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家中まるごとスマートホーム化「オプテージのIoTショールーム」を覗いてきた
2022年6月2日 00:00
オプテージとリンクジャパンは6月1日、資本業務提携を締結し、スマートホームIoT事業について、サービス展開していくことを発表した。
オプテージと言えば、MVNO事業の「mineo」や関西地区の固定回線サービス「eo光」など通信を得意とするイメージだが、今回のリンクジャパンとの資本業務提携により、IoTプラットフォームを全国展開していくという。
今回は、この提携を受けて開設されたショールームに足を運び、同社が提供する最新スマートホームを体験してきた。
フロアまるごとショールーム、ほとんどすべてがIoT化
ショールームは、mineo渋谷の2階に位置している。ハウスメーカーやデベロッパー向けのショールームというが、アクセスがしやすい立地。最寄り駅からも比較的迷わずにこれそうな場所に開設された。
ショールームがあるフロアは、フロア全体でリビングルームやキッチンなど再現されている。これ以外にも、マンションの共用部をイメージした場所もあり、部屋のなかだけでなく建物全体をIoT化できることがアピールされている。
家中まるごと「ワンアプリ」でIoT
近年さまざまなメーカーから登場しているスマートホームデバイス。これまでのリモコンやドアの鍵以外にも、給湯器やエアコン、冷蔵庫もネットワークに接続してIoT化されているものも増えてきた。
一方で、そのメーカーごとに独立したシステムで動いているため、「給湯器」「照明」「冷蔵庫」などそれぞれ別のアプリで動いていることが多い。せっかくIoT化しても、アプリをいちいち起動しないと使いこなせないと、結局壁面リモコンのボタンしか使っていないといった「使われないIoT」になっている読者もいらっしゃるのではないだろうか(筆者も心当たりが……)。
今回のリンクジャパンのIoTプラットフォームでは、電子錠や給湯器といったこれまで別々のシステムで動いていたIoT機器をまとめてリンクジャパンのプラットフォームで操作できる。また、操作するだけの一方通行だけでなく、個別のアプリに備わっている「お風呂が沸いた通知」や「冷蔵庫の中身を確認する」といった機能も利用できる。
プラットフォームがまとまっているため、1つのアプリで操作ができることから、機器ごとにセンサーを用意したり、時間の設定などトリガーとなる設定も一度で完結するので、生活のルーチンが変わったり引っ越したりしても、ユーザーで簡単に設定できる。
共用部も後付けでIoT化
これまで、オートロックのマンションではスマートロックを導入することが難しかった。なぜなら、自室をスマートロックにしても、結局オートロックの場合は結局鍵を取り出さなければいけないため、あまりメリットを享受できなかった。
共用部をスマートロックにしても、システムをまるごと取り替えないといけなかったり(あまり現実的な方法ではない)、新築物件で対応していても、プラットフォームが異なるため、別のスマートキーを用意しないといけないものもある。
それだけでなく、たとえばオートロックと宅配ボックスのシステムがつながっており「エントランスを解錠したタイミングで、宅配ボックスの通知を表示する」機能を備えていた場合、手ぶらで解錠できるスマートロックを導入すると、その通知を見ずに通り過ぎてしまうため、せっかくのIoT化も生かされないケースがあったという。
リンクジャパンのIoTプラットフォームでは、電子錠メーカーや宅配ボックスメーカーと連動し、同じプラットフォームで操作できる。スマートフォンのアプリ操作やGPS情報などをトリガーに、エントランスを解錠するだけでなく、宅配ボックスの通知やゴミ庫の電子錠解錠などがワンアプリでできるようになる。
また、リンクジャパンでは、既存のオートロックに後付けできるIoTデバイスを提供している。既存のエントランスドアに大きく手を加えることなくIoT化できるため、これまで難しかった既存物件のIoT化促進につながることが期待される。
ベッドのセンサーや物理ボタン、Siri対応がうれしい
ベッドとの連動
ここまで、スマートロックや給湯器、ドアホンといったものについてワンアプリでIoT化できることを紹介してきたが、ベッドにもIoT化されたデバイス(スマートベッド)がある。
「スマートベッド」では、ユーザーの睡眠状態を分析してベッドの角度を自動で調整する機能が備わっている。今回リンクジャパンのIoTプラットフォームと連携することで、ベッドに備わっているセンサーで読み取った「ユーザーの睡眠状態」をトリガーとして設定できる。
たとえば、テレビを見ながらユーザーが睡眠状態に入った場合、テレビの電源が自動でオフになったり、ユーザーが起床するとカーテンが自動で開いたり設定できる。
物理キーがついたリモコン
また、筆者としてはIoTプラットフォームにつながる「物理キー」が備わったリモコンの存在がありがたい。
これまで、「スマート電球だけ」「スマートカーテンだけ」操作できるリモコンはあったが、プラットフォーム全体につながるリモコンの存在は少ない。今回披露されたリモコンでは、4つのボタンそれぞれにシチュエーションが用意されている。
設定されたシチュエーションには、それぞれのIoTデバイスをどうするか設定されており、たとえば「出かける」シチュエーションでは、テレビやエアコン、照明の電源を一括でオフにする設定ができる。
対応する音声アシスタントに話しかけたりアプリを操作したりすることで、シチュエーションのトリガーを発動させることができる。一方で、スマートスピーカーは大体リビングなどに置いていることが多く、「リビングから玄関まで真っ暗を歩く」や「廊下の電源だけスイッチを使う」「玄関にスマートスピーカーを置く」「アプリを立ち上げて操作する」と多少手間のかかる行動が必要となってしまう。
これが、スイッチ一つでかんたんにトリガーを引くことができるので、手間なくよりスマートホームを実感することができると感じる。
GPS設定するという手もあるので、今回のケースで有効かどうかはユーザーのライフスタイルに寄るところが大きいが、筆者のように「アプリを操作するのが面倒」だけど「ちゃんと電源が切れているか確認したい」というわがままなユーザーにはありがたいリモコンだ。
かゆいところに手が届くIoTを通信とともに
今回、通信に強みを持つオプテージがIoT事業を展開する取り組みが発表された。先述のように、オプテージではコンシューマー向けにeo光とmineoを提供しており、住まいに関係する事業として親和性の高い取り組みになるのではと感じた。
また、関西一円に電力を供給する関西電力のグループ企業ということもあり、関西の隅々に拠点を持っているのも強みである。たとえば、高齢者の家でデバイスの不調などがあった場合のサポートサービスや、電力量計(スマートメーター)と連携したサービスの提供など、今後もサービスが広がっていく余地があるだろう。
今回の資本業務提携で同社は、社会課題の解決への取り組みを本格化し、ユーザーの安全で快適な生活に寄与していくとしている。