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「Galaxy S23 Ultra」の2億画素カメラはどこがスゴい? ジョシュア・チョ氏が語る進化ポイントとは

 サムスン電子ジャパンは、Androidスマートフォン「Galaxy S23 Ultra」を国内向けに発表した。2億画素のカメラを搭載するフラッグシップモデルとして、4月20日に発売される。

 発表会後、サムスン電子本社 ビジュアルソリューションチーム 副社長のジョシュア・チョ(Joshua Cho)氏が、報道陣向けの特別講演として「Galaxy S23 Ultra」の撮影性能について語った。

 そこで本稿では、同氏による講演の内容を中心にお届けする。

チョ氏

「Galaxy S23」シリーズに加えて「Galaxy A54 5G」なども発表

 チョ氏の特別講演に先立って開催された発表会では、「Galaxy S23 Ultra」のほか、「Galaxy S23」「Galaxy A54 5G」も国内向けに発表された。また、タブレット「Galaxy Tab S8+」について、au(KDDI)が新たに取扱いを開始したことも紹介された。

サムスン電子ジャパン チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)の小林謙一氏
同社 プロダクト担当の国分夏希氏
同社 プロダクト担当の前島大樹氏
クアルコムジャパン 代表社長の須永順子氏も駆けつけた

チョ氏が語る「Galaxy S23 Ultra」の2億画素カメラ

 「Galaxy S23 Ultra」のアウトカメラは4眼構成となっている。メインカメラとして約2億画素の広角カメラ(F値1.7)を搭載。そして、約1200万画素の超広角カメラ(F値2.2)、約1000万画素の望遠カメラ(F値4.9、光学10倍)、同じく約1000万画素の望遠カメラ(F値2.4、光学3倍)を備える。

 「Galaxy S22 Ultra」のメインカメラは約1億800万画素だったため、画素数だけを見るとおよそ2倍になった格好だ。レンズの構造なども含めて新たに開発したといい、ディテールに優れた写真撮影が実現する。

 2億画素カメラにはアダプティブピクセルセンサーが採用され、16画素を大きな1画素にすることで、暗い場所でも明るく高精細に撮影できる。チョ氏は「2億画素カメラは、しっかり明るいところでの撮影をおすすめしている。光の量が十分であれば、細かいところまで写真に収められる」と語った。

 進化したのは画素数だけではない。「Galaxy S22 Ultra」の1億800万画素カメラでは撮影のたびに3~4秒かかっていたが、「Galaxy S23 Ultra」の2億画素カメラでは、700~800ミリ秒の間隔で撮影できるようになった。

 2億画素による撮影の場合、実際の処理にかかる時間は「6~7秒」(チョ氏)。端末のメモリー消費を考慮しながら最適なかたちでバックグラウンド処理をすることにより、スピーディーな撮影が実現する。

 新機能として、星を撮るための機能「天体ハイパーラプス」や、雰囲気のある写真を作れる機能「多重露出」などを用意。利用者がAI(人工知能)を使って写真を加工できる「Galaxy Enhance-X」についても、今月中のリリースを目指して準備が進められている。

 「Galaxy S23 Ultra」をデジタル一眼レフカメラと比較したときのメリットとしてチョ氏が挙げたのが、「コンパクトで使い勝手が良いこと」「光学手ブレ補正(OIS)などでブレを抑えられること」「ピクセルビニング技術で鮮明に撮影できること」など。

 デジタル一眼レフカメラと比べて小さなセンサーサイズは弱点とされる一方、NPU(機械学習/AI特化のプロセッサー)やISP(画像処理プロセッサー)などが強みとして挙げられるという。

 昨今では話題になることも多いAIについて、同氏は「学習データの違いが、成果物としての写真に影響してくる。サムスンでは現在多くの学習データを保有していて、実際の撮影データのほか、架空のデータも活用している」とコメントした。

 画素数としては先代の「Galaxy S22 Ultra」から据え置きとなった望遠カメラ(1000万画素)でも、「AIを活用しながら現行の画素数で提供するのが最適」という結論に至ったサムスン。ハードウェアとしてどのような画素数が最適なのか、テストを重ねたとしている。

 サムスンでは、利用者の声にも積極的に耳を傾け、撮影体験の満足度向上を図っていく。たとえばカメラアプリ「Expert RAW」では、ニーズに応えるかたちで、今回からフロントカメラでも同アプリを使えるようにする。また、高画素による撮影を望むプロの声を踏まえ、「Expert RAW」「プロモード」で5000万画素の撮影に対応する。

 「カメラアシスタント」では、“かゆいところに手が届く”柔軟な設定が可能になる。一例として、シャッターボタンから指を離した際に撮影するか、ボタンに指が触れた際に撮影するかを選べる「クイックタップシャッター」が用意される。

 「Galaxy S23 Ultra」を含めた「Galaxy S23」シリーズは携帯電話会社からの販売となるが、気になるオープンマーケット版について、サムスンは「市場ニーズなどを踏まえて検討する」とコメント。今後の展開にも期待がかかる。

発表会で投影された資料