ニュース

「dポイントクラブ」10月改定へ、ドコモのキーパーソンが語ったコンセプトは

 NTTドコモは15日、ポイントプログラム「dポイントクラブ」を10月から順次改定することを発表した。

 同日の説明会には、スマートライフカンパニー コンシューママーケティング部 部長の伊藤邦宏氏が登壇し、dポイントの現状や改定のコンセプトなどについて語った。

 質疑には、伊藤氏に加えて、営業本部 営業戦略部 部長の山本明宏氏も応じた。

左:伊藤氏、右:山本氏

dポイントの現状と、プログラム改定のコンセプト

 dポイントクラブの会員数は1億会員以上となった。また、2024年3月末時点でd払いのユーザー数は約5970万、dカードの契約数は約1775万となっている。

 dポイントを利用できる場所は536万カ所となり、dポイントの加盟店の店舗数は約11万店舗にのぼる。

 現在の会員プログラムは2022年6月に始まったもの。ユーザーからは「決済でもポイントを貯めたい」といった声があり、10月からdポイントプログラムを改定する。

 改定コンセプトは「もっとかんたんに」「いつでもおトクに」のふたつ。

 ランクアップ基準や「ポイント倍率アップ特典」が変更されるほか、「d払い特典」「料金充当特典」が新設される。また、「長期利用ありがとう特典」の提供が終了する。詳細は本誌別記事で紹介している。

質疑応答

――変更前と変更後を比べると、dポイント単体で貯めると倍率が少し下がる。ポイントの割合を調整することで、d払いの利用をもっと促進したいのか。

伊藤氏
 ご指摘の通り、加盟店におけるポイント付与の倍率は、上位ランクの方ほど下がっているというかたちです。

 その中で「d払い特典」ということで、新たな特典を加えました。

 上位ランクの方(の倍率)を今回改定しているのですが、その方々は決済を多く使っていただいていることが多くて。d払いの利用も特に多いので、そこに合わせて最大4%(の付与)を提供させていただくことのほうが、喜んでいただけるのではと思いました。

――この変更によって、総発行ポイントは増えるのか、減るのか。

伊藤氏
 具体的な金額やポイント数はお答えできません。ですが、昨年度に比べて今年度のほうが、これ(改定)によってポイントの発行数、総数では上がってくると思っています。

――ライトユーザーにとっては2つ星に上がるハードルが下がっただけで、「d払い特典」などは蚊帳の外だと思うが。

伊藤氏
 特にdポイントのユーザーの方々について、「最初に使い出す」ということにおいては、ポイントの加盟店さまや、ポイントをお得に使っていただくというところから、実はユーザー数が非常に増えています。

 ポイントを最初にお店で使うところのハードルを下げることが重要だと考え、ハードルを下げました。日頃のお買い物だけで2つ星ランクに上がるということを重要視しています。

 ですから、ヘビー(ユーザー)の方の「d払い特典」とは違った意味合いで、お得を理解していただきたいということです。

――であれば、「簡単に2つ星に上がる」というプロモーションをするべきなのでは。「最大4%」は5つ星の人だけで、施策とプロモーションが合っていない気がする。

伊藤氏
 今回は例示で、4%というかたちでお出ししています。実際は、気軽にランクが上がるというところも、日頃の接点やいろいろなマーケティングの中ではPRしていきたいと考えています。

 これ(4%)は一例でしかないと思っていますので、その点の誤解がないよう、ユーザーにきちっと伝えていきたいです。

――今回の改定を受けて、キャンペーン施策は今後どのようになっていくのか。加盟店が原資を持つような施策がこれまで以上に増えていくのか。

伊藤氏
 特定の加盟店の方々の例を出しましたが、あのようなかたちで「dポイントがお得」ということは、個別にもきっちり伝えていきたいと考えています。

 ユーザーの方々に対して伝えきれていない、認識が広がっていないということが、ユーザーの方々のお得な機会の喪失につながっていると考えていて、露出はしっかり進めていきたいです。

