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Fitbit新商品発表会、米グーグルのスティーブ氏「データ収集と分析力がFitbitの強み」
将来的には「悪夢検出機能」も?
2022年9月16日 20:34
グーグル(Google)は、スマートウォッチブランド「fitbit」から、最新スマートバンド「Inspire 3」と、スマートウォッチ「Versa 4」「Sense 2」を9月16日以降に発売する。
- 「Inspire 3」9月16日発売、1万2800円
- 「Versa 4」9月29日発売、2万7800円
- 「Sense 2」9月29日発売、3万2800円
9月16日にメディア向けに開かれた新製品発表会には、米グーグルのAPAC&Health Solutions International Fitbitディレクターのスティーブ・モーリー(Steve Morley)氏が来日し、新製品3機種を紹介した。
これから健康管理を始めるユーザーへ「Inspire 3」
3製品のなかで一番リーズナブルに購入できる「Inspire 3」は、「健康管理やフィットネスを考え始める新しいユーザーが、初めて使う製品」(スティーブ氏)という位置づけで、さまざまな機能を安価に提供しているという。
「Inspire 3」では、血中酸素センサーを搭載しており、有酸素運動時に酸素飽和度を測定できる。このほか、心拍数や消費カロリー、運動距離、歩数などもトラッキングできる。
また、「Inspire 3」を装着して寝ると、睡眠ステージと睡眠スコアを自動で判定され、睡眠の質を確認できる。就寝時間やスマートアラームの設定、ガイド付きの呼吸セッションなどを活用することで、睡眠の改善につなげることができる。
バッテリーは10日間の持続時間を確保しつつ、先代モデルからスリム化されている。
「Inspire 3」では、カスタマイズ性にも力が入っており、豊富なカラーやアクセサリーをそろえ、若年層はもちろん既存ユーザーの声を反映した製品になっている。本体カラーは3色展開されており、このほかバンドやクリップといったアクセサリーも多数展開する。
健康管理とフィットネスを第一に考える
「Versa 4」は、健康管理とフィットネスを第一に考えるユーザーに向けた製品だとスティーブ氏は説明。
ユーザーの活動時間と心拍数の変化を確認できるほか、豊富なエクササイズモードを用意。高強度インターバルトレーニング(HIIT)やウエイトリフティングなどを含む40以上のエクササイズモードをラインアップしている。
サブスクリプションのプレミアム機能では、エクササイズ履歴を確認/分析できるので、今日エクササイズをするべきか、もしくは休息した方がいいのかといった判断に役立てられる。
また、60程度の動画コンテンツも配信されている。座ったままでできるエクササイズや、飽きないワークアウトなども含まれている。
「Versa 4」には、Bluetooth機能を搭載しており、テキストの通知や電話の応答などができる。これらの機能を搭載しながらも、6日間のバッテリー性能をサポートしている。
スティーブ氏は「近い将来の話」として、「Versa 4」がGoogleマップをサポートすることに言及した。これにより、ルートの曲がり角などで通知を受け取ることなどができるという。
ハード面では、先代モデルより薄く軽量化が図られているほか、重心を低くすることで手首へのフィット感を高めているという。また、ユーザーからの声を反映し、ボタンを復活させ、ワークアウト中でも操作しやすいよう位置を変更している。
このほか、ユーザーインターフェイス(UI)も改良されており、時刻や通知、フィットネスの情報を出せるタイルも、ユーザーでカスタマイズできる。
生活の中心が健康管理/フィットネスなら「Sense 2」
「Sense 2」についてスティーブ氏は「私たちの基幹商品」とコメントするように、ハイエンドモデルに位置づけられたスマートウォッチ。ライフスタイルの中心に健康管理を置いているユーザーや、個人に深掘りした提案を求めているユーザー、自分の身体をよく理解したいユーザーにぴったりだという。
ストレス管理機能は新センサー搭載で機能強化
「Sense 2」では、先代より10%薄く15%の軽量化を実現したほか、ストレスを測定するツールを高度化させた。
たとえば、新しく継続的皮膚電気活動(cEDA)を測るセンサーを搭載し、ほかの心拍数や皮膚温とそれらの変化を分析することで身体にストレスの潜在的な兆候が現れたときに、通知を出す機能を搭載する。すぐに通知を出すことで、ユーザーは「日常生活のどのような事象がストレス原因になっているか」を考えることができるという。
スティーブ氏は「ストレスの原因はさまざまで、ストレスや興奮、場合にとってはカフェインが理由かもしれません。ストレス通知がユーザにいくことによって、ストレス/興奮状態であることを認識し、『何がおきたかを考える』時間が与えられ、ストレスを受けるような状況がどのようなものかがわかるようになる。それを踏まえながらできる行動を取っていくということができる」と説明。
