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ソフトバンクG後藤氏、乱高下する金融市場に「あらゆる環境変化に適用できる」と財務健全をアピール

 ソフトバンクグループは7日、2025年3月期第1四半期決算を発表した。

 連結売上高は1兆7017億4700万円、四半期利益は104億6500万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は-1742億8100万円となった。

市場に左右されない財務健全性をアピール

取締役 CFO 兼 CISOの後藤芳光氏

 取締役 CFO 兼 CISOの後藤芳光氏は、はじめに、乱高下する金融市場に触れ「ブラックマンデーがあった1987年に大学を卒業し、当時の安田信託銀行にお世話になった。ブラックマンデーを体感した生き証人みたいなものだ」とした上で、「その頃からマーケットの仕組みや取引される商品、決済のスピードやボリュームは強烈に進化している。下げ幅の数字だけを見てびっくりしてもいけないと個人的に思っている」と指摘。

 同社には、豊富なアセットを持ったビジネスモデルだとし、AIなどの技術力やアイデアを持つ企業群を取り込み、育てていくことや、これらの投資を回収する「アクセルとブレーキ」を、「私たち経営者の手で完全にコントロールできるビジネスモデルだ」とし、あらゆる環境変化に適用できるビジネスモデルだと後藤氏は語る。

 今回の決算には昨今の市場動向は反映されていないが、時価純資産(ネットアセットバリュー、NAV)は市場により増減があるとした一方、株式価値に対する純負債の割合(ライフタイムバリュー)は10%前後を維持しており「極めて安全なレベル」(後藤氏)とする。

 また、今回の決算で純損失1743億円となっているが、「投資利益は5597億円。ネットアセットバリューは過去最高値を更新している」とする後藤氏。AI投資戦略を引き続き推進するとともに、堅調な業績だというアーム(Arm)、ソフトバンクビジョンファンド(SVF)とともにポジティブだと説明した。

 アームの四半期売上高は、9億3900万ドル(約1382億9000万円)と引き続き過去最高を更新している。営業利益も前年同期比65%増としており、マイクロソフト(Microsoft)のパソコンへのアームチップ搭載など、AI時代に向けて長期的な成長を続けるとしている。

 投資リスクに関しては、「4年前(2020年)はアリババを中心として中国への投資が過半だった。現在はアームを中心として欧州を中心としたエリアが60%」と中国集中リスクの緩和を実施。流動性の観点からも「全く問題が無い」とし、代表取締役会長兼社長の孫正義氏が宣言する「ASI実現」に向けて、グループの総力を挙げて取り組んで行くとあらためて宣言した。

 足下では、AI関連への投資を継続して進めていく。AIや機械学習など技術面での投資(Graphcoreの子会社化など)に加え、アメリカなどでの再生可能エネルギーへのビジネス展開(SB Energy Global)、日本国内でのAI計算基盤となるデータセンターの構築など、ソフトとハードの両面で取り組みを進める。

 あわせて、医療の領域への投資も進めており、AIと医療をかけ合わせたサービス(TEMPUS)などを展開するとした。

格付けと自己株式取得

 格付けについて、S&Pは安定的を示す「BB+」、JCRも「A」に格上げされた。「財務ポリシーを鉄板のトッププライオリティとして守りながらさまざまな戦略を定めていく」とし、今後の財務健全性をアピール。

 また、5000億円の自社株買いを2024年8月8日~2025年8月7日の1年間で実施することが発表された。