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アンカー・ジャパンCEO 猿渡氏インタビュー、ピカチュウモデルのGaN充電器や今後の製品ラインアップについて聞いた

アンカー・ジャパン代表取締役CEOの猿渡 歩氏

 アンカー・ジャパン(Anker)は10月27日、2022年秋の新製品発表会「Anker Power Conference 2022 Fall」を開催し、今後登場する急速充電器やモバイルバッテリーなどが発表された。

 発表会後、同社代表取締役CEOの猿渡 歩氏にインタビューできる機会を得られたので、製品ラインアップの特徴や今後のラインアップに関する内容などを猿渡氏から聞いた。

――Ankerブランドについて、近年のトレンドやラインアップに反映されている特徴などはありますか?

猿渡氏
 弊社は、(充電器などの分野で)シェア1位でやらせていただいているので、全方位で取り組んでいます。小さい充電器もそうですし、140Wのモバイルバッテリーも作っているので、さまざまな方のニーズを満たしていきたいと思っています。

 今回のラインアップでは、弊社の認知度も上がってきている中、スペックと価格を見て買われるユーザーだけでなく、本体カラーなどファッションとまではいかないまでも、マジョリティーへ訴求できるような見せ方というものに気を配ったものになっています。

製品ラインアップ例

 全体の流れとしては、Android端末のほとんどがUSB Type-Cを充電端子として採用されており、アップル(Apple)の端末にも浸透しつつあります。そのなかで、「なんとなく知らなかったもの」から「スマホを早く充電できるもの」というように世間の認識が変化してきていると思い、GaNPrimeなど急速充電への取り組みをしっかりとやっていきたいと思っています。

――アーリーアダプターが主要な購買層だった急速充電器が、一般に普及しつつあるということですね。

猿渡氏
 弊社でも、これまでECサイトでの購入比率が高い傾向にありましたが、だんだんとオフラインでの購入比率も増えてきており、徐々に販路が変わってきているので、それに合わせて私たちも製品ラインアップを換えていかなければいけないと考えています。

 たとえば、量販店で「GaNPrime」の充電器ばかりを置くわけにも行かないので、購入層にあわせた製品ラインアップを考えています。速すぎる製品でもだめですし、今更microUSBの製品を出してもだめなので、ユーザーのニーズに合わせたラインアップを考えています。

――今回のラインアップですが、モバイルバッテリーより急速充電器の方が力を入れられていると感じました。今後のラインアップとして、同様の傾向が続くのでしょうか? 近年のスマートフォンでは、バッテリーの大容量化が進んでいますが、製品ラインアップに影響していますか?

猿渡氏
 今回はたまたまモバイルバッテリーのラインアップが少なかっただけかなと。

 モバイルバッテリー自体、既存の製品ラインアップが多いということもあります。

 スマートフォン本体のバッテリー容量が拡大していることは承知していますが、バッテリー容量が大きくなったからといって、画面がきれいになったり、ARゲームが流行ったりで、消費電力がどんどん増えていき、その分バッテリーの容量拡大が追いついていっていないのではと考えています。

 モバイルバッテリーの売り上げでは、年々増えてきています。コロナによる影響も回復傾向にあります。

 弊社では60Wや100Wのラインアップがありますが、スマートフォンの充電では、多くのもので20Wまで出せれば十分に充電ができます。外で100Wの充電器がほしいというユーザーがもっと多くなれば、数が出るだけコストも下がりますし、ラインアップとして増やしていければと、ユーザーニーズや価格、性能のバランスを見て製品ラインアップを決めています。

――ということは、100Wなどの急速充電器は、昨今のリモートワーク需要などで拡大してきている流れでしょうか?

猿渡氏
 ノートパソコンを持って外出される方などで、Fusion型、いわゆる複数のものをまとめられるというニーズがあると思っています。

 実はGaN充電器が、(高性能だが)価格も高めのものなので、そこまで売れるとは思っていませんでしたが、予想より販売数は伸びてきています。

 ニーズとしては顕在化していますし、ライバルが少ないので、ほしいユーザーに買っていただける製品だと思います。

――GaN採用の急速充電器を、もっと伸ばしていきたいところでしょうか?

猿渡氏
 そうですね。今回のポケモンデザインの充電器も、ピカチュウモデルとライチュウモデルがGaNPrime製品をベースに買えた製品です。

 GaNPrimeと聞くと、難しそうだとか、テック向けの製品と思われそうですが、ポケモンデザインの製品で「GaNPrime」を知ってもらうことで、多ポートの高性能充電器が普及すると。それで、デバイスメーカーが充電器の同梱を減らしていけると、サステナブルな社会の実現を目指せるのではないかと思い、ラインアップに加えました。

ポケモンデザインの急速充電器

――急速充電自体の裾野を広げていきたいと。

猿渡氏
 なかなか100Wの充電器を買うという発想自体が少ないと思っています。「ノートパソコンと専用の電源アダプターを持ち歩く」ことが当たり前だと思っているユーザーが多い中、(ノートパソコンとスマートフォンの充電を)兼用できる親しみやすいキャラクターの充電器が広まれば、USB Type-C全体の普及につながればいいのかなと思います。

――本日は、どうもありがとうございました。