 それとともに「d払い特典」を設けることで、キャンペーンではなく定常的にお得というところも進めていきます。

――露出を進めるというのは、施策自体の変更なのか。アプリのUI(ユーザーインターフェイス)を変えるというようなことなのか。

伊藤氏
 正直、何かを変えているというわけでも、これから変えるというわけでもありません。

 今でも十分お得を提供できていて、今回はこれにプラスしてよりお得になったというかたちです。

 加盟店さまと新しく何かをやるというよりは、店頭でのご紹介を含めて個別にやっていきたいということです。

――dカードなど、d払い以外のドコモが提供する決済サービスでの支払いには、特典がまったくないのか。

伊藤氏
 d払いとdカードについて、ユーザーがかなり重なっているというのが、弊社の中でのユーザーの利用動向です。

 ですので、d払いの利用者には、dカードを持っていたり決済手段としてセットしていたりという方は多いと思っています。

 dカードも含めて利用いただけるように提供していきたいと思っていて、d払いだけに特化していくということではありません。

 dカードでも特典をいろいろご用意していますので、そういったところもあわせていただくと、全体でお得に生活ができるような特典をご用意できているかなと思います。

――dカードならではの特典もこれまで通りの施策であって、dカードは外されているわけではないという理解で合っているか。

伊藤氏
 おっしゃる通りです。

――「長期利用ありがとう特典」を終了するとのことだった。終了に至った理由を知りたい。総務省の規制などもあって、携帯電話の長期利用は縮小傾向にあると思うが、こうした影響はあるのか。

山本氏
 (今回の改定は)「いつでもおトクに」というのをコンセプトにしました。「長期利用ありがとう特典」は(対象)プランが限定されていて、かつ誕生日月にd払いを使うということでやっていましたので、「ちょっと使いにくい」というお声もありました。

 ですので今回、ポジティブな還元をする際に、一緒に見直させていただこうと思いました。

 総務省のルール変更によって(提供を終了した)ということではありません。ルールの中で長期利用の特典を提供することは可能でした。今回はあくまでもお客さまの声を見て、ということです。

――「長期利用ありがとう特典」の特典がなくなったことで、(契約の)離脱といった影響はないだろうということか。

伊藤氏
 「eximo」「irumo」「ahamo」については、「長期利用ありがとう特典」は対象外ですが、お客さまからご不満の声というのは特段いただいていません。

 そういった意味では影響は微小と判断させていただき、今回の結論に至りました。

――それぞれのランクのユーザー数はどの程度の割合なのか。2つ星の基準を引き下げたということだが、そこに達しないユーザーがそれだけ多かったのか。

伊藤氏
 各ランクの人数がどれくらいいるかということに関して、大変恐縮ですが回答は控えさせていただきます。

 低いランクほど、ユーザー数が多いというのが現状です。そのユーザーの方々によりお得を体験していただきたいということで、2つ星へのハードルを下げました。

――2つ星の人に対してd払いの特典がない理由は。誘導という意味で、あってもいいような気がするが。

伊藤氏
 低いランクのユーザーの方々ほど、dポイントをシンプルに現金でも貯めていくという方が多くいます。

 まずはここのポイントの体験からやっていただき、回線などほかのサービスもお使いいただく中で、d払いも活用しながらお得を体験してほしいということで、こちらの設計にしました。

――ユーザーから「dアカウントが使いにくい」という声が上がっていると思う。今後の改善の予定は。

伊藤氏
 dポイントやd払いを使っていただく上でdアカウントが必須になっている中で、dアカウントの使い勝手については確かに一時期お声をいただいています。

 ユーザーの方々に使いやすいUIやUXを提供していきたいと思い、日々改善をしています。

 ただ、そうは言いつつも、まだまだ使いにくい点が多くあるというところも認識しています。順次改定をして、使いやすいものにしていきたいです。

――期間限定の「料金充当特典」について、dポイントを加盟店で使うよりもドコモの利用料に充当するほうがお得、というメッセージに感じられた。限定的なキャンペーンという位置づけなのか。

