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ソフトバンクの農業AI、カルビーポテトに導入――ジャガイモの収穫量が最大1.6倍に

 ソフトバンクの農業AIブレーン「e-kakashi(イーカカシ)」が、カルビーポテトによるジャガイモ栽培の実証実験に導入された。「e-kakashi」の活用により、ジャガイモの収穫量を最大約1.6倍へ増やすことに成功した。

ほ場に設置された「e-kakashi」

農業AIブレーン「e-kakashi」と、実験の背景

 農業従事者向けのサービス「e-kakashi」では、IoTセンサーやAI(人工知能)の活用により、最適な栽培方法を提案する。

 同サービスを今回導入したカルビーポテトは、カルビーの子会社として、ポテトチップスなどの原料となるジャガイモの調達を担当。近年、北海道の一部地域では、気候変動の影響でジャガイモの収穫量が減少するケースがあったという。

 そこで同社は、約3年前からデータを活用した栽培に取り組んでいる。今回はその一環として、北海道地区のほ場で「e-kakashi」を用いた実証実験が実施された。

実験の概要

 実験の主目的は、干ばつなどの環境下を想定し、かん水の最適化を検証すること。

 実験では、降水だけで水分を補うほ場「慣行区」と、データ活用により最適なタイミングでかん水作業を行うほ場「試験区」を設定した。そのうえでそれぞれに「e-kakashi」を設置し、さまざまなデータを集めた。

 「慣行区」ではデータのモニタリングのみが実施された一方、「試験区」では最適なかん水作業のタイミングを生産者のスマートフォンに通知し、作業の実施などを促した。

気になる実験結果は?

 実証実験の結果として、「試験区」におけるジャガイモの収穫量が、「慣行区」に比べて最大約1.6倍に増加した。

 ソフトバンクは、「e-kakashi」を活用した科学的栽培の普及を引き続き推進していくとしている。

左:「試験区」(青枠)と「慣行区」(緑枠)を上空から撮影した画像
右:「試験区」と「慣行区」におけるジャガイモ収穫量の比較(品種別)