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ソフトバンクが開発、HAPSからスマホに届く電波の方向を推定するモデルが国際標準化

 ソフトバンクは、成層圏通信プラットフォーム(HAPS)の移動通信システムを実現するために、HAPSの無線通信システムの設計に必要な「システムデザイン用電波伝搬推定法」の一部で、HAPSからスマートフォンなどの移動局に届く電波の方向を推定する「移動局側の電波到来方向推定モデル」を開発した。

 このモデルは、国際電気通信連合(ITU-R)のHAPS向け「電波伝搬推定法」に追加され、「ITU-R勧告P.1409-3」として2023年8月に承認されている。このほか、建物による電波の損失を詳細に計算できるモデルの適用範囲についても、国際標準化を達成している。

 ソフトバンクによると、HAPSで5G通信を行う際にアンテナシステムを効率的に用いるための設計に活かされることで、安定した通信が可能となり今後のHAPS事業に大きく貢献するという。

 ソフトバンクが開発し国際標準化された今回のモデルは、HAPSとスマートフォンとの位置関係(仰角や方位角など)や、周辺の建物の環境を考慮して、HAPSからスマートフォンへの電波の方向と強度を推定するもの。

 HAPSで5G通信を行う際の効率的なアンテナ設計に活用されるほか、「システムデザイン用電波伝搬推定法」の一部である「人体遮へい損失モデル」で考慮される、都市や郊外地におけるマルチパス環境も推定できる。

 さらに、建物による電波の損失を詳細に計算できるため、基地局の高さなどの適用範囲をこれまでより広げたことで、NTN(非地上系ネットワーク)など上空と地上間の電波環境における計算も可能となる。