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5年後に世界のモバイル契約の4割が5Gに、エリクソンモビリティレポート

 エリクソン・ジャパンは13日に、エリクソンが発表した「2021年6月付のエリクソンモビリティレポート」に関するブリーフィングをメディア向けに開催し、エリクソン・ジャパン チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)の藤岡 雅宣氏が、同レポートについて説明した。

2026年に全加入契約の40%を5Gが占める

 世界のモバイル加入者は、2021年時点でおよそ80億契約あった。

 5G契約の加入数について、2021年末で5億8000万件、2026年に全加入契約の40%となる35億件の契約を見込んでいる。

 一方、LTEの加入ピークは2021年で48億台と予想しており、2026年には39億件に減少するとしている。

 世界の5Gの現状をまとめると、商用ネットワークが169ネットワークあり、45カ国93の商用ネットワークでエリクソンの装置が利用されているという。また、このうち7つのネットワークは、SA(Stand Alone)の5Gネットワークとなっている。

GCC諸国で5G普及率が急上昇予想

 地域別/無線方式別のモバイル加入契約数を見てみると、日本が属する北東アジアの2020年現在の5G契約比率は全体の9%となっており、5G契約割合ではトップとなっている。続いて、北米の4%、湾岸協力会議(GCC、サウジアラビア・アラブ首長国連邦(UAE)・バーレーン・オマーン・カタール・クウェートの6カ国で構成)諸国の2%、西欧の1%となっている。

 GCC諸国について、藤岡氏は「非常に5Gの立ち上がりが早い」とコメント。2026年の契約数予想では、73%となっており、この数字は北米の84%に次ぐ契約数となっている。

 地域別の5G加入数の推移をみると、北東アジアを除いた各地域で2022年以降に割合が急上昇すると予想している。これは、5Gスマートフォンの価格低下が予想されているため。現在低価格帯の5Gスマートフォンが登場している中国以外でも250ドル以下の端末が登場することや、米国で400ドル以下のミリ波対応端末が登場するという予想が、この加入者数推移に反映されている。

固定無線アクセスが世界的に普及

 固定無線アクセスシステム(FWA、Fixed Wireless Access)提供事業者も増加しており、2018年12月には103事業者だったものが、2020年10月に200を突破、2021年4月で224事業者となっており、2年足らずでFWA事業者が倍増した形となった。

 また、5Gを提供する事業者のうち87%が、4Gと5GのFWAを提供しており、モバイルネットワークを使ってオフィスや家庭にブロードバンドへのアクセス手段を提供している。

 回線の開通が迅速に行えるFWAは、ファイバー敷設率の高い国でも急速に普及してきており、2026年末にはFWAの接続数が1.8億を超え、約6.5億人が利用するようになるという。

 モバイルトラフィックの予測を見てみても、2026年には全トラフィックの53%が5G、20%がFWAによるものとなっている。

 スマートフォン1台あたりの月平均トラフィック量は、現在10GBを超えており、なかでもGCC諸国は18.4GBとなっている。2026年には、世界平均35GBになると言われ、特に北欧では月平均48GBになるのではと予測されている。

 IoT機器のモバイル回線接続も増加してきており、2026年末に54億デバイスと予想されている。

T-Mobileのマルチバンド5G戦略

 ここからは、レポートにあわせた特集記事(米T-Mobile共著)に関する解説となる。

 T-Mobileでは、スプリント(Sprint)の買収や電波オークションにより、5G専用のローバンド、ミッドバンド、ハイバンドの3層の電波が利用できる。

 同社ではこれらを組み合わせて速度回線に取り組んでいる。たとえば、ローバンドとミッドバンドを組み合わせることで、4Gと5Gの平均下り速度を大きく改善できている。

 3層の周波数が利用できるメリットは、ほかにも「ローバンドでしか届かないエリアに5Gサービスを提供」できたり、「キャリアアグリゲーションによるカバレッジ拡張」、「高品質な音声通話」が実現できるという。