ニュース

スキマ時間で受診から薬の受取りも、auウェルネスで描く新たなヘルスケアサービス

 KDDI、MICIN、ホワイトヘルスケアは、ヘルスケアアプリ「auウェルネス」において、オンライン服薬指導を9月から提供する。

左からMICIN 原氏、KDDI 田口氏、ホワイトヘルスケア 池本氏

スキマ時間でも受診・薬の受取が可能に

 今回、新たに発表されたオンライン服薬指導は、薬局に行く手間をオンライン上で完結できるもの。

 これにより、慢性疾患などを抱えていて定期的に薬が必要な人や仕事などで病院や薬局へ行くのが難しい人などでも、より受診・薬の受取などがしやすくなるとKDDI パーソナル事業本部 サービス統括本部 担当部長の田口健太氏。

医師からオンライン診療を受ける様子 ※イメージ

 そもそも、服薬指導とは、薬剤師から患者に薬を手渡すときにその薬の効果や副作用などを説明すること。薬剤師法で定められており、薬剤師はこれを行う義務がある。患者としても飲み方を間違えないように確認できる大事な機会だ。

 しかし実際に、病院での診療後に薬局へ行くとなると、時間が障壁になることが多い。特に問診票は項目が多岐にわたっていて、書き込むのにもひと苦労ということも。とはいえ、薬を処方する薬剤師にとっては、安全に薬を処方する上で貴重な情報といえる。

 そこで、時間がなかなか取れない、という場合でもオンライン服薬指導を利用することで、家から出ずに薬の処方から配送・受取までを一貫して受けられるようになる。

 オンライン診療の終了後、auウェルネスの「マイページ」からオンライン服薬指導を希望する日付を選ぶことができる。

オンライン服薬指導の日付選択画面。※アプリは開発中のため、実際のリリース時には本稿とはデザインが異なる場合がある
問診票にはこれ以外にも金属などさまざまなアレルギー項目が並ぶ。タップするだけで選択完了だ
オンライン服薬指導の画面。実際には中央の丸いロゴの部分に薬剤師が映し出されることになる

 その後決済登録と問診の記入をアプリ上で済ませておけば、あとはビデオ通話で事前に指定しておいた薬局の薬剤師から服薬指導を受けるだけだ。

 薬は、原則的には配送となるが、宅配ボックスや店舗受け取りも可能という。

コロナ禍で健康管理が難しく

 発表の場では、KDDI 田口氏からその意義が語られた。

 田口氏は、昨今の新型コロナウイルスの影響により、健康管理環境が悪化していると指摘する。いわゆるステイホームなどで外出の機会が減ることで運動不足につながったことや感染を避けるために病院の受診を控える動きが広まったことが主な原因だ。

 個人の健康管理の支援は、日常的な健康管理から医療支援まで多岐にわたると田口氏。それらをトータルで支援する必要があると説明した上で「スマートフォンを起点としたトータルな支援環境をいかに提供できるか」に向けて取り組んできたと語る。

 健康な人の予防から未病の人の相談、実際に投薬や診療の医療までをひとつのアプリでサポートするという構想だという。

2つのアプリを1つに

 同社では現在、「auウェルネス」と「ポケットヘルスケア」(東京都豊島区で実証中)の2つのアプリが提供されている。健康サポートはauウェルネス、医療系はポケットヘルスケアという形だが、これは「一気通貫したサービスを早期に実現できる」という発想からこの形に至ったものという。

 一方で、2つのアプリに分かれた形でサービスが提供され続けるのは、ユーザー体験的に非合理的な部分がある、という観点から今後はauウェルネスに医療系サポートの機能を集約させていく方針が示された。

 auウェルネスにもともと備わっている健康サポート系の機能はそのままに、ポケットヘルスケアで開発・実証した機能を取り込みつつ、オンライン診療(提供済み)やオンライン服薬指導などの医療系の機能を実装していくことになる。

 ホワイトヘルスケア 代表取締役社長の池本多賀正氏は、オンライン服薬指導について「患者と薬剤師の新たな関係を提案する」と語る。患者が薬局で待つことなく、薬剤師もアフターケアがしやすくなると説明。今回の提携により「サービスの質と効率性をいっぺんに改善できる」とした。

 MICIN 代表取締役の原聖吾氏は、KDDIとの協業について、「従来オンライン診療という分野では医療機関との接点がある一方で、患者側にはタッチしづらかった」とした上で、auユーザー3000万人という顧客基盤で、オンライン診療普及の加速につなげられると期待感を示した。

健康を軸に

 田口氏は、今回の取り組み以外にも「健康・医療領域の範囲はまだまだ広い」と語る。食事や睡眠、心、くらし全般が課題として残っていると説明。今後、auウェルネスを軸に据えながらさらにその支援範囲を拡大していくという。

 運動や病気といった観点のみならず、保険や旅行、美容、生活支援とサービスの範囲を拡大。心身の健康向上を図る一方、生活環境の向上といった点でも支援、「健康を軸としたライフデザインサービス事業を創出していく」という。