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アルミの1/270の軽さ、基地局軽量化にも使える電磁波遮蔽材料の共同研究はじまる

 パナソニック インダストリーと名古屋大学、山形大学、秋田大学は、JAXAと「超軽量電磁波遮蔽材料」技術の共同研究を開始した。

 宇宙分野では人工衛星などの軽量化のために、通信や給電に使うケーブルの無線化の研究が進められているという。この実現のためには、高度な「電磁波遮蔽技術」が求められるという。

 また地上でも、ドローンや「空飛ぶクルマ」の一種である「eVTOL」の普及のために軽量化と両立する電磁波遮蔽技術が求められているという。

 さらにパナソニック インダストリーは、5G・6Gといった無線通信の高速化・高周波化においても必要性が高まると予測している。

 パナソニック インダストリー、名古屋大学、山形大学、秋田大学は、「超軽量電磁波遮蔽材料」の2024年の実用化を目指す。

軽さと遮蔽技術の両立

 新材料は、一般的な電磁波遮蔽材料のアルミニウム(2.7g/cm3)の270分の1の軽さ(0.01g/cm3)。飛躍的な軽さを実現する一方で、アルミと同じ程度、電磁波を遮蔽できる性能がある。

 よって宇宙機や電動航空機の機器も軽く済むので、航続距離が長くなるという。

周波数に合わせて遮蔽性能を調節でき、EMC設定も容易

 材料の組成を変更することで、機器の仕様にあわせて遮蔽する電磁波の周波数帯域を設定できる。

 また、ノイズによる機器の誤作動を抑制し、機器のEMC設計も容易になる。

 さらに既存材料のアルミニウムとは異なり、電磁波吸収性能があるため、デバイス自ら発するノイズの多重反射を防ぎ、ノイズ重畳によるデバイスの特性劣化を防ぐ。

 加えて広い周波数帯域にも対応しているので次世代無線通信技術の普及を促進するという。

加工性に優れている

 パナソニック インダストリーの熱硬化樹脂の配合設計技術とフリーズドライ製法によってさまざまな立体構造を作成することができるので、採用機器の形状に合わせた加工が可能。

 今回の共同研究は2024年6月まで。材料の耐久性や、電磁波を遮る性能、生産性、宇宙以外の用途での市場性の検討などが進められる。