続けて「ストレス管理は、2年前の『Sense』ですでに導入されていた機能」としながら、「ストレスは、非常に個人それぞれパーソナル化されているもの。実際のストレス体験をパーソナル化するにあたって、(さまざまなセンサーを使った)ツールを使っていくことは、非常に重要になる」(スティーブ氏)と指摘した。
また、ユーザーのストレスを分析し、リコメンドすることもできる。初期設定では過去2時間を分析できるが、1日の終わりに確認したり週に2回確認したり、期間を設定してリコメンドを受け取れる。
睡眠分析で睡眠タイプを判定
「Sense 2」では、プレミアム機能として睡眠プロフィール機能が搭載されている。10のデータや指標を分析し、ほかのユーザーの睡眠パターンを比較しタイプ別に割り振っていく。そのパターンを動物でたとえることで、睡眠パターンをわかりやすく確認できる機能となる。
スティーブ氏は「どの動物の睡眠タイプがいいかというのはない。私の場合、普段は“キリン”ですが、移動や出張したときは“ハリネズミ”になっていた」と説明し、同じユーザーでも環境が変われば睡眠パターンに変化が生じる例を紹介した。
このほかにも、40以上のエクササイズモードやダッシュボード機能などが利用できる。また、6日間のバッテリー性能を備える。
多くのデータを持っているFitbit、他社にはない分析力で差別化
質疑では、スティーブ氏が引き続き登壇し、記者からの質問に答えた。
――心拍センサーなど、センサー面では他社も同様のものを搭載している。他社との差別化のポイントは、分析力にあると思うが、どのように考えているか?
スティーブ氏
心拍数を手首で測定するものは、2014年にFitbitが初めて導入しました。他社も同様のものを備えていますが、たとえば今回の継続的皮膚電気活動(cEDA)を測る機能は、Fitbitが初だと思っています。
おっしゃられたように、データを分析するにはまずデータを収集することにあります。たとえば、睡眠タイプ判定では、多くのデータを収集し、だれがどのタイプの睡眠なのか、どのステージにいるのかを理解し、Fitbitがユーザーの睡眠を手助けします。そして、スコアを確認してもらい、全体的に睡眠に対しアプローチしていきます。
私たちの強みとしては、長期間にわたってデータを収集してきているからこそ、データからいろいろな内容を引き出すことができることだと思っています。
プラスなサイクルに乗っていると「よく寝られた日は運動し、ヘルシーな物を食べよう、そしてよく寝よう」となりますし、寝不足のときは「運動はしたくなく、食べ物もおざなりになってしまう」と思いますので、健康管理に関してはすべてのものが相互に関わっていると思います。やはり、そこが私たちにとって他社との差別化になると思っています。
――Googleとの連携など、統合によるシナジー効果について教えてほしい
スティーブ氏
Pixel Watchでは、Fitbitの体験を多く提供しています。また、Nest Hubではスリープセンシング機能を搭載し、異なるプラットフォーム間での持続性運用性を担保する取り組みを行っています。
いろいろとできることはたくさんありますが、時間がかかる物もあります。今回のGoogleマップ搭載(近日対応)は、ランニングやエクササイズする際に役立つと思いますので、私も楽しみにしています。
――ストレス管理機能は、睡眠時も使えるか? たとえば悪夢を見た夢だとそれが記録されるとかはあるか?
スティーブ氏
素晴らしい質問ありがとうございます。
私自身その質問に答えは持ち合わせていないのですが、リスクを取って申し上げますと、『可能になる』と思っています。
心拍数や皮膚の湿度とその変動を測定しておりますので、何かイベントがあればわかると思います。これは将来的な話(Futute)に入れるべきだと思います。ぜひ、私どもの睡眠の研究者や科学者に確認をしておきたいと思います。
――米国では「Sense」の時から心電図測定が可能だったと思うが、今回はどうか? 導入予定はあるか?
スティーブ氏
心電図測定について、現在承認に向けて取り組んでいますが、時間がかかります。
心電図以外の機能についても、承認を受けなければいけないものがあるので、あわせて取り組んでいます。「Sense2」については、PPGセンサーというのもあるので、これに関しても日本で使えるように今取り組んでいます。
――「Versa」と「Sense」のベルトについて互換性はあるか?
スティーブ氏
「Versa」ラインと「Sense」ラインについては、互換性があります。
【訂正】
記事初出時、スティーブ氏「心拍数を手首で測定するものは、2013年にFitbitが初めて導入しました。」としておりましたが、
グーグルより2014年であった旨案内があったため、2014年に変更しました。