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ソフトバンクの「xRスタジオ」は3Dビデオをより手軽に、高品質なARを作成できる
2021年8月13日 00:00
5G LABのコンテンツにも活用
同スタジオは、ソフトバンクのパートナー企業の1社であるリアライズ・モバイル・コミュニケーションズとソフトバンクが運用するもの。ソフトバンクでは、5Gを活用したサービスの一環として「5G LAB」を提供している。
VRや独自のFR(Free view point Reality)コンテンツなどが多数提供されているが、そのうちの「AR SQUARE」では、文字通りARを活かして、好きなタレントやキャラクターと一緒に撮影を楽しめる。回転や拡大・縮小が自在にでき、好みの角度から鑑賞できることが特長だ。
AR SQUAREで用意されているARコンテンツは現在、500種類以上。QRコードを読み取ると専用のコンテンツが楽しめ、撮った写真はそのままSNSへアップロードもできる。
こうしたコンテンツ(キャラクター除く)の収録にもこのスタジオが使われる。リアライズ・モバイル・コミュニケーションズは、XR黎明期からこの業界に携わっており、特に3Dビデオ(ボリュメトリックビデオ)については世界でもトップクラスの実績を持つという。
圧倒的短期間で映像を作成
xRスタジオは2020年3月にオープンした。従来、3Dコンテンツはさまざまな複雑な編集などが必要で、場合によっては完成まで1カ月ほども待つ必要があった。ここでは、米8iの動画生成技術などを用いており、数時間程度で3D動画が完成するという。
既存技術では、縮小したスケールか2Dに変換して再生されるが、同社の技術では人物を等身大で3D生成。タレント事務所などが求めるクオリティで人物を再現でき、デバイスの位置や向きなどを取得するWebXRにも標準で対応する。
一般的なストリーミング技術や暗号化にも対応しており、スマートフォンなどで快適に配信を閲覧でき、視聴するアプリは限定されない。VR、AR、MRに活用でき、デバイスごとに最適な圧縮・出力が可能という。
スマートフォンなどでXR対応が一般し、ネットワークも高速化が進む中で、立体的なコンテンツをより手軽に生成するというコンテンツ供給側のニーズに応える。
ダウンロードしての視聴も可能な一方で「アダプティブストリーミング」にも対応。高精細な3Dビデオのデータをストリーミング用に軽量・最適化することで、環境によって最適な画質やフレームレートに調整される。これにより、5Mbps程度の環境でも視聴できるという。
今後は3Dでのライブ配信も
現在、3D映像を視聴できるのはあらかじめ、撮影しておいた録画のデータのみ。しかし今後、3Dビデオをその場でリアルタイムにレンダリングし、生配信することも検討しているという。
個別のユーザーが視点を自由に動かせる3D配信は世界初。双方向のやり取りやブラウザでの再生対応、等身大での再生の実現を目指す。
4Kと2Kのステージを用意
撮影を行うキャプチャーステージは2つ設けられている。ひとつは2.2m×2.5mのスペースで4K撮影が可能なステージ。もうひとつは2m×1.5mで2K撮影に対応する。
4Kステージのほうが広く、ダンスなど動きのある映像や複数人で撮影する場合に適しており、2Kステージは演者1人での撮影などに向いている。
4Kと2K、どちらの場合もカメラは全周に渡って30台設置されている。
被写体となる人物は、グリーンバックのため服の色やそのほか、メガネの装着など一部制限はあるが、これといって特別な準備をせずとも撮影できる。
カメラは正面に重点的に設置されており、これはきれいに撮るための工夫という。一方天井にはカメラがないものの、広角レンズを使用しているため、真上に設置しなくても全周を撮影できる。
実際に撮影した動画は以下のようになる。服のシワなども立体的に再現されているのが見てとれ、服のエリもしっかり立っている。
スタジオは撮影用のステージ以外にも、芸能人の利用を想定して着替えやメイクが可能な控室に加えて、ちょっとした打ち合わせなどが可能なテーブルも用意されている。
利用はソフトバンク関連企業以外にも開放されており、実際にすでにテレビ局などで利用実績があるという。