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故人もペットの思い出も、自宅で手軽に偲べる「Cloubo」誕生の経緯

 リュウドとThinking Power Projectは、スマートフォンと連携する自宅墓「Cloubo」(クラウボ)を発表した。価格は4800円~。

どこでも故人・ペットを偲べる

 Cloubo(Cloud Cemetery Service)は、直接お墓にいかなくてもお墓参りができるスマートフォンと連携する自宅墓。「ハンディトゥームユニット」(HTU)にQRコードが貼り付けられており、スマートフォンで読み込むとあらかじめ設定した故人や亡くしたペットなどの写真や思い出のできごとなどをブラウザから閲覧できる。ページは家族や親戚などとも共有できる。

左から欅 45、欅 55、御影 60

 HTUのラインアップは「御影 60」「欅 55」「欅 45」の3種類。HTU内部には遺骨カプセルを格納できるカロートがあり、欅の上部には写真立てとして使えるスリットが備わっている。価格はそれぞれ1万2800円、8800円、6800円。いずれのモデルもクラウボサービスの5年間使用権が付属する。このほかQRコードが記載されたシートのみでも購入できる。クラウボサービス5年間使用権付きのものは4800円、10年間使用権付きのものは6800円。

 本体のデザインは、特定の宗教や宗派を選ばないプレーンなもの。開発中の制約からデザインに工夫を重ねたところ、それぞれ「黄金比」と「白銀比」の造形に仕上がったという一品。欅 55は無垢材を使用。雪深い新潟県十日町市産の欅で、一つひとつ異なった木目の表情を楽しめる。

 これまでにツバメノートとオリジナルのノートやタイベックス製のカバンなどを手掛けてきた「Thinking Power Project」の竹村譲氏は、Cloubo誕生のきっかけを語る。

Thinking Power Project 竹村氏、岡田氏(2枚目左)、長澤氏(2枚目右)

 同氏は、平均寿命の到来により人口が減少していく多死社会の到来や新型コロナウイルスにより葬儀に多額の費用をかけることが少なくなったといった伝統様式の変化、核家族化などをCloubo登場の背景として紹介する。竹村氏自身も自らの経験から手続きの煩雑さなど、改葬の困難さや自宅に仏壇などを置くスペースがないといった声があった。

 竹村氏自身、かつて飼っていた愛犬について「お墓はどこにあるのか?」と聞かれることがあり、雲の上にいる故人(ペット)と遺された人を結びつけるガジェットあればいいのではという発想で24時間どこでもブラウザ経由で故人を偲べるClouboを開発した。

 Clouboは、自宅墓のような「ハンディトゥームユニット」(HTU)とQRコードのシートから成り立っている。偲ぶ対象は人のみならずペットでも良い。飼う動物によっては性別が分からないことも多くそうした設定にも対応する。

 QRコードは、閲覧用(6枚)と編集用(2枚)の2種類が付属。専用ページでは写真のほか、故人の生い立ちやエピソードなどの思い出を書き込める。編集用URLを共有すればほかの人でも書き込めるので、遠隔地の親族などとの共同編集も可能。故人について、自分も知らなかったエピソードに出会えるかもしれないという仕掛けだ。「自由すぎてもどうしたらいいか分からない」ということから質問形式で答えられる入力サポートが備わっている。

 サイトで「献花する」ボタンを押すと、故人の写真の周りに花を手向けることができる。生前葬としての使い方にも対応しているほか、故人に関するSNSへのリンクも可能。ストリートビューでのお墓参りやペットであれば一緒に散歩したコースを巡るといった使い方にも対応する。

 表示用のQRコードをスマートフォンで読み込めば、誰でもClouboを訪問できる。印刷などすればそれ以上の人数にも配布できる。Thinking Power Projectの長澤久吉氏によれば、大量のアクセスは想定していないとして閲覧は100人程度までと定めているという。

今後の展開は

 検討中の製品として「Cemetery Plate」が紹介された。自宅墓ではなく、実際のお墓に備え付けるQRコードを表示するもので、耐久性などの課題を解決できれば発売したいという。また、セレモニー関連の企業との連携で、QRコードと自宅墓や仏壇と組み合わせた商品展開やOEMビジネスなども検討している。

 Thinking Power Projectの岡田慶子氏は、Clouboについて「従来のお墓を置き換えるものではない」と説明。あくまで実際のお墓を「補完するもの」であって「日常のなかで思う気持ちをツールをもってできないか」という発想の商品とした。Clouboは、Amazon.co.jpなどオンラインで購入できる。

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