ニュース

Apple、iPhone 12のSAR問題にソフトウェア更新で対応、当局の指摘には反論

 フランス国家周波数庁(ANFR)は、Appleの「iPhone 12」が、規定の比吸収率(SAR)の上限を超えていると声明を発表したうえで、Appleに対して該当機種の販売中止を要請していた。

 これに対してAppleは、iPhoneは人体から離れたことを検出する機能があり、iPhoneを電話に置いている状態では、送信電力がわずかに増加する仕様としている。この仕様は、徹底的な試験と検証を受けており、SARの要件に準拠するために有効であることが国際的に認められているという。

 Appleは、iPhoneの電力が微増するのは、iPhoneが人体の近くではなくテーブルに置かれたときであるため、電力による人体への影響を定めたSAR準拠の対象外になると説明している。

 その上で、ANFRの試験プロトコルは、人体からデバイスが離れたことを検知するメカニズミウが考慮していないため、電力の微増が問題とならない場面であっても許容されないと主張し、フランスのユーザーを対象に、ANFRの試験プロトコルに対応するために、この機能を無効にするソフトウェアアップデートを提供した。

 iPhoneには、テーブルのように静止した面に置かれたことを検出するセンサーが搭載されており、センサーによってiPhoneが手に持った状態なのか、ポケットに入れている状態なのかなど、その状態を監視している。iPhoneが人体から離れている場合、パフォーマンスを最適化するためにデバイスの送信電力を僅かな増加を認めている。

 ANFRが採用する特定の試験プロトコルでは、デバイスが人体から離れて静止している面に置かれている場合でも、人体接近時のSAR制限値を下回ることが要求されるが、これは国際的な標準と一貫性がないという。

 Appleが公開したiOS 17.1には、フランスのユーザーを対象に、iPhone 12が人体から離れた静止面に置かれている時でも、電力を微増させないように修正する内容が含まれている。

 これにより、電波が微弱なエリアでは、アンテナの送信電力の変化により、人体から離れた場所で使用する場合に、パフォーマンスがわずかに低下する可能性があるが、大部分のユーザーには影響を認識しないと想定している。