ニュース

神奈川県での津波情報配信、県独自の緊急速報メールは手動に

 神奈川県は、1月16日に発生した「津波関連の緊急速報メールを繰り返し配信した事象」について報告書を発表した。

 対策のひとつとして、神奈川県では気象庁の津波警報と大津波警報の第1報以降、県からの自動配信を取りやめる。そして、第1報で予想された高さ以上の津波になることがわかった場合は、手動で緊急速報メールを配信する。

16日に発生したこと

 16日、トンガで発生した噴火の影響で、日本各地で津波警報や津波注意報が出た。神奈川県では、横浜市や川崎市などで緊急速報メールが20回配信された。これは誤ったプログラムにより、県外の情報が発表されるたびに配信されたためだった。

神奈川県での緊急速報メールの活用の仕組み

 神奈川県では、大規模な災害の情報を関係する組織内でスピーディに共有するため、災害情報管理システムを整備。そのシステムで、緊急速報メールの自動配信も管理されている。システムを活用することで、県独自の仕組みも用意された。

 津波の場合、大津波警報や津波警報の発表~注意報になるまで、津波の高さ・到達時間なども、緊急速報メールで自動配信することになっていたという。

 緊急速報メールは自動配信プログラムで送信されている。Lアラートという、災害情報を集約し一括配信するシステムを通じて、気象庁からの情報を災害情報管理システムで受信した後、携帯会社へ緊急速報メールの配信指示が出されるという流れだ。

原因

 今回の問題の原因は、この自動配信プログラムの設定誤りによるものだという。

 気象庁が発表した津波警報・注意報・予報・津波情報を受信し、県の緊急速報メールの配信基準に合うかどうかを、自動で判別して配信するよう、プログラムで指示していた。しかしそ設定が誤っていたため、16日には、緊急速報メールが繰り返し配信された。

 事前に設定ミスを把握できなかった理由として、報告書では、「津波情報の配信試験で緊急速報メールの配信対象外の試験パターンが一部足りなかった」ことを挙げている。また、災害情報管理システムのプログラムの稼働状況を県職員の立会いで事前確認するテストを行っていなかったという。

今後の対策

 報告書には、県とシステム受注先のNTT東日本神奈川事業部は、3つの再発防止策を講じると記載されている。

 対策の1つ目は、緊急速報メールの自動配信プログラムの総点検(緊急速報メールの配信試験)だ。1月28日に県職員の立ち合いにより試験を実施し、正常配信を確認したという。

 2つ目は、県職員の立ち合い確認だ。今後、住民への直接的な影響がある緊急速報メールの自動配信機能を構築・改修する際には、通常実施する試験結果の書面確認に加え、県職員がプログラムの状況を事前確認するための試験に立ち合うとこととなる。

 3つ目は、緊急速報メールの配信状況を県と委託業者でモニタリングできる仕組みの導入だ。今回、問題の原因を特定するまでに時間がかかったことから、今後緊急速報メールが配信された場合は、その状況を県と委託業者にメールで自動通知する仕組みが導入された。県と委託業者間の連絡体制も強化するという。

自動配信オフ、気象庁の第一報超える場合は手動配信

 今後の県における緊急速報メール配信(津波情報)も見直されることになった。津波に関しては、気象庁から配信される大津波警報と津波警報の第1報以降は、県からの緊急速報メールの自動配信を行わないことが決まった。理由としては、より緊急性の高い場合に必要最少限で緊急速報メールを発出する事が避難を促す上で効果が高まると考えられるためとしている。

 もし、気象庁が第1報で発表した津波警報の予想よりも、高い津波になるという予想が発表されれば、政令市の浸水想定エリアに向けて、手動で、県から緊急速報メールを配信する。

 県は報告書に基づき再発防止策を講じ、今後このような事態を繰り返さないようしていくとしている。