ニュース

サムスン開発者が語る「Galaxy Z Fold3」「Flip3」耐久性や防水構造など

 8月11日に発表されたサムスン電子のフォルダブル(折りたたみ)スマートフォン「Galaxy Z Fold3 5G」「Galaxy Z Flip3 5G」は、耐久性の向上が図られ、新たに防水性能を備えている。同社は、その仕組みの詳細を説明する動画を公開した。

耐久性について

 動画ではまず、サムスンのファン・チャンギョン(Hwang Changyoun)氏が登場する。同氏は、新素材「アーマー・アルミニウム」を中心として、Galaxy Z Fold3 5GとGalaxy Z Flip3 5Gの耐久性を紹介した。

ファン・チャンギョン氏

 折りたたみスマートフォンは、2つのディスプレイと1つのヒンジ部分の、合計3つのパーツで構成される。サムスンではこれらのパーツや構成部品に関して、軽量化などに加え、耐久性の向上も図った。

 そこでサムスンが開発したのが前述のアーマー・アルミニウムであり、これはスマートフォンに現在使われているアルミニウム素材の中で、最も強度が高いものだという。

 ファン・チャンギョン氏は、アルミニウムとアーマー・アルミニウムの板を手に持ち、それをぶつけるデモンストレーションも披露する。アルミニウムの板に傷がつくという結果は、アーマー・アルミニウムの頑丈さを物語る。

右が通常のアルミニウム、左がアーマー・アルミニウム
2つをぶつけると、アルミニウム側に傷がつく

 アーマー・アルミニウムは、Galaxy Z Fold3 5GとGalaxy Z Flip3 5Gにおいて、2つの外枠とヒンジ周りのハウジング、合計3カ所で用いられている。

 コンクリートに鉄筋を入れて建物を補強するように、アーマー・アルミニウムに対して金属要素をいくつか混ぜ、さらなる耐久性の向上を実現した。

防水構造

 続いて、サムスンのチェ・ウォンヒ(Choi Wonhee)氏とカン・ジョンミン氏(Kang Jongmin)氏が登場し、2機種の防水構造に関して紹介した。Galaxy Z Fold3 5GとGalaxy Z Flip3 5Gは、ともにIPX8相当の防水性能を備える。

 なお、本誌が8月12日に掲載した別記事でも、防水構造に関してご紹介している。

チェ・ウォンヒ氏
カン・ジョンミン氏

 フォルダブルディスプレイの間には、ヒンジを経由して配線が通っている。構造上、ヒンジ部分に水が入ってくることは避けられないため、いかに水が内部へ侵入しないようにするかということが重要になったという。

 Galaxy Z Flip3 5Gの場合、端末の上半分と下半分が、それぞれ独立した形で防水性能を持つように設計されている。

 端末の上半分と下半分は、フレキシブルプリント基板(FPCB)の活用によって電気的に接続される。

 端末内部の穴は側面のゴムでふさがれ、空いたスペースには新開発の液剤が充填されている。また、腐食防止液と、強力な防水性を持つ潤滑剤が、ヒンジにとってさび止めの役割を果たす。

 Galaxy Z Flip3 5Gでは、端末の外側にある開口部は多くない。マイク、USB Type-Cポート、スピーカーといった程度だ。

 しかし、端末の内部には防水対策が必要な構造がいくつか存在する。そのひとつである指紋センサーモジュールは、端末内のわずかなスペースに収める必要があるが、防水技術を搭載できる空間がほとんどなかったという。

 そこで、サムスンでは限られたスペースで防水技術を搭載できるよう、新たな構造を開発した。

 チェ・ウォンヒ氏は防水技術のテストに関して、「フォルダブルスマートフォンには、スピーカーやマイクなど、水が入り込む可能性のある場所がいくつか存在します。したがって、具体的にどこから水が漏れているのかを特定するのは困難でした」とコメントしている。

 カン・ジョンミン氏は、「開発のプロセスは、すべての段階が難しいものです。失敗の理由を口にするのは簡単ですが、成功するためには何が必要なのかを常に考える必要があります。チーム一丸となって出したアイデアが問題を解決してくれることも多くありますが、もしそれがうまくいかない場合、さらに改良した解決策を考えるという新しい作業も必要になります」と述べ、開発の難しさを語った。