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PayPayが個人間送金に急に力を入れるわけは? “ラストピース”は「ユーザー同士のコミュニティ」で補完

 PayPayは21日、キャッシュレスお年玉に関する新たな取り組みに関する説明会を実施した。いわゆる、個人間送金について大勢のユーザーがそれなりの金額を送り合う「お年玉」にフォーカスした取り組みであるが、決済手数料がかからず“事業者側の旨み”が少ない個人間送金への取り組みを加速させる理由など、PayPay 執行役員 マーケティング戦略本部長の藤井 博文氏に聞いた。

PayPay 執行役員 マーケティング戦略本部長の藤井 博文氏

これまで個人間送金に力をいれてこなかった理由

 藤井氏は、PayPayのユーザー数や決済取扱高が現在でも成長を続けている点をアピールしたうえで、同社の次のテーマを「個人間のお金のやり取り」とあげ、個人間送金を「コミュニケーションサービスにあたるネットワーク効果が期待できる機能」と説明する。

 藤井氏は「あるサービスが、一定のユーザー数を獲得すると、その後飛躍的にユーザー数が増えて全員が使うサービスまで広がっていくことがある。このユーザー間の個人間送金というのが、そういった(飛躍的に伸びる)サービスになってくる」としながら、これまで個人間送金に対する施策をあまり打ってこなかったという。

 藤井氏は、先述のネットワーク効果を得るためには「ユーザー数が少ない間は効かない」と指摘し、6000万ユーザーを超えた「ラストピース」を埋める今、この個人間送金への取り組みを加速させるとコメント。

 PayPayの個人間送金については、徐々にシェアを得てきているといい、これまで遠方のユーザーへの送金は銀行振込が主なルートであったが、このシェアを大きく凌駕している状態になってきていると藤井氏は指摘。

 ユーザー間のコミュニティで「PayPayユーザーが多数派(マジョリティ)」になると、非PayPayユーザーが「コミュニティのなかで迷惑をかけないためにPayPayを使い始める」というきっかけなど、コード決済で増やしてきた圧倒的なユーザー数を武器に、それを後押しするような施策をしていきたいと藤井氏は意気込む。実際に、周りにPayPayを積極的に進めるユーザーも多いという。

一部地域では「お小遣い」に関するキャンペーン

 藤井氏は、静岡や富山、広島の一部地域で、子供のお小遣いに関するキャンペーンも展開している。

 お小遣いや仕送りなど、決まった日付に決まった金額を送るような場合、キャンペーンでその金額に少し上乗せされる形で特典が提供されるような取り組み。コミュニティ内での個人間送金の普及と若年層へのPayPayユーザー拡大を狙っているとしている。

「お年玉」を個人間送金で送る理由

 PayPayでは、個人間送金の促進を図るべく、「お年玉」に焦点をあてたキャンペーンを実施する。

 お年玉について、親から子供へ送るだけでなく、兄弟姉妹や職場関係、子供から親へなど、さまざまな送受ニーズがあると藤井氏は説明する。また、キャッシュレスでお年玉を受け取りたいというユーザーも、全体の4割程度いることがわかっており、この部分にリーチしたいという。

 実際にPayPayを使ったお年玉の利用も増加傾向にあるといい、今回のキャンペーンを機に「お年玉のあり方を変えることに今年からチャレンジしていきたい」と意気込みを見せた。

受け手側にも使いやすいものを

 また、12月から個人間送金の際に、出金ができる「PayPayマネー」を優先して送る機能が搭載された。

 藤井氏によると、これまでは送り手に有利な「PayPayマネーライト」(出金不可)を優先して送れる仕組みになっていたが、今回の機能により、受け取った側が使いやすい「PayPayマネー」が優先されるようになった。

 PayPayでは、個人間送金の普及を後押しし、コミュニティからPayPayのユーザー数をさらに伸ばしていく狙いが見られた。