伊藤氏
 一定期間のキャンペーンということで実施するのが今回の形式です。dポイントについて、通信料以外のところでポイントの利用を多くいただいているというのが今の現状です。

 その中で、通信料金に充当して使えるということでもお得を提供していきたいと思い、新設しました。期間限定で実施し、お客さまの声を見て今後の継続を考えていきます。

 「料金充当特典」だけを特別に扱うというよりは、全体をお得にしていく中でバリエーションをご用意したというかたちです。

――ランクを1つ星から2つ星、2つ星から3つ星に上げる効果は期待できる一方、現状で3つ星~5つ星にいる人については、倍率アップの特典だけ見ているとマイナスになるわけで、ロイヤリティ低下になりかねないのでは。

伊藤氏
 3つ星~5つ星の方々は、並行して決済を使っていただいている方々が多くいらっしゃいます。そういった意味では、これをセットでお使いいただくことで、今までよりもお得な体験ができます。

 また、d払い単独でお使いいただくことがあった場合にお得を体験できるということが、今回の大きなポイントだと考えています。

 当該ランクの方々が一概に下がってしまうということではなく、d払いの特典などをセットでお使いいただき、今後もご愛顧いただきたいということです。

――「ドコモポイ活プラン」、今はahamo向けだが今後はeximoでも予定している。今回の改定は、そういったプランにどのような効果をもたらすのか。

山本氏
 今回の改定は、(ポイントを)どんどんお得に貯めていただける、そんなプログラムかなと思っています。

 お得を享受されるお客さまがたくさん増えてくると、dポイントを貯めたいお客さまも増えてきて、「一番いいプランは何か」となる。そこで「ドコモポイ活プラン」となり、ポジティブに働くと思っています。

 「ドコモポイ活プラン」はahamoから始めましたが、非常に好評で、順調に推移しています。改定でさらにドライブがかかるように、そして秋口にはeximoで「ドコモポイ活プラン」を出したいと考えています。相乗効果でどんどんお得を演出します。

――相乗効果のようなものを数字で表すとどうなるのか。

山本氏
 数字はご容赦いただければと思います。

――共通ポイントは競争が激化している印象がある。市場の分析を含め、今回の新施策はどのように見ているか。

伊藤氏
 ほかのポイントプログラムもいろいろ出てきている中で、競争は激化しているというのはおっしゃる通りだと思います。

 そういった中で、市場としては、ポイントを貯める方がどんどん増えていくことは、私どもにポジティブに働くと考えています。競争が起きていくこと自体は、ある意味歓迎すべきところだと思います。

 その中で、ポイントカードを1枚だけ持つというより、複数のポイントカードを併用していらっしゃる方が多いというのが実態だと考えます。

 今回は、dポイント自体をメインで使っていただけるユーザーを増やすための取組みです。一番密着度が高く使っていただけるポイントになるために、今後もdポイントを拡大させていきたいです。

――前田社長への交代が発表されたが、ポイントをより評価していく新体制のような意味合いもあるのか。

伊藤氏
 新社長が発表されましたが、だからといってポイントだけに特化して何かをやるというわけではありません。

 先日の会見でもお話をさせていただきましたが、通信の改善を含めて、正面から皆さまのご要望に応えながらやっていきたいと思っています。

 そういった意味では、これだけではなくて多面的に、いろいろなドコモのサービスの改善の中で進めていきます。

――改定に関する計画はいつ頃からあったのか。

伊藤氏
 このプログラム自体は2年前からスタートしました。日々、お客さまの声はもちろんチェックしていて、昨年末から決済に対しての要望も強く頂いていました。そういったところから検討し始めたかたちです。