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オンライン診療アプリの「CLINICS」が刷新、ドコモと共同運営に

 NTTドコモとメドレーは、オンライン診療・服薬指導のアプリ「CLINICS」(クリニクス)のユーザーインターフェイスを刷新、共同運営を開始した。

dアカウントとの連携を開始

 CLINICSは、自宅にいながら診療などを受けられる“オンライン診療”を利用できるアプリ。即時利用可能な連携する医療機関は全国2000以上、総利用回数は45万回以上という。

 医師の診察のほか、薬剤師との服薬指導も受けられ、処方された薬は自宅などに直接届けられる。

 今回、ドコモとメドレーが共同で運営するにあたって、ユーザーインターフェイスを刷新。新たにdアカウントとの連携を開始した。これにより、一部の情報についてはCLINICSと共有され登録がよりかんたんになるという。

 「ドコモのサービス」というかたちで提供することで、より多くのユーザーの獲得を狙う。

 また、利用開始から診療までの流れも実際の診療の流れに近くなるよう、あらためられた。診療を受けたい病院は地図上から検索できる。受信先や診療メニューを選択後、希望日時などを入力、保険証をアップロードした後に事前問診に回答することで予約が完了する。

 病院の検索では条件検索やいつも行っている病院をお気に入り登録もできる。

dポイントプレゼントのキャンペーンも

 CLINICSとdアカウントを連携すると、最大でdポイント(期間・用途限定)が200ポイントもらえるキャンペーンを開始する。期間は12月7日22時~2022年2月28日。

 期間中、CLINICSアプリからdアカウントにログイン、またはdアカウントを連携するとdポイントを100ポイントプレゼント、加えてCLINICSにはじめてクレジットカードを登録するとさらに100ポイントがプレゼントされ、合計で200ポイントを獲得できる。

 付与時期は条件を満たした月の翌々月までを予定しており、有効期限は付与日から90日。

テクノロジーで医療を支援

 NTTドコモ ヘルスケアビジネス推進室長 出井京子氏は日本における医療の課題を高齢化によるニーズ拡大と指摘。それによる医療従事者への負担過多や医療コストの増加などが起きていると語る。

 加えて、地域医療の格差や「自分に合った医療はなにか」などの認識といった患者医療リテラシーの向上も必要と訴える。

 こうした課題に対して、医療とテクノロジーを組み合わせることで「予防・健康増進への移行」「オンライン化・分業化」「患者中心の個別化ヘルスケア」の3点を進め、解決につなげていく。

 予防・健康増進については、ドコモが提供する「dヘルスケア」や「健康マイレージ」などでカバー。また、ヤマト運輸と連携してドローンによる医薬品の配送(実証実験)なども提供している。

 出井氏によれば、同社は17年間に渡って医療分野での研究開発も進めており、将来的にはスマートフォンで疾患の予測ができるといった世界を目指しているという。

 同社では、病気に至る前のヘルスケア領域と病気になってしまった後のメディカル分野の両面からのサポートを展開。ヘルスケアデータプラットフォームとして患者が使える情報を蓄積し、さまざまなパートナー企業と協力しより良い健康・医療情報を提供していきたいとした。

 出井氏は「オンライン診療はひとつの医療インフラ。地域の医療格差や忙して病院に行けないという方を少しでも医療で救える。医療と患者が離れていても、オンラインでつながることで新しい安心を提供していきたい」と語った。

日本のオンライン診療の現状とは

 メドレー取締役兼医師の豊田剛一郎氏は、オンライン診療の市場背景を語る。

 オンライン診療は、これまでの外来や入院、訪問診療に次ぐ第4のスタイルだという豊田氏。こうしたスタイルのうちどれを活用するかは患者の状況や社会的な環境などを適切に判断し、柔軟に活用されることが理想という。

 日本では、2015年からオンライン診療が事実上解禁されていたものの、細かい仕組みが整っていなかった。そこで、2018年に医療報酬改定により、オンライン診療の指針が策定されたものの、規制が厳しく勢いづかなかった。

 しかし、新型コロナウイルスの特例措置により規制が大きく緩和されたことで、普及が進んでいる。

 一方で課題になっているのは、医療機関が受け取れる診療報酬。現行の制度では、診療報酬は対面診療での半分以下となっているが、世界基準では対面診療と同等かそれ以上となるのがスタンダードだという。

 豊田氏は、オンライン診療の普及には、診療点数を対面と近づけるといった変化が必要と説明。2022年3月には制度の改定が予定されており、議論が進んでいるという。