態に即した精度向上ができる。利用ログの蓄積には、多くの利用が重要となるため、直感的なUI/UXが重要になると説明した。
セキュリティに関して、「X-Boost」はマイクロソフト「Azure」の国内サーバーでデータを管理し、ユーザーが入力したデータは汎用AIモデルの学習や他社への公開には一切使用しないと明言。安心して業務に活用できる環境を提供するとしている。
2025年度中のコールセンター自動化から領域を拡大
ソフトバンク専務執行役員 法人副統括であり、ジェナックス取締役COOの藤長国浩氏は、販売戦略としてソフトバンクグループと連携し、圧倒的なスピードでAXを支援していくと述べた。具体的には、年商1000億円以上の大企業で、金融、小売、製造業をはじめとする7業界に特化して提案を行い、成功事例を作った上で各業界へ横展開していく方針を示した。
またジェナックスは、第2弾として2025年度中にAIによる自動音声対応サービスをリリース予定であることを明らかにした。「X-Boost」でAIを自社向けに育成し、それをもとに音声などの機能を追加することで、より高度な業務を可能にするという継続的な進化が重要であると語り、基本的にはコミュニケーション領域から事業を展開していくという大きな方向性を示した。このような展開を通して、2027年にはカスタマー接点のAI化をソフトバンクグループ全体でリードしていきたいと考えている。